第3話:ベルジアンって執事。

ラパンが家出したってことで、さっそく彼女を迎えに月からひとりの男が

ラパンと同じようなUFOに乗って地球にやって来た。


その人物はラパンの家の執事で「ベルジアン」って名前の人物・・・じゃ

なくてドワーフ。

年齢は50歳前後か?

清潔そうな短髪にメガネをかけている。


普段はいたって穏やか、一見温厚そうに見えて切れ長の瞳は暗く普通のドワーフ

とは違っていた。

なんでもラパンの父親が治安の悪いエリアから彼を連れて帰ってきたらしい。


ラパンの家はベルジアンの他にもメイドさんが数人いる。

ってことはラパンの家は、お金持ちってことになるのかな?


そのベルジアンがラパンを迎えにやって来た。

ベルジアンはラパンみたいにUFOに乗っては来ない。

彼は瞬間移動ができるので、月から一気に地球へ飛べるのだ。


で、ベルジアンが吉田家の庭に降り立った時、鋼太郎は学校に行っていて

家にはいなかった。

お父さんの茂さんは、お好み焼き屋さんの店にお好み焼きを焼きに行って

いていなかった。


家にいたのは、お母さんの美和さんとラパンだけだった。


庭でモノが壊れるような音がしたので、美和さんはなにごとかと庭の方の

サッシドアを開けて庭を見た。

そしたら、知らない男の人が庭に置いてあったバケツに足をとられて、あたふた

していた。


「まあ、どなた?・・・」


「あ、ベエルジアン」


美和さんの後から外に出ていたラパンが横から言った。


「え?あの人、ラパンちゃんのお知り合い?」


「はい・・・うちの執事です」


「え?羊?」


「あ、これはお嬢様・・・」


「ベルジアンそこでなにしてるのですか?」


「どうも〜失礼しました」

「ところであなたは?このお宅のお嬢様でしょうか?」


べルジアンはラパンより先に美和さんに挨拶した。


「お、お嬢様?」

「私はお嬢様じゃなくて主婦です」


「こちら私がお世話になってる吉田家の奥様で「美和さん」って方ですよ、

ベルジアン」

「美和さん・・・こっちベルジアンって言って私んちの執事さんです」


「はあ、どうも・・・ベルジアンさん」


「改めまして、美和様」

「ところで・・・お嬢様・・・旦那様と奥様が心配なさっておられます」

「ってことで私が自らお迎えに参りました・・・さ、帰りましょう」


「せっかくだけど私、帰るつもりないですから」


「なにをおっしゃるウサギさん・・・帰ってもらないと困ります」

「お嬢様を放って私ひとりで手ぶらでは帰るわけにはいきませんからね」


「誰がなんと言っても帰らないって言ったら帰りません」


「困りましたな・・・」

「いいかげん機嫌を直したらどうです?」


「あ〜それはもうどうでもいいの・・・帰らない理由は他にできましたから・・・」


「ほう・・・その理由とは?」


「内緒です・・・そういうのはクチにすると泡になって消えてしまうの」

「夢や希望はね、人に言っちゃいけないんですよ、叶わなくなっちゃいますからね」


「そんなもんですかね・・・」


「あの〜立ち話もなんですから、家の中に入りません?」


ふたりの話を黙って聞いていた美和さんが言った。


「おう・・・ではお言葉に甘えて」


「え〜帰らないんですか?ベルジアン」


「ですから、お嬢様を残して私ひとりでは帰れませんから」

「このさい、お嬢様が帰るって言うまで、お宅に逗留さえていただきます」

「旦那様より充分、おヒマは頂いてきましたので・・・」


「ベルジアン、居座るつもりですか?」


「お嬢様だって居座ってるではありませんか」

「ってことで美和さん、よろしくお願いしたします」


「居座るのはいいですけど、帰ろう帰ろう言わないでくださいね」

「それに、いちいち私に説教しないでいてくれるとありがないんですけど?・・・

ベルジアンはいつでも文句が多いですからね・・・」


「間違いは正さねばまりませんからクチうるさく言うのですよ」

「お嬢様のためです」


「ウソです・・・イジメですよ・・・ただのパワハラ」


「解釈の違いですな」


「とにかく何日いても何ヶ月いても何年いても私は帰りませんからね」


「けっこう」


とぅ〜び〜こんて乳。


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