22頁 少年を検挙

 機動捜査隊本部(通称・機捜本部)。

付き番の二班班長志賀部長刑事が昼食を摂って居る。

机の電話が鳴る。

志賀班長が受話器を取る。


 「はい、機捜本部・・・え? 常磐線の下りホーム? 時間は? 十一時五二分! いや~有難う御座います」


憲司が張り込みから戻って来る。

志賀班長が憲司を見て、


 「あ、ご苦労さん」


憲司は志賀班長を一瞥して、


 「・・・ヤロー、そろそろ動き始める頃だと思ってヤマを張ってるんだけど。へへへ、なかなか・・・」


志賀班長が憲司の傍に近寄る。

小声で、


 「来たよ」


憲司は驚いて、


 「来た?!」

 「今、上野駅の鉄道公安室から電話が有ってね。ヤツはこっちに向かってる」


 常磐線我孫子駅に刑事達六人が配置している。

駅のホームに三人、改札に一人、待合室に二人。

下り「取手行き」の電車が駅に入って来る。

電車がゆっくりと停まり、ドアーが開く。

体格の良い『永田 譲(十七歳)』が野球帽を深く被り電車から降りて来る。

前島刑事はホームの階段下でそっと顔を確認する。

前島刑事が椅子に座る野村刑事と、ホームの階段上に待機する堀内刑事に目配せする。


 『永田 譲 十三時十五分・・・検挙』

                          つづく

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