第3話 新武器と新情報
プレイヤー・サスマタ
「おぉ、ここが鍛冶屋か。」
さっきのクエストで教えてもらった刻印、惹かれはするが今はいい。それよりも、アップデート情報にあった"社員が選んだ使えそうでなかった武器"欄に俺の名前があった。
そう!つまりは刺股だ!
へへへ、ハイサイには鍛冶屋がなかったから急いで次の街に来たは良いものの、クエストクリアで解放とは思わなかったぜ。それで二時間くらいプライムの街を走り回ったけど、過ぎたことは気にしない!
「こんにちはー。」
「……誰だ?」
「えぇと、カインさんの紹介で来ました。」
「………そうか。用件は?」
よしよし!本来なら自分の武器に刻印をするのだろう……だが、俺は刺股を欲す!
「この店で刺股を取り扱ってるか?」
俺は身を乗り出して尋ねる。
「……………ないな。」
「なぁ…!?」
撃沈だと!?
まさか、もっと先じゃないと無理なのか?
「落ち着け、ここには無いだけだ。」
「ど!どこならある!!」
俺はまた身を乗り出す。
「うお!?
…………そういう妙ちきりんな物は俺の息子が作ってる。興味があるなら場所を教えるが……」
「是非!」
「……俺の息子はバカだから、お前が息子を騙さないか確認したい。街のちょっとした手伝いを…そうだな、三個はこなして欲しい。」
【クエスト・親の心子知らず】
「もちろん。それくらい数分でこなしてやるさ!」
俺は駆け足で鍛冶屋を出た。
一時間後~
「ハァ…ハァ…何で…こういう時に限って、迷い猫とかハイサイ宛の手紙とか時間が掛かるやつばっかなんだ!」
「戻ったか……確認した。」
【クエストクリア】
「あぁぁぁーーやったぁぁぁ!」
俺は喜びの雄叫びを上げる。精神的にめっちゃ疲れた。特に疲れたのは三つ目の声が掠れた婆さんのクエストだ。何言ってるのか分からないし、聞き返したら怒るし、大変だった。
「よし、息子の鍛冶屋を教えよう。」
「うっしゃぁぁぁ!」
「ここだ。」
おぉ、プライムの街の地図にマークがついた。
「ありがとう、おっちゃん!今度は何か買うよ!」
「あぁ、息子によろしくな。」
「………ここか?」
さっきのおっちゃんの鍛冶屋は如何にも、な感じだったのに、教えられた所は普通の民家のような所だった。
「……とりま、入るか。」
ガチャ
「いらっしゃいませーー!」
出てきたのは若い青年で、おっちゃんとは似ても似つかない性格だと一目見て思った。
「こんにちは。」
「お父さんから聞いてるよ!刺股でしよ?」
「はい!ありますか!」
「ふっふん……あるよ!」
「おぉぉ!見せてくれ!」
「もちろん!」
おぉ、普通の刺股にトゲがついた刺股、さらには折り畳み式刺股まで!……まぁ、折り畳み式はインベントリに入れるからあれだが、面白いからあり!
「以外と安いな?」
「あーホントはもうちょっと欲しいんだけど、売れないからさ。」
まずは、店の外観を変えるべきでは?
まぁ、個人の経営方法に口は出さないけど。
「じゃあ、本来の値段で買うよ。」
「え?良いの?」
「その代わり、これからもちょくちょく来るからサービスよろしくな?」
こうすれば、刺股の情報とか色々と有利になるだろうし、何よりアップデートされたからなのか、NPCのクオリティが上がって、本当に人と話してるみたいだ。
「ありがとう!それじゃあ、これが適正価格だね。」
……………あっぶね、一番安くて予算ギリギリだ。
「とりあえず普通の刺股で。」
「分かりました!
真鍮の刺股のお買い上げありがとうございます。
こちらで仮使用が出来ますが、されますか?」
「マジ?使わせてもらうわ。」
「それでは、こちらへどうぞ。」
これから楽しくなりそうだ!
プレイヤー・アラータ
「う~ん、突破できねぇなぁ。」
トップランカーを目指すためにプライムの先の街に行こうとしたのだが、街道に出没するモンスターが以外と強い。
「そんなに有名じゃないゲームならランカーになれると思ったのに……有名じゃないからこそゲームバランスがイカれてんのか?
………フゥー。」
もう一度、装備を整えるか。
「お?あれって……おーい!」
「おぉ、アラータじゃん。」
「よぉ、サス……何それ?」
「え?刺股。」
「刺股?」
「そう、刺股。」
「学校にある……あれ?」
「そう、あれ。」
何で?
「それって……武器なん?」
「武器だよ、ステ見る?」
「サンキュー。」
【真鍮の刺股】
攻撃+18
打撃+3%ダメージ補正
突撃+3%ダメージ補正
10%クリティカル発生率上昇
随時メンテナンスが必要
「あれ?」
俺は自分の一番良い武器を確認する。
【鋼の大剣】
攻撃+16
斬撃+2%ダメージ補正
速度-15
使用毎にメンテナンスが必要
「あれ?」
「フッ弱っわ。」
なんだ、こいつ。煽ってんじゃん。
「えぇ?武器屋で確認したのに?」
「クエストやった?カインさんのやつ。」
「何それ?」
~しばらく~
「これが用意できる武器だ。」
サスマタに情報(有料)をもらい一通りクエストを終わらせてきた。
見たところ真鍮の刺股並みの武器やそれ以上もあった。もしかして、このゲームってクエストクリアしないと攻略出来ないタイプか?
あぁ、最速系は諦めるかぁ。
「じゃあ、一番攻撃力が高い真鍮の大剣で。」
【真鍮の大剣】
攻撃+22
斬撃+3%ダメージ補正
5%のクリティカル発生率上昇
速度-18
随時メンテナンスが必要
「仮使用は?」
「大丈夫っす、では。」
俺は真鍮の大剣をインベントリに入れず、持ったまま街道に向かう。
「お、レッドワイルドボアか。」
レッドワイルドボアは鋼武器だと苦戦したが、真鍮だとどうだろうか。試すのには丁度良い。
「よい……おぉ、振り上げがやっぱきつ…ぐは!?」
痛ってえ、やっぱ速度が落ちてるからスキがでけぇ。膝位で振り回した方がいいかもな。
それと、レベルもなるべく上げないと。これからも大剣でいくから防御面も気を付けないとな。
でもその前に、
「ほぉら、ほぉら、来いよ来いよ……」
獣風情が半分も体力持っていきやがって、ぶちのめしてやる。
「フゴォ!!」
「ホントに猪突猛進ってか!」
俺は大剣を両手で下に構えて、右から左に斬りつける。手応えは十分。
「ガッ!」
さらに追撃、と思ったらレッドワイルドボアは横に倒れた。
「攻撃力6上がっただけでここまで変わるか……とりあえず、防具か盾か考えとこ。」
金はあるし…何買おぉおう?
自分のステータスを見ていると運営からお知らせが届いた。
【ワールドクエスト1】
・プライムの街中心の噴水前、明後日の正午
・全てのアクティブプレイヤーがプライムの街の鍛冶屋を解放する
・レベル10以上
「へぇ、面白そうだ。」
明後日は日曜日だし、後2レベ上げれば参加できるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます