第6話 大工になりたい夫、通勤用の車を買うか買わないか(5)

振出しに戻った私たちは再度車を探す所から始める。

心なしか、、、大工は嬉しそうなのは気のせいか?


来週絶対に買いに来ます!


はい!承知しました。お待ちしております!私どもも大工様のような本当に車が好きで大切に乗ってくださる方に売りたいんです!

あそこまで丁寧に車のことを見てから買っていただけるなんて本当にすごいんです!


と息巻いていた営業さん、ちょっとこっちこい。


そして、また大工は毎日夜な夜な車を探すべくPCの前に座り続けるのだった。もちろん土日は家族サービスしているかというとそうではなく、土日も起き抜けからPCの前に座ってずっと車を探している。徹底的に理解して納得しないと買い物ができない質のため、車みたいな高額で自分の専門分野だと余計に熱が入ってしまって本人ですら止められなくなる。


そんなこんなで11月になった。10月の中旬に「通勤車を買う必要が出てきた」という告白に始まって、1か月ほど経った。


ある日曜日、子どもを連れて一人公園に出かけた私は、揺れるブランコや土を掘り続ける娘を見て「あぁ、穴掘りまくるのは遺伝だなぁ」とか思いながらのんびりしていた。


そして、突然「もう終わりにしよう」と静かに強く決断した。

もうこれ以上ぐだぐだ考えてるのは嫌だった。



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