21頁 別れ

 自宅の六畳間に高く置かれた白い棺ヒツギ。

チャーコ(猫)が祭壇の棺の下で鳴き続ける。


 出棺の日。

棺が開く。

シゲルは浮腫みの引いた道子の頰に優しく触れ、横に『柘植ツゲの櫛』を置く。

濡縁の物干しに、道子が干して行ったシゲルの靴下が冬の風に揺れている。


     つづく

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