第6話.魔法の開花

俺は布団の中でなにがあったのかドキドキしている。

正直に言ってしまえば心霊現象や幽霊と言うような物が特に嫌いなのに…

なんでこんな時に限ってあんな怖い奴がいるんだよ?

まじで教えてくれ


(もしも布団の真横にいたらどうしよう…)

(だけど布団の中にずっといると息が…なんか息が…酸素が欲しい)

(布団から出てもいない。いないはずだ!)


「バッ」


目と目が合う長髪の女性。

最悪だ俺殺される。

ここで、俺の人生が終わったそう考えていたのだがそんな訳も無く

その長髪の女性が折れに問うてくる


「何をしてるんだ?」


目を細めながらもその女性は俺に聞いてくる

完全に怪しんでる目だ

だが、同時に何をしているのか全く分からないといったようにバカを見るような目になっている

俺はその女性が誰かなんって物どうでもよくなり話す


「上に化け物がいて」

「それは私だ」

「・・・」

(やばい、俺超ノンデリ発言した。てかなんで上いるんだよ。おかしいだろが)

(これに関しては勘違いさせてくるこの人が悪くないかい?)


そんな事を考えてはいたが、やはり何も言えずに気まずくなってしまう

彼女も何となく俺の気持ちを理解して、また一つ目を細め訝しむかの様に俺自身を見てくる

無言という間

両者何も言わず女性は無表情が続き俺はどうすればいいかがまったくもって分からない

だが、俺にはこの空間があまりにも耐えられなかった


「あの?」

「なんだ?」

「お姉さんのお名前は?」

「言い方が気持ち悪いよ。で、私の名前は「夢圦美奈ゆめいりみな

(なぜか罵倒される俺は一体何なんだ?気を使って話しかけたのに・・・)

(え?泣いていい)

(というか、この人は夢圦夕さんの言っていた姉か)


夢圦美奈さんは俺の目を見てきて

首をかしげながらも真剣なまなざしで聞いてくる


「どこかで会ったか?」

「ん?」

「君は誰?」

「あぁ、天満葉雨と言います」

(なんだかんだ言って初めて名前をまともに聞かれたような気がする)

「あ、あのFDに殺されかけてた男の子か・・・」

「ん?夢圦美奈さんは俺の事を知ってるんですか?」

「うん。気絶してるあなたを助けてあげた人」

「・・・」

(ん?FDって?)

(というよりも、そうだ!夕さんが俺を救ってくれた人が自分の姉だって言ってたわ)


瞬時頭の回転が一気に速くなりベッドからすぐさま飛び降り

土下座をするような形の姿勢をしながらも力強い言葉で


「助けてくれてありがとうございました」

「あ・・・あぁ、どういたしまして」

「あの、聞きたいことがあるのですが先ほど言ったFDとは何なのでしょうか?」

「化け物の総称だよ」

「総称、ですか」

「うん。だって戦闘中に化け物化け物って言われても分かりにくいじゃん。

だから、化け物を発見しとらえた化け物から順番に名前が付けられて行き{FD-天満}みたいな感じに言われるようになる」

「俺が例ですか…」

「仕方ないでしょ…例がなかったんだから」


俺に対して、すまないといったような表情でそう伝えてくる。

正直この女性と話してみて全く夕さんとは違い素性やどういう性格なのか?といったような人物像が見当たらない。

少し言うとすれば冷静で判断能力に優れた優秀な人間と言ったところだろうか


「私はあんまり組織についてもわかってないから君たちの先生に聞けばいいよ。時期に手配がされる」

(ドキッっとする。まさか夕さんが先生なんじゃないかと・・・)

(正直あぁ言うタイプと共にいると楽しいは楽しいのだが疲れ切ってしまいそうで怖い)


だからこそ、少しだけ落胆したような声で

少しだけトーンを低くした声で


「はい…」


そう一言答える

その後はと言うと、特には何もなく気まずいこともあり彼女は部屋を出て行ってしまった。

俺自身体が完全に感知しているというわけでもないためベッドで今度こそうつぶせになる。

そしてここまでの情報を改めて思い返す。


(まずは、この組織は隔離と言い化け物の実験と殲滅を目的としてるのかな。

そして、次にこの化け物はFDと言う。

さらには、なんらかの特殊な力が存在する。)

(言うて情報量は簡潔にまとめてみると少なかったり…?)

(いいや、そんなことはねぇわ。全然多い。病人に情報量の過多を渡しすぎたら死にますよ?)

(もういい。何も考えず寝よう…だけど、二度寝何ってできねぇよ。眠くもねぇよぉぉ)


半時後

朝の7時。

俺は目覚めてしまう。

この時、俺の体は既に完治してしまっていた。

痛みもなく毎日のように体が動けるようになっていた。

ちなみに俺は昨日許可があるまでこの施設を出るなと言われていたけど、これは出るしかないよ!

これは本当に出るしかない!

さぁてここからが冒険の時間だ!

漢見せろぉ!こういうのはワクワクするんだよね~


(さぁて、俺はどこに行けばいいんだ?

まぁ高度医療施設を抜けてもいいだろ。きっと、うん!

たぶんだけど許される!そうそう)


そんなことを自分の頭の中で考えながら高度医療室の外へ出て施設の外を一人で歩き回る。

俺はそんな近未来のような廊下を見ながら中二病心を動かされていた。

そんな近未来的な廊下に見とれてよそ見をしていた時

俺は左からくるガタイのいい男性に気付かず、ぶつかってしまう。

俺は男性の体にぶつかる反動で倒れてしまっていた。

その男性の胸筋はかなり硬くぶつかったとしても相手はビクリともしない程の強度であったことは確かだ

ぶつかってしまったのは俺のよそ見のせいだったため俺は瞬時に謝る。


「あ、すいません」

「こちらこそごめんね。大丈夫だったかい?少年」

「はい大丈夫です」

「では」

「ちょ、ちょっと待って」

「え、どうかされましたか?」

「君の名前は?あんまりこの施設で見たことがない顔だなって思って」

「田中です!」


嫌な予感がして俺はすぐさま嘘をつく

その嫌な予感としては、天満という人間が許可もなく外へ出たことに対して怒られるのではないかと思ったためである

そんな答えに対して男性はにこやかに笑いこちらへ近づいてくる


「やぁ田中君初めまして」

「その様子新人かい?」

「あぁまぁどうですね。そちらの名前は何というのでしょうか」

「そんなかしこまらなくても・・・僕の名前は「秋羽福あきばふく」っていうんだ」

「あ、そうなんですね。では、自分は用事があるので!」


そのまま廊下を走りながら俺は去る

このまま長居をしていれば絶対面倒事が起きる


(やっべ、勝手に外出してたとかがばれれば俺絞められる)

(絶対に、康太や雫に追い詰められてボコられるか殴るられる)

(よし、俺は今日から田中!よし田中だ)


そんなことを思っていながら、あたりを約1時間くらい探索する。

そして分かったことがあるとすれば、FDの捕獲場所や人間の共有施設が主にあるとうことだ。

そして、食堂を探索し終え食堂を出ようとする瞬間目が合う


「あ…」

「へ?」


夢圦美奈さんと遭遇した。

オワタ~

そのまんま美奈さんはゆっくりとこちらへ歩いてくる。


(あ、やばいこの感覚。下手したら死ぬかもしれない!

やっべやらかしちゃった。)

(きっと、テヘペロで許してくれるよ☆)

「こんなところで病人が何をしてるのかな?」

「あぁ康太に頼まれて食事を持っていこうかと」

「そうなんだ」

「その康太君はどこにいるの」

「えぇっとさっきまでは高度医療施設にいましたけど」


ぺらぺらとこんなにも簡単に嘘が口から出ることに俺自身がびっくりする。

びっくりしながらも、俺は目をつぶり一言康太を想像しながら伝える。


(なぁ康太よ。頑張れ!俺のために)


その後の俺はと言うと物凄い怒気で出雲や雫、美奈さん、怒られ

康太に関してはタンコブができる程殴ってきやがった

ちなみにだが、康太自身もタンコブが頭にできている

美奈さんに殴られたのだろう…いい様だ

っそんな事もあり2時間フルコースの説教を行われ、ミシミシに教育された俺は美奈さんの説明を受ける。


「じゃあね。君たちに説明するけど。君たちはここで勉強を行うこととなる。

例えばだけど、戦闘訓練や別称の名前、現在の状況、地理などだ。

そこで君たちを教える教師がいる」

「こんにちは。田中君とそのお友達の皆さん」


そうその先生はと言うと「秋羽福」先生であったのだ。

正直最悪だ。

先生は俺を見るなり、「よく嘘がそんなぺらぺら出たね」や「田中君ねぇ」と何度もいじってくる。

自業自得なのだろうけどなぜか嫌な気分であった。

こんな事になるなら夕さんが良かったぁぁぁ

その後はと言うと、出雲や康太、そして俺が先生に呼び出される。


クラスメイトや雫は別の所で訓練を受け

俺たちは別の生徒として別棟でしごかれるのだという。

その理由はと言うと、医療を受けていたため彼らとは勉強や訓練が遅れているためだという

別当への移動として約200メートルは動いたその先和風の屋敷が全体に見えてくる。

そして、その和風の建造物の中に入ると教室のような椅子と机、黒板がある普段と変わらない見慣れた木で作られた教室がある。

そして先生は俺たちを見ながら勢いよく耳がつんざくような大声で


「今日から君たち4人は俺の生徒だ!」


正直福先生は「ザ・熱血教師」といったような言葉でしか表せないような人間だそうだ…

そんな先生の発言を無視して思考を巡らせていた康太が一言告げる


「俺たちは3人ですよ4人ってのは雫の事ですか?」

「いいや、違う。もう一人僕の生徒になるやつがいる。ただそれだけだ」

「その人物は初対面ですか?イエスかノーだけでお答えください」

「イエス」

「じゃあ…その人物は俺たちと同年代ですか?」

「イエス」

「じゃあ…」

「イエスノークイズでの発言の強制は少し困るんだが…」


苦笑をしながら先生はそんなことを言う

そんな先生の事をまたしても俺たちは無視をする

ちなみに、意味はないが単純にそういう雰囲気だったためという理由だけである


「では、授業を始めます!いいですね」

「だめで~す一人足りません」

「彼はそもそも来るかどうかすら分からない。本当に自由人だからね

元々僕の教師として滞在してはいたんだけどね…

いつになっても教室に来てくれなくてね…」

「じゃあ嫌われてるってことですね」

「はっきり言いすぎじゃないか康太君」


現在の時刻は11時

授業が開始される


「じゃあ授業内容についてまず初めに悪魔についてだ。

悪魔という物はこの世にいる者へ契約を求める化け物を表す。

そして、こいつを化け物の総称FDと呼ぶ

補足として言っておくことがあるとすれば悪魔とは対峙してはいけない。絶対に負ける。相当の実力者じゃない限り瞬殺だ」

「はいは~い質問。悪魔ってのはそこら、そんじょにいるんですか」

「いいや、いない。特別な結界内にいることがあるが早々見つけることはないように思える。

そして、ここからが本番の話だ。悪魔と契約をし何かを代償に渡すことで人間以上の力を引き出し魔法が使えるようになる」

「じゃあ夢圦美奈さんもその一種ってことですか?」

「そうだよ」

「彼女は悪魔と契約することによって力をもらっている」


なるほど、だから刀を使い神速でFDを切り伏せることができるのか。

つまりは悪魔と契約する悪魔の強さに比例して貰える力が強くなると…


「だけど、注意点があるとすれば、力になれてないのにもかかわらず無理やり魔法を出そうとした場合自爆。いわば暴走を起こし痛い目を合うこととなる。

暴走状態になった場合、ほとんどの割合で人間は死んでしまう」

「じゃあそれだけのリスクを負ったうえでFDと戦うという事ですか…」

「そうだ」

「まぁ例外はいるものの悪魔の力や魔力を使うものがメインだな」

「例外というのは?」

「例外か・・・例えばの話にはなるがFDを使役してるものや、特別な力を才能ですでに持っている者が挙げられるだろうな」

「分かりました」


なんとなくどうやって隔離の組織の奴らがどうやってFDに対応し実験しているのか分かったような気がしたが、つづけさまに先生は言う。


「で、なんだがこの世の力は約3つ存在する」

「三つは多くないですか?」

「まぁ俺も多いとは思っている」


そして先生は慎重に言う


「一つ目は魔力」

「魔力に関しては悪魔と契約をすることで使えるようになるか自身の限界を超え自身の力について理解した物のみが使える。魔力に関しては応用がどのような方向にも効く優れものとなっている」

「二つ目は量気」

「量気は死の魂といったものに干渉し死の淵で感情を理解した物が使える特出した実力者専用の技だ。魔法よりも汎用性はないものの一撃の威力が何倍にも跳ね上がるような力である。また、特殊能力が異常と言いざる負えないような力も宿っていることがある」

「三つ目は特に上の位しか知らない「命の因子」または「因子録」と呼ばれた力であり僕も知らないほどの物だ」


とのことだ。つまりは現状俺たちは魔法を使えるようになるのが目的だという事なのだそうだ。

だからこそ、訓練と言う名目で戦うんだと

ちなみにいうと才能によって魔力や量気を使う人間がいるが、大半の人間は才能のないもののため悪魔の力を使い上限を引き上げてるんだってさ


そして魔法を使うための訓練を先生と外の大きな訓練場で行う。

まずは魔力を感じなければいけないそうで、体に流れる液体を自由自在に扱えるようにならないと使えないそうなのだ。

外にある訓練場に向かって移動することが決定して少しの間歩く


その訓練場は森の一言で表せられるような場所であった

その後は、コツを先生に教えてもらい魔力の波動を感じると言う繰り返しを行った

が、俺には才能がないのか、まったく魔力の波動という物を感じ取れなかった。

だが、康太と出雲は瞬間で理解できて、なぜか遅れているのではないかと言うような不安感に煽られる。

焦りの感情もあった事が要因となり、魔力という物が全く感じれられなくなってしまっている。

先生の言うようにして魔力を感じようにするが、どうしようもない

悔しかった…一人だけできないという事実が


「魔力の感じ方ってのは人によって変わる。だからゆっくりと背中から僕の魔力を流す。だから天満くんはゆっくりと深呼吸をして魔力の波を掴もうか」

「そしたら使えるんですか魔法を・・・」

「あぁ」


喉を通る唾が重く感じる。

気分が少し高揚する。何かが動く。

体をゆっくりと何かが回る。

気分が少し悪くなるものの何かを感知できる

何かの遺物が体に入ってきたことはなんとなくわかる


「これが…?」

(魔力)


なんとなく体を流れるその魔力を理解できる。


「先生理解できました」

「じゃあ離すぞ。その流れる魔力を静かに素早く流すんだ。焦ってはだめだ少しの動揺で魔力の軌道はずれ、使えなくなる」

「ゆっくりだ。感情を安定させ魔力の核心を掴め。そして自分の思う紋様を考えろ」


天満の足元には魔法陣のようなものは展開され、大量の水がその魔法陣から放出される。


「おぼぼぼぼぼ」


そりゃ真下に魔法陣があるのだからおぼれそうになってしまう。

そしておぼれることに対して感情を安静にはできるわけもなく水の塊があたりで爆発する。


(キーン)


水の大爆発が訓練場で起こってしまう。

全員がびしょぬれになり一旦は訓練が中止された。

その調子でその後も2日も訓練に時間を費やすこととなり


2日後


俺は完全に魔法の使い方を理解したといえば噓にはなる、だが、大分は魔法をうまく使えるようになったと思われる。

その後の量気については、先生もわからないとの事であり感覚も何もかも全員が理解できていなかったが結果的に万々歳の成果だと思えていた。

そんな風にうれしく思っていた時先生は教室に「ガラガラ」と入ってくる


そう見知らぬ男の子と共に・・・

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