第16話 ミリーナの独白

ここ2ヶ月、死に物狂いで、部隊員達の役に立つため、生存率を上げるため、大学で習学する以外の内容まで含め必死に勉強した。だが、実践経験を積んでいる彼らの方がまだまだ上手。だけど、私は諦めない。かつて私は過ちを犯した。


5歳だっただろうか。私は、膨大な魔力量を活用させて欲しいという軍隊からの申し出により、自動人形のコマディアンとなった。しかし、自分の魔力を制御できずに暴走させ、魔力の供給過多により、自動人形を爆破してしまい、部隊を全滅させたことがある。


私はこの記憶に長年苦しめられてきた。私のせいで10人以上が死んだ。この事実は幼い私には耐えられなかった。だから、何度か記憶を封印してもらおうとしたが、莫大な魔力量が他者の魔法に干渉し、記憶をブロックすることができなかった。


しかし、人間というのは現金なもので、記憶は成長と共に風化していった。しかし、一つだけ、トラウマが残った。それが、攻撃魔法を使うこと——、自動人形を動かすには不思議なことに攻撃魔法を使う。人魔協定下で、必要がなくなった攻撃魔法が唯一生きる場所が、自動人形への魔力供給だった。攻撃魔法を鍛えれば鍛えるほど、私がまた前線に戻る可能性が高くなる。


だから私は攻撃魔法を鍛えたくなかった。だけど、ザイガーがその考えを変えてくれた。子どもたちを救うためには国の方針を変える必要がある。


革命


私に残された道は革命だけ。本当は革命なんて起こしたくない。起こせば血が流れる。それでも私は——成し遂げないと。


それにしても、未だに、何故、リリーから破壊姫と呼ばれているかわからない。初対面の頃よりは、親しくなった——と、信じたいけど、あの呼び方は変えてくれない。もしかして、私が昔、自動人形を破壊したことを知っている?


いやそんなことは、10年前の話だし、それに、その頃リリーはまだ戦場には出ていないはず。その事実を知る由もない——はず。

まあいいわ。呼びたいように呼ばせてあげましょう。彼女たちの心の負担がそれで和らぐのならば、本望だから。


さあ、日誌も付け足し、寝るとしましょう。明日は、無人人形が攻めて来なければいいのに、そうすれば、みんなまた一日、生きていられる。

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