第8話結婚

夢子さんと おそらく同僚だろう その人には 一度も連絡したことがなかった。僕はその人の顔も声も全く思い出せなかった。ただおそらく夢子さんの同僚だろうと思っていた。全く根拠はないのだがその人と 夢子さんは きっと仲がよかったんだろう。おそらく夢子さんと一緒に自転車同好会にも入っていたんだろうと思っていた。自分でも思うが、 ここまで来ると ほとんど 妄想だった。その女性が夢子さんと同僚だという確信も証拠もなかった。ましてや 一緒に自転車同好会にいたなんていう証拠もなかった。全ては僕の思い込み この1年の妄想がなせる技だった。妄想でも何でもいいから僕はこの予想が当たって 夢子さんに会いたかった。もう一度夢子さんに会って話がしたかった。僕はその時までに自分のいろんなことを片付けて心を決めておきたかった。そして彼女と付き合って夢子さんと結婚をしたかった。全ては僕の思い込み 妄想のなせる技だった、けれど 他に僕には どうしようもなかった。思い込みの妄想に従って突き進んでいくなんて馬鹿げた話だ。自分でも馬鹿らしいと思うけれどもばかばかしいと思うことの中に真実は消してないんだろうか、僕は必ずしもそうだとは思えなかった。たとえ 妄想だろうが 偶然だろうが その先には絶対に真実なんて繋がっていないなんて誰が言えただろう。僕には他に方法がなかった。この1年夢子さんをずっと探していてかなわなかった夢がたとえ 妄想だろうが 思い込みだろうが夢子さんとの再会を叶えてくれるなら何でも良かった。もう僕は手段なんか選んでいられない、そういうところに来ていた。僕は 何としても 夢子さんを探し出し 結婚をしてくれと言うつもりだった。

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