追ってくる過去
ATTENTION!
本来の雰囲気に戻しましたがまだ、病気(心の病気)等重たい話が少しあるのでご注意ください。
バレンタインから少し経ち、私は久々に登校した。心臓が痛すぎて学校どころではなかったのだ。
本当に心臓に異常がないのか、?と痛みが来るたびに疑ってしまうぐらいには痛かった。
「あ、あかねる、、ほんとに大丈夫、、?」
七瀬が前にシルアウトの話を持ちかけた時以上に低く暗い声で心配そうに私の顔をうかがってきた。
「大丈夫だよ、心臓は健康だし、心の問題なんだから!」
大丈夫だよアピールをしたかったのだが、かえってそれがだめだったらしい。
七瀬は余計に不安な顔になってしまった。
「でもあかねるが飲んでるサロナールって確か鎮痛剤だよね、何がともあれ痛いもんは痛いんじゃん」
「それは、、、、そうだけど、、」
そういわれるとだんだん自分でも自分の身が心配になってきて、黙り込んでしまった。
学校の後に行った病院では小児科の金城先生に
「茜さんの場合は心の問題で心臓が痛んでるってことだから、具体的に何が問題なのか探らなあかんわ、試しに痛みノートをつけてみようか」
とアドバイスされた。
痛みノートというのは痛みの症状を書きつつ、どんなタイミングで来たかをメモするノートだ。
特に大事なのはタイミングの方で、先生曰くそこに心の問題ーー痛みの原因ーーが隠れているらしい。
また、苦い漢方2種類を毎食後に飲むのに加えてサロナールも適宜飲む形でなんとか痛みを乗り越えようという話にもなった。
それで今に至るのだ、という話をお弁当を中庭で食べながら七瀬に話した。
「うん、お弁当を食べながらする話じゃあないね、深刻すぎるね」
少し七瀬と共に苦笑した。
「でもそっか、、痛みノート、かぁ、、」
「いい案だとは思うけど、ほんとにこれで痛みの原因わかるのかなぁ、、」
「まぁ、つけてみてダメだったらさ、私に相談してよ、
私の力があればあかねるのどんな悩み事も一瞬で解決だよ!」
「ほんと!?じゃあ私の痛みの原因についてももう既になんとなくわかってたり?」
「そんなわけあるかぁ!冗談に決まってるだろぉ!」
七瀬と共に笑いながらお弁当を食べた。どんな内容でも七瀬がいたら結局こういう明るい雰囲気になるのだ。こういう雰囲気好きだなぁと思いながらまた別の話へと移っていった。
それからしばらくした、2月下旬、期末が始まろうとしていた頃のことだった。
時は進んでいたが、痛みの原因発見に関してはいまだに進展がなく、特に痛みが治まることもなかった。
そう、それはなんともない道徳の時間のことだった。
「じゃあチームでヘルプマークとかのマークがある意味について、語り合いましょう」
先生がランダムでチームを決める。
ここからは最悪な流れだった。
私は、なんと、
大嫌いで、絶交中で、でも昔は好きだった、例の彼ーーーー灰坂 翔太ーーーーと同じグループになってしまったのだ。3人グループで、もう1人別の女子がいた為なんとか平穏にやり過ごしていたのだが、隙があれば8.24事件を回想させるかのような、私を加害者扱いするかのようなことを平然と言ってくるのでイライラしてたまらなかった。
もう、我慢できなかった。そう、イライラも、
心臓の痛みも。
「先生、心臓が痛いので保健室に行っていいですか」
助けを求めるように、先生に声をかけた。
すると先生はびっくりしたようにもともと大きかった目を、まんまるくして
「え、だいじょうぶ?1人で保健室行ける?」
と焦ったようになぜかその場にいた千春ちゃんに目配せをして声をかけてくれた。
よかった、行っても大丈夫そうな雰囲気だ。
でもあまり遠くないので1人で行けると思うし、千春ちゃんは別に、私の介抱係ではないので、やんわりと断り、そそくさと教室を出ていった。
保健室で席に座りつつ、ふぅっと息を吐く。パルスオキシメーターを指につけると、特に運動していないのに、バスケをしているときと同じくらいの心拍数、125ぐらいになっていた。
息を吸うのもせいいっぱい、なぜか手も痛い。
そんな状態で、がんばって今日ここに来るまで流れを保健室の先生に話した。
「ねぇ、カウンセリングに興味はある?」
「いえ、結構です。友達に聞いてもらうので。」
「そう、、、?じゃあ、また困ったら言ってね、今日みたいなことあったらいつでも来てくれていいから」
「ありがとうございます」
しばらく席に座りつつリラックスしていた。
心拍数が正常に下がっていく。。
やっぱり、それが原因だったか。
8.24事件。恋ができなくなった原因。因縁の初恋相手。
どうすればいいかと席に座ったまま虚空を見つめて考えた。
そしてひとつ、結論を出した。私、彼と極力関わらないようにする。。!
そしてもうひとつ結論を出した。
また人を好きになれるように努力するぞ。
恋ができなくなった茜のもとへ、すでに恋の気配は近寄っているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます