氷河と莉音
あの子のことを1番わかっているのは私だと思う。
神木 莉音@3A
「氷河!同じクラスだね!」
「すごいね、3年連続だ」
「また1年間よろしく~」
「もう違うクラスになるの想像できんわ、よろしくー」
氷河ーーーー三笠 氷河は私の大親友で、おさななじみだ。
彼女はポーカーフェイスだし、完璧超人だから、尊敬されたりちょっと恐れられたりしているのだが、
私は恐れはしないし変に尊敬もしてない。
氷河は何をしてもすごい。勉強、運動(特に走るのが速い)、ピアノにスキー、書道もできるしイタリア語の歌も歌えるし、英語も得意。研究もしてるし、将来はキャリアウーマンになって結婚しないで生きていくとかいう宣言までしちゃってる。
まぁ氷河ならやりかねんわぁ、、と思ってしまう私もいる。
変な男とくっつくぐらいなら、結婚しないで独り身で生きていってほしいとも思う。
私が男だったら、また変わった考えだったかもしれない、けど。
「はーい、席ついてー」
新しい担任(でも実は2Aの時と変わっていない)の呼びかけに応じて座りつつ、静まれとは言われてないから席の近い去年も同じクラスだった女子と話していた。
「はい、皆さん知ってると思いますが、このクラスの担任になった、石賀 豹真です。1年間よろしくお願いします。」
典型的な挨拶をする、この石賀先生は、たまに抜けてて頼りないがそこをいじられて生徒間では豹真呼ばわりされるほど人気者となっている。
「ひょーまー、HR企画ってどうするんですかーー?」
「あー好きに案だしてってー、竹達さん仕切っていいよ」
「うえーい!」
先生てきとうだなぁ、生徒に投げやりじゃん。なんでこの先生が人気なのかわからない。
ちょろくて手玉にとりやすいからかな、、?
石賀先生を下から上まで人定めの目で眺める。答えは単純だった。
、、、、、、あ、顔か。
確かにそこらの男子よりはいけてる顔だ。
いやでも、絶対氷河の方がかっこいい。
顔とかそういうのじゃなくて、総合的に。
「えーじゃあHR企画さ、案ある人いる?」
「はいはーい!みんなの誕生日知りたいからさ、誕生日ゲッターしようぜ」
、、、、???一同困惑。
「佐々木、何それ、、?」
「このクラス全員の誕生日を聞きまわって、全員のを1番はやくコンプリートした人に景品与えるってやつ!」
「すごいしょうもなさそー!」
「ちっちっち、わかってないね、!景品は俺の検索履歴を覗く券だ!」
「却下却下、そんなん誰も欲しくないわ」
「ひっど、、」
「あ、じゃあ、」
おー先生いいところに!たまには活躍してくれるんじゃないか、なんて少し期待した。
「景品は、僕からのファンサで」
期待した自分がばかだった。
だからいらんって。
あれ、でも1部の女子がキャー!!て叫びまくってる。
全然キャーッ!(歓喜)じゃないよ。
本当に、このクラス大丈夫だろうか、、。
それとも私の価値観がおかしいのか、、?
そう思ってあたりを見回してみた。
きゃーと叫ぶ明るい女子たちが10名ほど、佐々木をいじってる五月蠅い男子が10名ほど、こっそりスマホやパソコンを触って我関せず、とゲームをしてる男子たち、一応話は聞こうとしてるまじめな女子(ここに私や氷河は含まれていると思う。)、、
でもただ1人、変わった人がいた。
1人ぼけっと虚空を見つめている人がいた。真面目に話を聞いているようには到底見えない。
席が遠いから出席番号は後ろの方だろう。
「あの子誰だろう、、?」
人脈が広そうな、さっき話してた子に聞いてみる。
「あ~あの子はねぇ、1年の時にアザミに壁ドンされてた子だよ」
「え、アザミってあのゲーム好き男子の?」
「そうそう、結構B組では噂なってたけど、あ、莉音ちゃん1年の時C組だったから知らないか」
「はえ、、そうなんだ、壁ドンとかほんとにあるんだ、、」
「目撃人はいるけど本人たちは全力否定してたよ」
「だ、だよねぇ、、やっぱ壁ドンとか現実じゃあそうそうないよねぇ、ところであの子の名前は、、?」
「和達 茜、何回かしゃべったことあるよ、ミステリアスだけど案外普通な子なのよね」
あの子が、、普通、、?
普通ってなんだろう。
そんなこと考えだしたらきりがない、と言われそうだが、いい機会だ、考えてみよう。
人にはそれぞれ個性がある。
その個性の中でもずばぬけて少数派の個性の持ち主が、個性豊かな人、と呼ばれるのだと思う。
普通、平凡、それは同じような個性を持つ人が多いってだけで、少なからず個性はあるのだ。
クローンじゃあるまいし、、。
結論、、普通なんて、その個性の大人数派が勝手に決めただけだ。
人生の形、生き方も、性格も、恋も、なにもかも自由なのだ。シャチと猫が恋したっていい。自由だ、
だから私は普通という言葉はあまり好きじゃないし使わない。
でもこんな自論を急に語りだすのも文脈があってない気がしたので
「へぇ、話してみたいなぁ」
とだけ返しておいた。
ん?そういや、、まてよ、、
和達 茜、どこかで聞いたことある名前だなぁ、、茜、あかね、あかねr、、
「やっほ~りおーん、どうしたんあかねるの名前つぶやいて、、」
「はっ!びっくりした、七瀬、おはよ」
こんなことを考えていたら知らぬ間に休憩時間に入っていた。
て、あ!あかねる!それだ!
「あかねるって茜ちゃんのこと?」
「そうやで~小学校の時からのあだ名らしいよ~」
「そうなんや、七瀬ってあかねると仲いいよね」
一瞬七瀬の目が、動きが、口が、時が止まったかのように固まった。
が、すぐに動き出して、
「うん!仲いいで~」
七瀬はにぱっと笑って見せた。
でも、それだけじゃない。私は彼女の名前を、聞いたことがある。
ほかの人から、毎日のように聞かされている。
なんで気づかなかったんだろう、あれが例の茜ちゃんか。。
目を鋭くした。
見定めてやる。
「やっほ~りおーん、どうしたんあかねるの名前つぶやいて、、」
離れていたが、彼女の名前が耳に入ってきたのでちらっと視線を向けた。
どうやら、七瀬、、茜ちゃんの友達の声らしい。
てか、ん、、?茜ちゃんの名前をつぶやく、、?
それはもしや新たなライバル登場か、、?
七瀬の話しかけてる彼女を見た。
二度見してしまった。
え、、、そんなこと、、あるわけない、、。
何言ってるの神木、、。
視界が白くなった。
うそでしょ、、?
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