第8話結婚
夢子さんと おそらく同僚だろう その人には 一度も連絡したことがなかった。僕はその人の顔も声も全く思い出せなかった。ただおそらく夢子さんの同僚だろうと思っていた。全く根拠はないのだがその人と 夢子さんは きっと仲がよかったんだろう。おそらく夢子さんと一緒に自転車同好会にも入っていたんだろうと思っていた。自分でも思うが、 ここまで来ると ほとんど 妄想だった。その女性が夢子さんと同僚だという確信も証拠もなかった。ましてや 一緒に自転車同好会にいたなんていう証拠もなかった。全ては僕の思い込み この1年の妄想がなせる技だった。妄想でも何でもいいから僕はこの予想が当たって 夢子さんに会いたかった。もう一度夢子さんに会って話がしたかった。僕はその時までに自分のいろんなことを片付けて心を決めておきたかった。そして彼女と付き合って夢子さんと結婚をしたかった。全ては僕の思い込み 妄想のなせる技だった、けれど 他に僕には どうしようもなかった。思い込みの妄想に従って突き進んでいくなんて馬鹿げた話だ。自分でも馬鹿らしいと思うけれどもばかばかしいと思うことの中に真実は消してないんだろうか、僕は必ずしもそうだとは思えなかった。たとえ 妄想だろうが 偶然だろうが その先には絶対に真実なんて繋がっていないなんて誰が言えただろう。僕には他に方法がなかった。この1年夢子さんをずっと探していてかなわなかった夢がたとえ 妄想だろうが 思い込みだろうが夢子さんとの再会を叶えてくれるなら何でも良かった。もう僕は手段なんか選んでいられない、そういうところに来ていた。僕は 何としても 夢子さんを探し出し 結婚をしてくれと言うつもりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます