私の天国、3年A組!!
突然だが、!私は今年の春休みをもって、吹奏楽部をやめることにした!
そう川口君と三日月さんの前で宣言した。
川口君は同学年の吹奏楽部員をとりしきる、リーダー格だ。
「うん、いいんじゃないか、?いい機会だし」
さらっと受け流された。
同伴している三日月さんは彼にたくさんツッコミをいれることで有名な、ツッコミの大将である。
「そうね、退部届の出し方は知ってる?」
こちらにもさらっと受け流された。
「はい、これでも一応元バドミントン部なので」
バドミントン部を抜けたことがあるから退部届の出し方は知っているよ、ということを言いたかったのだが
この言い方だとなんだか違う意味にとられそうだ。
「え、元バドミントン部!?初耳だぞ」
「うるっさい!黙りなさい!」
「すんませんでした」
川口君と三日月さんのいつものツッコミとボケをいつも通りだなぁと思いながら傍観した。
このツッコミとボケを身近で聞くのも、もうあんまりないだろうな。
でも別にそこまで名残惜しくないからいいや、と思った。
そういう軽い気持ちで、ジャンプをするような感覚で、退部届を出した。
ここだけみると、軽い気持ちで部活をやめる情熱のない人、みたいに思われるかもしれないが、
(確かに情熱などこれっぽっちもないが)
これでも、川口君と三日月さんと何度も意向を話し合って、決めた結果なのだ。
結構自分でもいい決断をできたと思っている。
そうして部活をやめてから時がたった。春休みが終わり、私は3年生になった。
新学期を迎え、久々に学校の最寄りのバス停から学校へと向かっているところだ。
その道中、頭の中はクラス替えでいっぱいだった。
はぁ、、緊張するな、、あの道徳での1件があった後すぐに先生方が灰坂君とクラスを分けることを確約してくれた。先生方には本当に感謝しかない。ありがとうございます。
だからそこの心配はしていないのだが、誰と一緒になるか、気になって仕方がなく、とてもどきどきする。
クラス替えはとても大切だと中1の時思い知らされたから余計にどきどきする。
今年こそ一緒になれるかなぁ、、?七瀬。。
一緒だったら心強いだろうな、、糸井。。
それにレモンちゃん、あいちゃんも同じクラスだったら最高だろうなぁ、、。。
そんなことを思っていると、廊下に入った。ここを曲がるとクラス替えの結果が貼ってある場所へと出る。
あぁ緊張するな、いったん、通り過ぎて教室に荷物を置き、一呼吸してからみようかな!うん!
そうしよう!!
そう思って一思いに廊下を曲がって突っ走り、教室へと駆け込んだ。
この教室も今日で終わりかぁ、これはさすがに名残惜しいなぁ。。
辺りを見渡しながらしみじみと感傷に浸っていると急にばっと物陰からレモンちゃんが登場して驚きのあまりのけぞってしまった。
「え、え、なにごと、、?」
「やぁ君、3年連続同じクラスだね!!」
「え、ええ、!?唐突なねたばれぇぇ!?」
レモンちゃんは、私の机にどん、と置かれたリュックを見て、
やっと私の状態ーー学校に来たばかりで何も知らない状態ーーに気付いたようだ。
彼女の顔がみるみる真っ青になっていく。
「あぁぁ!え、本当にごめん、本当にごめん!」
「いいよ、レモンちゃんが、私と同じクラスかどうか気にかけてくれてたんやって知ってうれしかった!」
ちゃんと友達だと思ってくれていることを再認識し、やっぱり、
バレンタインのは素なんだな、、天然なんだな、、ということも再認識した。
にまっと笑ってからかってみると
「うるさい、友達のクラスぐらい確認するやろ」
と言ってそっぽをむいてしまった。
あらやだかわいいなこの子、ツンデレ気質もあるのか。
するとあいちゃんがやってきた。
「あ、おはよ~!」
「おはよ~!あ、あいちゃんは何組やったん?」
「私はB組~真裕ちゃんといっしょだった!」
真裕ちゃんは彼女の親友の1人なので、結構嬉しそうだ。
「ところで私は何組なの?」
「あぁ、私と同じだから、君はA組だよ」
あいちゃんが、あいちゃんにしては珍しく、なぜ自分でクラス確認していないんだろう、、と
訝しげな目を向けてくるが彼女もリュックから状況を把握してくれたようだ。
「あ、なるほど」
と声が出ちゃってるあたり彼女も天然なんだなと思う。
我ながら可愛い癒しだ。クラスが離れるのは残念だが、引き続き仲良くしつつ愛でようと思う。
「じゃあそろそろ私も自分の目でクラス確認しに行くわ~メンツ見たいし」
「おっけー!いってらっしゃ~い!」「いってら~」
レモンちゃんと一緒であることが先にわかっているのは心強いなと思いつつ、まっすぐにA組の方へ向かう。時間が遅いので、だいぶ人もひいてきたようだ。
さて、と私のクラスは、、とメンツに目を向けた瞬間歓喜の声が頭の中で響き渡った。
お、おぉぉぉ!!!七瀬とも糸井とも同じクラスだ!!
やったぁ!わーい!
しばらく頭の中でパレードを行った後、ふと現実に戻ると、隣にずっとクラスの表を見ながら呆然として動かない人がいることに気づいた。
もしかして、なにかショックすぎて動けていないのだろうか、、?
ちゃんと誰か確認しようとその人の方へ顔を傾けようとした時、後ろから七瀬に抱き着かれた。
「くはっ!!何事や、急に抱き着いてきて」
「え~だってあかねると同じクラスやねんもん!!これは喜びのハグや!」
「もう、しゃあないな、しばらくはいいよ、あ、、」
「やったぁぁ~あかねる大好き~!」
私は七瀬のせいで結局隣の人の顔を見ることができなかった。
まぁいっか。関係ないし。
そんなこんなで結構よさげで天国のような、3年A組に所属することになった。
これから3年生!1年よろしくお願いいたします!
う、嘘だ、、こんなうれしいことあっていいわけない、、!
こ、ここはたぶん、夢の中だ!
だって、え、、彼女が、、あ、あの子が私と同じクラス、、!?
やったぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!
そんなことを思いつつクラス表を眺めていると隣に例の彼女がやってきた。
朝から、姿見れるとか最高すぎない、、?
私はドキドキしすぎて緊張して顔すら動かせなかった。
頑張って意識せずに話しかければ普通に話せるが、意識してしまったら最後、こうなってしまう。
この沈黙、耐えられそうにない、、!
彼女にばれないように必死に息をひそめていた。緊張とドキドキのあまり頭がほわほわする。
今話しかけられたら、私は、うまく話せそうにない!!
そしてしばらくするとそこへ彼女の友人がやってきた。
ナイス友人とおもったのもつかのま、
「ぎゅーー!」
彼女の友人が、な、なんとハグをし始めた。
な、な、ななな、、!?!?
自分の顔がもっと赤くなっていくのがわかった。
い、いいなぁ、、うらやましい、、私も、、いつか、、ハグしたい、、。
こうやって平然とハグできるような仲に、、っていや!まずは!友達からだけどね!!
ふっと呼吸をして落ち着き、むすっとして嫉妬の目を向ける。
やっぱりこの子狙いの人は多いんだ、、
唇をきゅっとかたく結んだ。
なんとしてでも彼女を勝ち取らねば!私だけの彼女にしなければ!!
今年中に、、この気持ちを伝えたい。
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