10頁 道子の病
夕方。
道子が『定期検診』から戻って来る。
「ただいま」
シゲルが居間で宿題をやっている。
「おかえり」
シゲルは道子を見て、
「母ちゃん、この字何て読むの?」
「ええ? どれ・・・、ヒロウじゃないか。鉛筆を拾う。ふり仮名をふっときな」
道子はシゲルの顔を見詰めている。
「? 何見てんの」
「うん? 何でもない」
「変だよ母ちゃん」
「ヘン?」
「うん」
道子は健診のついでに買い物をして来たモノを出しながら、
「・・・シゲルは母ちゃんが居なくなったらどうする?」
「ええ? 何でそんな事聞くの」
「母ちゃんね・・・そんなに長く生きられないかもしれないよ」
シゲルはその言葉に驚く。
「え!」
「母ちゃん、病気なんだよ」
「ビヨウキ? 治らないの」
道子は取り繕った笑顔で、
「大丈夫! 母ちゃん、オマエがお嫁さん貰うまで頑張るから」
つづく
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