第6話：キス。
ラパンが地球に留まった理由はコウタロウに恋したからだった。
その想いをコウタロウに告白した時から、ふたりの気持ちはディープに
接近していくことになった。
コウタロウの学校が休みの時、コウタロウは積極的にラパンを外に遊びに
連れて行った。
でも、その都度、金魚のウンコみたいにベルジアンが付いてきた。
「ベリジアン、大事なデートなんだからついて来ないくださる？」
「そうはいきません、お嬢様に万が一のことがあったら旦那様と奥様に
合わせる顔がございません」
「大袈裟です・・・」
「ベルジアンがいるとハグもキスもできないじゃないですか？」
「え？ハグ？・・・キス？」
「していいの？キス」
鋼太郎が即、食いついた。
「私とコウタロウ恋人同士でしょ？・・・ハグやキスなんて当たり前って
思わないですか？」
「うん、うん、思う、思う」
「おふたりとも私がいても、したければ遠慮せずすればいいではないですか？」
「あなたが見てるところでなんかできるわけないでしょ？」
（俺はいいけど・・・見られてても・・・）
「では、今からキスしますって申告してくだされば、その間消えていますから」
「その間にしてください」
「ではどうぞ・・・」
「そうぞって言われて、するものじゃないです」
（だから、俺はしてもいいけど・・・）
「なんなら、ずっと消えててくれるとありがたいんですけどぉ」
「あなたもこの地球で好きな人でも作りなさいよ・・・ヒマしてないで」
「私のことはけっこう・・・分かりました・・・私は先に家に帰ってますよ」
「非常に迷惑そうですから」
「ハグでもキスでもして、なるべく早めのお帰りを・・・お嬢様」
「バイバイ、ベルジアン」
ベルジアンはその場からあっと言う間に消えた。
これで、ふたりきりになれた。
鋼太郎とラパンはそれからルンルンで動物園にでかけた。
あれだけハグだのキスだのと言っていたラパンはハグのこともキスのことも
すっかり忘れていた。
どっちかって言うと奥手の鋼太郎はキスの催促さえできずに悶々としていた。
楽しいデートには違いなかったが、一番困ったのはラパンを連れて動物園で
で檻に入れられたウサギを見て彼女lが泣きだしたことだった。
ここのウサギは自由がない、って・・・だから可哀想だって泣いた。
で、ウサギを全員持って帰るって言い出した。
「それは無理だから・・・持っては帰れないんだよ」
「そんなことしたら動物園に迷惑かかるし、だいいち泥棒になっちゃうだろ？」
鋼太郎は泣いてるラパンをなんとか慰めて、ウサギを持って帰ることだけは
諦めさせた。
場所が変われば、環境も変わる・・・ラパンの世界ではウサギが月を支配してるけど
この地球じゃ、ウサギがペットだから・・・。
しかたないんだよね。
ラパンが落ちこんだまま、鋼太郎は彼女を連れて家に帰った。
泣いてるラパンを見てベルジアンは驚いた。
だから、鋼太郎はベルジアンに動物園での出来事を説明してやった。
「なるほど・・・感情に流されましたか、さもあらん」
それから、鋼太郎はナーバスになってるラパンを慰めるのが大変だった。
涙と鼻水を拭うためにティッシュを持ってきたり、背中をさすったり、楽しく
なるようギャグや下手なコントをしたり・・・それでもなかなか笑顔を見せない
ラパンを鋼太郎は、どさくさに紛れてたまらずハグしてしまった。
「可哀想に・・・俺がついてるからね」
ラパンは抵抗しなかった・・・って言うよりむしろ積極的に鋼太郎にしがみついて
きた。
こうなったら、もう気持ちは止められない。
鋼太郎は、この時とばかりにラパンのクチビルを奪った。
アゴくいして・・・ラパンのクチビルにチューって・・・チューって、チューって、
それで、なんとかラパンの機嫌が直った。
「あ〜あ・・・結局、私がいてもいなくてもするんですね、キス」
ベルジアンが皮肉たっぷりに言った。
とぅ〜び〜こんて乳。
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