第5話 報酬と確認

プレイヤー・サスマタ


 いやー最高のイベントだったね!

 なんと、霊体になったプレイヤーもアイテムを渡されていた。ホントに太っ腹だよなぁ。

 効果は全ての状態異常と体力を最大まで回復させる効果があるらしい。少し欲しいと思ったけど!

 無事、参加報酬と最高ヒット報酬を貰えたよ。俺にはこっちがあるもんね!

 回復に関しては、春イチバンの誰かで、ガードに関してはなんと、アラータと組んだ盾持ちの子が貰っていた。アラータのやつ、デレデレしながら話してたけど、あの二人とクラン組むのかね?もしそうなったらワンチャン仲間に入れてもらうか。


 さてさて、おまちかねのぉ戦利品の確認ターイム!

「まずは参加…の前に刺股のメンテをしとくか。」

 ふきふきふき………………………………


 改めて、戦利品確認ターイム!

「参加アイテムは………

【友誼のブレスレット】

 NPCからの友好度上昇

 クエスト発生率UP

 モンスターによる攻撃の5%を無効化


 おぉ、個人的にはかなり強いと思うな。

 こんなのもらっていいのか!

 いや!まだ、浮かれるな!もっと良いものがあるからね!」

 周りに人がいない、セーブポイントでもある宿屋で一人言を言っているわけだが、ちょっと虚しい。クランメンバーがいれば自慢できたのに…………………

 このゲームのスレがあれば自慢しまくるのに………

「いやいや!切り替えろぉ!

 いきなりドン!え!?アイテム二つもある!?

 ま、まずは一つ目!


【手数のネックレス】

 三回に一回、攻撃毎にダメージ判定が二倍になる

 ※戦闘毎に回数はリセットされる


 ……………強すんぎ。つまり俺が刺股で突撃判定の攻撃をすればダメージ判定が二回から四回になるってことだよな?やばすぎやん!

 後は二刀流刺股で一回で八回攻撃になるか確認するだけだな!


 さて、もう一個!

【無頼のマント】

 攻撃時、敵に与えるダメージを20%増加

 戦闘時、敵から受けるダメージを10%増加

 【リバース・堅気のマント】

   ※条件 【無頼のマント】を裏返す

    戦闘時、敵から受けるダメージを20%減少

    攻撃時、敵に与えるダメージを10%減少


 へぇー、いいな。面白い!無頼が赤色で堅気が緑色かぁ。マジでいいな!」

 こういう、あからさまに強いわけではない装備を使うのが好きなんだよなぁ!


 今の装備が革製だから、このマントとは合わないなぁ。よし、ちょっくら稼いで、装備変えるか!








プレイヤー・トウマ


「それで?どうなんだよ!枝豆ぇ!」

「こら、アキト。急かしてやるな。」

「でもトウマだって気になるだろ!?」

「もちろんだ!」

「ね~?」


 現在、宿屋で戦利品の確認をしている。後は、最高回復のアイテムをもらった枝豆次郎だけだ。

 因みに加糖ぱんは急用でいなくなった。


「いやぁ、まさか本当にとれるとは思わなかったけど、ワクワクが止まんないよ!」

 アキトが枝豆次郎の肩を持ちながら鼻息を荒くさせる。鼻息や吐息を感じるようになれるなんて、流石パイヤニーだ!

「ほらほら!速く!

 いやぁ!分かってるね運営も!プレゼント箱で中身が分からないようにするなんてさ!」

「……いく!」

 俺は黙ってみていたが、内心のドキドキを隠すのに必死だった。


【回復のネックレス】

 回復魔法使用時、任意で半径1m(調整可能)の円を展開する

 その円の中にいるプレイヤー・NPCを回復させる

 円展開時、使用MPを1.3倍になる


「なかなか、良いな。」

「良いな~、俺もそういうの欲しかった!」

 アキトが枝豆次郎の肩に顎を置いて羨ましそうに呟く。

「あ、待って!もう一個ある!」

「「なにぃ!?」」

 まさか、限定アイテムが二個もあるとは!最多ヒットはソロだったっぽいし、加入してもらうのもありか?

「え!す、すごいよこれ!」

 枝豆次郎が見せてきたのは白と黒のリバーシになっているマントだった。

「「どれどれ?」」


【慈愛のマント】

 速度+5

 回復魔法の性能を1.5倍にする


「んー?微妙じゃね?」

 確かに、驚く程では……は!?

「待て、アキト。スクロールしろ!」

「え?……あ!」


【慈愛のマント】

 速度+5

 回復魔法の性能を1.5倍にする

 【リバース・非情のマント】

  ※条件 【慈愛のマント】を裏返す

   回復魔法の使用が出来なくなる

   戦闘時、その戦闘で自身が回復魔法を使用して

   回復した体力の値の分だけ、自身の能力値に均

   等にその数値を振り分ける

   ※戦闘終了時、自動で【慈愛のマント】に戻る



「これは……」

「すごいな、切り札ともなり得るな。」

 俺が枝豆の方に目を向けると身体を震わせていた。

「やったぁぁー!!!何これ!?最高だよ!」

 おぉ、こんなに喜んでる枝豆は初めて見た。

「そんなに嬉しいの?」

「もちろん!皆を支える回復魔法も好きなんだけど、たまに思ってたんだ…戦闘に参加したいって。」

「!…そうだったのか。すまない、気付けなくて。」

「そんなことない!トウマがこのゲーム誘ってくれなかったらこんなに楽しい気持ちにならなかった!

 ありがとう!」

「そうか!」

「なにさ、トウマ。満更でもない顔しちゃって。」

「な!?そんなことは!」

「あるよ。」

「あるね。」

「………そうか。」

 恥ずかしいな……まぁ、いいか。楽しいから。








プレイヤー・ユーラン


「いやぁ!楽しかったね!それとおめでとう!最多ガードで賞!」

「ふぅ、そうね。……面白くはないわよ?」

「ガーン!」

 相も変わらず、元気ね。この子は。

「それにしても、お知らせの後慌ててレベル上げて良かったね!」

「だから、アップデート前からレベル上げはしようって言ってたじゃない。」

「うーん、ごめんごめん!でも間に合ったし良いよね!」

「………そうね。」

「それにしても、アラータさんだっけ?何でクランのこと断っちゃったの?」

「あーゆうのはね?出会い厨って言って…」

 分かってないわね。

「まぁ、ナンパされてたってことよ。」

「ええ!?じゃあ私のことがす、すす!」

「そういう意味じゃないわよ。」

「そっかー」

 この子を一人にさせてはいけないわね。


 それにしても、こんなことになるなんてね。

 …最初はあまり乗り気じゃなかった。この子に誘われたから始めたゲームだったけど、気分転換には良いかもしれないわね。このゲーム。


「そうだ!そろそろ、最多ガードで賞を見ようよ!」

「お腹空いたって言って飲食店に駆け込んだのは誰かしら?」

「おっと耳が……」

 私が尋ねると、バツが悪くなったのか耳を閉じる仕草を……いや、本当にアバターの耳が動いてる?

「あれ?ユーランもお揃い!?」

「えぇ………」

 これ……すごいわね。他の所も技術ですごいのはいっぱいあるけど、こんなに違和感のない、本物みたいなアバターは初めて………もしかして、かなり凄い技術を使った?それとも、アップデートの時に新しく人を雇った?いやそんな凄い人なんて、引く手数多だし……でもかなり当たりのゲームってことは確かね。ここの会社も後でチェックを………

「ヤッホー!!!!!」

「きゃあ!?」

「あはは、きゃあ!?だって、可愛いぃ!」

「……もう、驚かさないで。」

 全く、この子は。

「ほら、見せて!」

「はいはい。」

 私はインベントリの中にあるプレゼント箱を開ける。

 中身は………


【防壁のネックレス】

 ガード時、その攻撃が自身の体力の1/4だった場合、攻撃してきた相手の体勢を崩す


 へぇ、いいね。ならもう少しHPにポイントを振っておかないと。

 もう一個は……


【比護のマント】

 防御・魔防+10

 攻撃・魔力-10

 味方のダメージを半分肩代りすることが出来る

 ※肩代りにはMPを使用し、発動は一回毎に一度のみ

 【リバース・蹂躙のマント】

  ※条件 【比護のマント】を裏返す

   防御・魔防を固定で0にする

   攻撃・魔力を減少させた防御・魔防の数値の分   

   だけ均等に振り分ける

   ※戦闘終了時、自動で【比護のマント】に戻る


「これは………」

「ふ~ん?すごいね!」

 分かってないわね、これは。

「ねぇ、これからこのゲームやる頻度増やさない?」

「ほんと!?良いの!」

「えぇ。」

「やった!約束だよ!」

「ちゃんと戦闘もしようね?」

「……………うん。」

 釘は刺しておかないと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る