第5話:ラパンが地球に留まった理由。

「え?じゃ〜ラパンちゃんも、そんなことできるの?」


「私?・・・私は人よりドワーフ族より何倍も感度がいいんです」

「超高感度・・・めちゃめちゃ感度良好なんです」


「感度良好って・・・感じやすいってことだよね、それなんか意味深だね」


「そう、すっご〜く感じるんです」


「ほえ〜そうなんだ・・・」


鋼太郎はちょっとスケベナことを妄想してしまった。

そんなスケベそうな鋼太郎の顔を見てベルジアンが言った。


「お嬢様には予知能力があるんです・・・だから感じるって、感度良好って

言ったんですよ、コウタロウ」


「予知能力?・・・そうなんだ・・あはは、俺アホだ」

「なに?ってことは、つまり誰かの将来とか未来が見えるってことでいいのかな?」


「そうですよ・・・だからコウタロウの明日もちゃんと見えてます」

「ってことで、明日は学校お休みしたほうがいいですよ」


「え?なんで?」


「明日、コウタロウが学校に行く途中、横断舗装を渡ってるお年寄りと遭遇

するシーンが見えます」

「それでね、大型トラックが信号無視の上、暴走して来てそのおばあちゃんを

轢き殺そうとした時、よせばいいのに、おばちゃんを助けに飛び出したおバカ

さんがいるの・・・」


そこまで言ってラパンは鋼太郎を指差して言った。


「そのおバカさんって、コウタロウのことです」


「うそ〜俺って、俺?・・・俺はそんな人を助けるような勇敢な男かな?」


「それにコウタロウに死なれてもらったら私、困るんです」


「なんで?」


「あのね、私がこの地球に残った理由・・・内緒って言ったでしょ?」


「そうだね・・・え?それ話してくれるの?」


「ベルジアンがいるからな〜どうしょうかな・・・ちょっと恥ずかしいかも」


「私はなにを聞いても口が固いですから、お嬢様が大切にしてるお話は口外

したりはいたしませんよ」


「じゃ〜言っちゃいますけど・・・私、この地球に残った理由って・・・」

「コウタロウにひと目惚れしたからです」


「ひと目惚れ?・・・俺に?・・・ラパンちゃんが?」


「そうですよ・・・私にとって、もっとも重要で大切ななことですからね」

「だから、コウタロウにポックリいってもらっちゃ困るんです」


「ああ・・なんか棚ぼただな・・・」


「とりあえず、コウタロウの向こう一ヶ月ぶんの未来は見ましたから」

「気をつけたらいいのは明日だけです」

「残りの月日に関しては今の所アクシデントに見舞われることはないと思いますよ」


「まじで?・・・危なかったな・・・」


「じゃ〜明日はどこにもいかずに家にいよう〜」


「それも大事ですけど、私の気持ちも大事にしてくださいね」

「ちゃんと告白したんですから」


「それはもう・・・ラパンちゃんの告白を無下にはしないから、死んでも」


「だから、死なれたら困るんです」

「それにコウタロウには1日でも多く私のそばにいてほしいですし・・・」


「ふ〜ん、そうなんですね、それでネザーランドに帰らないって言ってる

わけですか?」


ベルジアンが横から口を挟んだ。


「私にとっては人生を左右する出来事ですからね、ベルジアン」


「人間とですか?」


「そうですよ・・・いけませんか?」


「まあ、異種同士でもちゃんとセックスだってできますからね」


「まあ、セックスだなんてベルジアン・・・」

「エッチって言いなさいよ、そっちのほうが可愛いでしょ?」


「エッチもセックスもすることは同じですよ」


「あの、ふたりとも・・・なに話してるのかな?」

「ラパンちゃんと俺のことで、なんでそこまで話が飛躍してんの?」


「ああ、そうですね、まだ早かったですね」

「そういうのはちゃんと愛を育んでからでよかったのでした」

「では、なおさら私も帰るわけにはいきません」


「え〜なんで?・・・私は夢と目的があるんだから帰らないけど、ベルジアン

は目的もなにもないんだから帰りなさいよ」


「なにを、おっしゃるウサギさん・・・おふたりのこれからの動向を見届け

なくては、おいそれとは帰れません」

「うまく行っても、いかなくても・・・」


「うまく行くに決まってます」


「あのさ、俺とラパンちゃんの未来は見えないの?」


「そんなに一年もの二年もの先の未来までは見えません」

「ベルジアンいてもいいですけど、私とコウタロウの邪魔だけはしないで

くださいね」


とぅ〜び〜こんて乳。


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