第6話 魔女3人

 6.魔女3人


「ニールのパーティのメンバーと挨拶すると思うから、予習させてよ」

 ニールにパーティのメンバーについて教えてもらった。

 リーダーはラザ。属性は戦士。貴族系出身の男で王様の近衛師団の一員だったが、ブンゲ復活を受けて暇をもらって討伐メンバーを雇って冒険に出たという。帝都からほど遠い同胞を救いたいことと、討伐が出来れば、報償と昇進が得られるということだった。ニールの感想は求めなかった。

 副将の地位にあるのがハイゼ。属性は魔術師。ラザの幼なじみの女性で、貴族のお抱えの魔族出身という。火の魔法と水の魔法を操る。性格は穏やかだが少々気難しいところがあるという。

 ニールと同様雇われたメンバーがディラ。属性は魔術師。年齢はニールと同じ。この国の最高頭脳を持つハフニ族出身の女性という。金属と植物の魔法を操る。ニール同様アルベェにハフニ族の村を滅ぼされた。ディラも瀕死の状態であったが、一命をとりとめた。ただしその衝撃で言葉を失っており、ニールを介してでないと会話ができない。

 

 ハフニ族が頭脳明晰なのは、100年前(地球の年数相当)まで間引きを行っていたということで、10歳の時点で頭脳が明晰でないものは、一族に伝わる呪詛魔法を掛けられて集落を追放されていたという。

 ニールが話した紫の髪はこのハフニ族のみが持っている髪色ということだ。能力が足りず集落を追われる者は黒髪の呪いを掛けられるという。


 ディラの魔法はかなり強烈ではあるが、100年前までそういう伝統を持っている民族に対して冷淡と恐怖の印象は万人から拭い切れていない。しかも頭脳明晰ということは、人に嫉妬を買いやすいもので、直接会話が出来ないことと重なって、ディラを仲間にするパーティは現れなかったという。


 ディラは単独で下級魔物を倒しそれを生業としていたが、ラザとハイゼが魔物に襲われて窮地に立った際、偶然居合わせたディラが魔物を倒した。

 ディラの能力の高さに感動したラザはなんとかディラと一緒のパーティにするため知恵を絞りだした。そこに黙談できる能力を持つニールの存在を知り、対戦能力を期待できないニールを無理矢理パーティに雇ったというのが経緯である

 

「おかしいだろう このパーティ魔女が3人って」

 理由は分かったが、対魔物を考えた時、機能するとは思えない


 続けて

「魔物を倒したのでこのパーティは解散するの?」

「この後の食事で話題になると思う」

「僕はこの温泉が気に入ったので、この村に住み込みで仕事を貰いたいんだけど」

 ニールが悲しい顔をした。ニールを悲しませるのは辛い

「帝都に戻って、言葉を教えてくれて、ニールの家に居候させてくれるならば、言葉を覚えるまでは”命の恩人”を助けてもいいぜ」

 半分冗談の無理な条件を提示したつもりだったが、ニールは涙を流し僕に抱きついてきた

「ありがとう」

 生の接触で身体が興奮に満ちたが、ニールに口づけされてさっきと同様に性欲を吸い取られた。

 また賢者状態に戻っている。

 しかし、それにしてもお腹が空いた。

 <つづく>

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