第6話 現状と新イベント

「オーディール、どうだい?」

「社長……喋ってる暇があるなら修正手伝ってくださいよ。色々とバグ報告も上がってるんですから。」

「いいだろ?私の管轄ではゲーム内での進行状況が分からないんだからさー。」

「いい大人が拗ねないでください。寒気がします。」

「ご、ごめんよ怒らないで。ちょっと、教えてくれれば良いから。」

「ハァーーー」

 溜め息長っ!

「えーそうですねぇ。まず、プライムでのカイン戦を終えた後、春イチバンというクランが最初に次の街のコトナリに入りました。現在続々とプレイヤーがコトナリに向かっています。」

「コトナリかぁ、なんか目ぼしいイベントあったっけ?」

「確か……今日からイベントの告知があります。」

「なんかあったの?」

「まあ、途中でタンポさんが提案したことです。」

「あーなんとなく察せるけど、具体的には?」

「具体的には……













プレイヤー・ゴルマッチョ


「ねえ、あれって。」

「あぁ、そうだな。」


 ふふふ、俺の事を噂してるな?全く、人気者は辛いなぁ。


「「クラン鹿馬のお荷物!ゴルマッチョ!」」


 ………………ふ。

「あ、逃げた。」 

「逃げたわね。」





 狙いを定めた良い攻撃だったが、俺には効かなかったようだな!



 ピコン!

 これは運営からのお知らせだな。前回のカイン戦ではクランで唯一レベルが足りず参加出来なかったが今や俺もレベル12!今度こそ、参加出来る!……筈だ!



【ワールドクエスト2】

日時・明後日の正午、プライムの街、噴水広場

解放条件・全てのプレイヤーがプライムの街に入る

参加条件・レベル15以上



 ………………………レベル上げ手伝ってもらうか。










「よし、ゴル!今だ!」

 クランリーダーのあおざかなにGOの指示を受け取った俺はスキルを発動する。

「よっしゃ任せろ!くらえ、俺の……」

 俺はモンスターに向かって走りながらスキルの準備をする。特に必要は無いが、あった方が強そうに見えるだろ?

「待て!スタン切れる!」

「え!?待てゴル!早まるなぁ!」

 後ろで何か言ってるが、俺への応援だろう。なればこそ、声援に応えよう!

「スキルゥ!!【ブレイ…あふん!?」

「「ゴ、ゴルマッチョォォ!!」」


 こういうときも……あるさ…………











「あぁー疲れた!」

「残業した気分だよ……」

 何とか二日で俺のレベルは16になった。

「ありがとう。あおざかな、ペーパーライス。」

「おう!今度飲み奢りな?」

「任せろ!」

 最近出世出来たしちょっとくらい大丈夫だな!

「なら、レアアイテム献上な?」

 ペーパーライスがニヤニヤしながら要求してきた。

「む!なら今!」

 確か!ここに俺秘蔵の…

「やめろ。お前の今のインベントリに良いものはない。」

「な!?このフレイムグローブ!格好いいだろ!?」

「いや、俺が言ってんのはレアアイテムな?それは週一の市場に行けば買えるじゃん。」

「そうか!まぁ、レアアイテムくらい良いだろう!」

「よっしゃ!言質とったかんな!」

「大丈夫か?

 ………ああ!?後一時間しかないじゃん!速くプライムに行かないと!」

 おっと、急がなければ!













「あ、三人とも間に合ったねぇ。」

「やー悪い。ゴルのレベルが上がって上手く稼げるようになって歯止めが効かなくなっちゃったよ。」

「おや?つまり?」

「俺も参加出来るというわけさ!」  

 俺は渾身のサイドチェストをランポに見せつける。これしか筋肉ポーズは知らないからね!

「おぉ、今度こそクランメンバー揃って戦えるってわけだ。」

「といっても、前回のカイン戦ではゴルは役にたたなかっただろうけどね。」

「そんなことはない!と思うぞ!」

「いや、そこは言い切れよ!」

「「「「アハハハ」」」」




 

プレイヤー・あおざかな


「こんにちは、前回戦った人もそうでない人も来てくれてありがとう。改めて僕はカインだ。

 今回、災害の一つから僕と旅人である君達に宣戦布告が届いたんだ。そこには、皆がいるプライム、それとハイサイとコトナリ。この三つの街にモンスターを引き連れて侵略をすると書かれていたんだ。

 そこで、皆にはその三つの街にそれぞれ待機して、そのモンスター達を撃退して欲しいんだ。もちろん参加報酬もあげるし、三つ其々の街で活躍した人にもだよ。」


 つまり、防衛戦かぁ。今回もゴルはキツいかなぁ。


「いいか?カイン。」

「いいよ、トウマ。」

 !トウマって春イチバンのクランリーダーか。あの人行動力あってすごいなぁ。

「その、災害はどこを攻めるんだ?それによって戦力の分散が……」

「申し訳ないけど、それは分からない。実際に攻めてこられないと。」

「………そうか。では、もう一つ、もしプレイヤーが街を守れなかったら?」

「それは……その街は滅ぶだろうね。」

「………………………ありがとう。」


 難しいなぁ。災害を倒せれば絶対に討伐報酬は良いものだ。だけど、カインが言うにはどこが災害を攻めるか分からないからこそ判断に困る。守る街に災害が来ないからといって災害が来た街に移動するのも違う気がする。逆に他のプレイヤーが移動してくれたらその街での活躍報酬を独占出来るかもしれない。

 うーむ……悩ましい。

 まぁ、とりあえず、



【ワールドクエスト2・侵略の爪】

    ・受注しますか?

   ・YES     ・NO



 選択しないと始まらないよね。

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