無自覚系女子と身体測定
今日の占い
1位は‥水瓶座のあなた‥!
気になっている人に話しかけられるでしょう!
‥嘘つけ。
今日の運勢がいいわけない。
だって今日は‥
魔の身体測定の日だから。
***
「茜ちゃん、今日は気が重そうだね」
千春ちゃんが久々に話しかけに来た。
小池 千春ーーークラスメイトであり吹奏楽部の部員である彼女とは、中2の時に席が近くなったことがきっかけで、それなりに仲良くなった。
ボーイッシュで社交的な、コミュ力が高い人だ。
「あはは、、身体測定が、、あるから、、」
「なんで??別に良くない??茜ちゃん体重軽そうだし」
「体重、、そっちじゃないんだよね、、」
女子中学生は「それな」「マジで」と同じレベルに「太るの嫌だ」とかよく言うので千春ちゃんは体重の方だと解釈してしまったらしい。
「え、身長の方??身長167ある私からしたら、その平均的な身長めっちゃうらやましいですけど??」
10センチほど違うのか、という衝撃の事実に驚きつつ、彼女の目を見上げながら答えた。
「もう少し身長が欲しい、、」
「いざ高くなったら絶対私と同じこと言うから、、!!」
つまり、ないものねだり、ということか。
偏りすぎていても平均的でも悩みがつきないなら、
それはもう、もはや解決しようのない悩みなのではないだろうか。。
そんなことを思っていると自然とため息が出た。
他の人にとってはどうでもいいかもしれないが、私にとってこの悩みは結構深刻だ。
私はもっと高身長になって、なめられない人間になりたいのだ。
だから
千春ちゃんみたいに高身長になれたらなぁ、、、
と、よく思うのだ。全く、、羨ましい限りだ。
***
身長測定が終わった。
身長をみんなと聞きあって、わかったことがある。
やはり、私の友達の身長は、幅が広い。
上から順に
羽生 昂輝 181 幼稚園の時からずっと高いなぁ。。
若狭 林檎 174
糸井 輝 172
加瀬 大也 168 小学校の時は同じ身長だったのになぁ。
小池 千春 167 男子の間に割り込める身長、改めてすごいな。。
三島 瀧人 163
天野 七瀬 161
三笠 氷河 158
和達 茜 157
相川 哲人 155
長谷川 檸檬151
乃木 愛葉 151
下から数えた方がはやいじゃん、と絶望したが、男子も入れてるし、レモンちゃんやあいちゃんは私より低いし、と頑張って自分を安心させた。
全体的に見たら低いが、実際には去年より2センチ増えていたので嬉しさのあまり、ガッツポーズをしていた。
さて、次は体重測定か。
実は体重に関してはあまり危惧していない。
私は食べても太らない、女子から羨ましがられる体型をしている。
バレエを昔していた時も、踊りは下手だったが体型だけはよく先生に褒められた。
そういえば、、三笠さんとあいちゃんもバレエをしていたような気がする。
2人ともバレエ関連で仲良くなっていたが、私は今はバレエをしていないのでちょっとバレエ関連で仲良くなるのは難しそうだ。
そんなことを思っていると
「あーいいね茜ちゃんは」
また例の、女子にしては低い声が聞こえたのでまたかと振り向いた。
やはり三笠さんだ。
「何が、、?」
また恒例の「いいなー羨ましいー」的な無駄に謙遜しあう会話が始まる予感がした。
最近それなりに話しかけてくるのでなんとなく三笠さんの性格がつかめてきた。
三笠さんは結構、謙遜する人なのだ。
「体重、絶対30キロ代でしょ」
私は答えなかった。
事実、そうだろうからである。
おそらく今回も30キロ代後半をさまよっているだろう。
普通ここですぐ否定したりするのだろうが、「そんなことないよ」と言ってもあとでどうせのぞき込まれて「やっぱりじゃん!嘘ついたじゃん!」と自虐気味な苦笑をされながら逆ギレされるぐらいなら、、
黙っておこうと思った。
だが、逆にそれが体重30キロ代説の信憑性を増させたようだった。
「うわ~否定しないじゃん絶対そうじゃん、あーいいな私もダイエットしなきゃ」
また三笠さんあるあるが出た、よく出る早口だ。
早口の時はだいたいテンションが高い。
「、、なんで?」
彼女は太ってないと思う。細身なわけではないが、標準体型よりは少し細いだろう。
「最近太ってきてん、、だから今日のお昼ご飯はみかん2つだけ、、」
急にしょんぼりとしたテンションになって信じられないような悲しいことを言った。
いや、ききづてならんな。
あの三笠さんともあらん人が栄養バランスのなってない食事をとるなど。。
いや、三笠さんはスパルタだから、いざダイエットすると決めたらとことんやる人なのだ、だからこそ、そんな食事をとっているのかもしれない。。
とか、そういうの以前に、、
そんな食事制限ばかりして急に体重を減らして、病院送りにでもなったら怖い。
こんなことを考えていたのだろうが、、そういうことを考えている、ということを知る以前に
私は彼女の脇腹にとっさに手を伸ばしていた。
「、、わぁ!?」
三笠さんが威厳のない拍子抜けした声をだした。
ちょっと戸惑っているのか、固まってしまった。
「んーやっぱ脂肪ないじゃん、ダイエットしなくていい気がする」
「え、そ、そうかな、、?」
私はヘドバンみたいに首をふってうなずいた。
私は嘘で人を褒めたりしないし、誰に対しても嘘の感想は言わないように心掛けている。
ダイエットをしなくてもいいんじゃないかーーこれは正真正銘、私が心の奥底から思ったことであった。
そして、三笠さんは嬉しそうにただ一言、
「ダイエット頑張るね、、!」
と言った。
「ダイエットしなくていいじゃん」と言ったのに、逆になぜか気合いをいれてしまった。
***
「やぁ君、どうだった?」
全てが終わるや否や、話しかけてきたのはレモンちゃんだ。口調はいつも通りなのに、表情が沈んでいる。
「んーまぁまぁかな、、レモンちゃん、ちょっと機嫌悪い?」
「あはは、、あは、あはは、、もうおしまいだよ」
「、、何センチのびたの?」
「、、1ミリものびてなかった」
「うそん!?」
柄でもなく大声を出してしまい周りの人が何事かとみてきた。
太ってるとか太ってないとか、どっちでもよくなってきたかも、、。
彼女に触られた脇腹を恐る恐る触る。
無自覚なんだよね、、?大胆なことしてくれるじゃん、、。
思い出して顔が赤くなる。
脇腹を触りながら勉強机に突っ伏した。
こんなことされたら、、集中できない、、
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