第29話 選べるルートは無限大♡ ……って、バカァァァーー!!
「僕が……追加コンテンツ……」
ポツリと呟いた僕の言葉を聞いて、リメイク版の話に動揺していたマックスがハッとした顔をする。
「リック!」
「マックスどうしよう、僕……」
薄々、もしかして僕はその乙女ゲームと何かしらの関係はあるんじゃないかとは思い始めていた。
だって、色んな事に明らかに巻き込まれ過ぎだし、キャラクター達には付き纏われ過ぎだし。
でもまさか主人公だなんて言われても。
それに……。
ハッとして言いかけた言葉を飲み込んで、僕は代わりの疑問を口にした。
「追加コンテンツって、何?」
「「そこからかよ!?」」
マックスだけかと思いきや、転校生にまでハモって突っ込まれた。
いやだって、話の内容がわからない単語だらけなんだよ? まずそこからでしょ。
「まぁ……でもそうか、『追加コンテンツ』なんていきなり言われてもわかんないよな。
前に説明したから、ゲームについては理解できてるだろ? 追加コンテンツってのは、いまあるゲームにストーリーやキャラクターを足す事なんだよ」
「後からキャラクターを足すことなんて出来るの?」
「ああ『ネットワーク』に繋がってるゲームなら可能だ。データのやり取りが出来るからな」
ネットワーク……、データ……。
うーん、一度魔導回路を繋げておけば、そこに魔力を通すのは簡単みたいな事かな?
「何となく魔導回路みたいな物なのかなって仕組みは想像出来るけど、そんな大掛かりな物を遊びの為に作るなんて、やっぱり異世界って凄いんだね」
「ゲームはただの遊びじゃない。文化だ」
「うん。ごめん」
危ない、久しぶりにマックスの『オタクスイッチ』を押す所だった。
なるほど。
オリジナルのゲームがあって、それがリメイクされて、そこに
僕の気持ちは一旦置いておくとして、段々わかって来たぞ。となると次は……
「BLって何?」
「ぐっふぅ!?」
何か異音を発してマックスが崩れ落ちた。
え、何? 滅びの呪文か何かだった!?
あまり見た事のないプルプル震えるマックスの姿にオロオロしながら自分の記憶を辿る。
確か転校生が、『今度はBLも楽しめる』って言ってたから、まさか滅びの呪文は楽しまないでしょ?
で、『プリラビ』は、乙女ゲームの草分け的存在で、乙女ゲームっていうのは『プレイヤーが主人公になって、攻略対象者と呼ばれるイケメン達と繰り広げる様々な恋愛模様を楽しむゲーム』なんでしょ?
………ん?
…………んんーー??
「リック、BLというのは、その……衆道、いや、男色の事だ……と思うよ、多分。うん。多分だけど。お、俺も詳しくないし?!」
マックスが必死に平静を装って説明してくれる姿が痛々しい。
…………おう。
なんてこった。
ついさっき、レイとマックスが仲良くしてくれるのは嬉しいな。このまま三人で仲良くして行けたらいいな、なーんて考えていたところなのに。
今現在、地獄の様な気まずい空気になっている。
「あ、で、でも普通に『友情エンド』とかもありますよ!? 攻略対象者として女性キャラも足されてますし!」
さすがにこの地獄の様な空気に耐えられなかったのか、転校生が必死にフォローを始める。
いや、『友情エンド』もって!
絶対なんかヤバいエンディングもあるじゃん! っていうか多分そっちメインじゃん!
「女性キャラって何だ? 誰だ?」
さすがマックス。この地獄の中でもゲームの追加要素は見逃せなかったらしい。
オタクの情熱の炎は地獄の業火にも勝るというのか。
「あ、まぁ足されてるっていうか、元々いた女性キャラと恋愛ルートが可能になったというか……」
……元々いた女性キャラって、ますます不穏じゃないですか。
「アンジェリカとヴィオレッタです」
なんっっでソコ行ったーーーー!!??
いや、それしか元々いないのか?
ならソッチ作れよ!
「ちなみに、
カオス!!
はっ! ヴィオレッタ様が攻略対象とか聞いたら、レイが怒り狂うのでは!?
慌ててレイを振り返ると、魂の抜けたレイが抜け殻の様に立っていた。
「レイーー!!??」
ダメだよレイ!
幽体離脱枠はもう埋まってるよ!?
「ちょっとレイ! レイったら!?」
大声で呼びかけながら、必死でガクガク揺さぶると、やっとレイの意識が戻って来た。
「はっ! パット!? ちち、違うぞ、別に私は変な事を考えていた訳では……!」
「落ち着いてよレイ。ヴィオレッタ様まで攻略対象になってて、ショックなのは分かるけどさぁ」
「は!? ヴィオレッタが攻略対象!?」
え、レイいつから意識飛ばしてたの?
「えっと、だからね……」
「なぁセオ。リメイク版の制作者って、オリジナル版と同じなのか?」
「そうっすよ! オリジナル版が出来た時も乙女ゲームなんてジャンルが無くて大騒ぎでしたけど、今回も乙女ゲーのリメイクでありながら男女選べる主人公ですからね。業界の革命児って呼ばれてますよ」
「……そうか」
僕がレイにヴィオレッタ様の事を説明している間、マックスは転校生にゲームの制作者について聞いていた。
ほんと、マックスって
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます