第8話

「これより公開処刑を開始する!!主犯格であるウスター及びその一族以外は既に処刑済みである。その者の首をここへ」


 国王の号令で約50の首が机に並べられる。よく兵士たちは素手で持てるなと感心しながら横を見ると藤堂君、佐藤さんの顔が真っ青になってる。

 俺は何故か知らないが見ても気持ち悪いということはない。何故2人が真っ青になるほど気持ち悪い光景を同郷の、ましてや死体なんて見たことがない俺が見ても平気なのか。スカイセントが理由を知ってそうなので後で聞いておこう。

 ちなみに配信は継続中だ。このグロテスクな光景を配信で流していいのかと疑問に思ったが、スカイセント曰く最高神が専用の配信アプリを作ったらしい。だからグロテスクな映像も大丈夫で今見てる人は自己責任ということだそうだ。


「この首は本日から1週間ここ王都中央広場にて晒し首となる。さて、これよりウスター一族の処刑を開始する。1人ずつ処刑していくので呼ばれた者は前に出よ」


 こうしてウスターの子供が最初に処刑されていく。ちなみに処刑方法はウスター以外は魔法で首を切り落とすのだそうだ。

 子供達が処刑されると次はウスターの妻が呼ばれる。最期に一言づつ話せるのだが第1夫人と第2夫人は喚いていた。

 次に第3夫人の番だ。ちなみにだが第3夫人については、妻になった経緯が考慮されてか処刑人は指名できることになっている。


「ウスターの第3夫人よ。処刑人の使命ができるが希望はあるか?」


「ならばサイトウ公爵閣下にお願いしとうございます」


 バッチリと俺に目を合わせそう言った。

 勘弁してくれよと思いながらも思い足取りで夫人の元に出る。


「最期に言い残すことは?」


「あの娘を…頼みます」


「任せてください。そしてどうか安らかにお眠りください…御免!!」


 俺はいつの間にか刀になっていたスカイセントを振りかぶった。斬撃が飛びその首が斬り落とされる。

 首が俺の足元まで転がってきたがその顔は安心したような穏やかな表情をしていた。ちなみにウスターの処刑も任されているのでそばまでよる。


「大罪人ウスターよ…最期に歌を詠む気はないか?」


 俺がそう持ちかけるとウスターは訳が分からないというような顔をして俺を見た。

 だがいつの間にか横に来ていた国王が口を開く。


「サイトウ公爵はウスターに少し情けをかけているのだ。彼の故郷の文化でな、短歌と言われる5、7、5、7、7で心境を詠むのだ。儂も教えてもらったが良いものだ。この国で広めたいが初めて短歌を詠んだ者としてやりたいのだ。兄としても王家から大罪人が出たというのはいただけんのだ」


「分かりました…歌を詠むまえに1つだけ質問よろしいでしょうか?」


 ウスターの言葉に国王は頷く。

 俺もどんな質問が来るのか少し身構えてしまうがその必要はないだろう。


「もう死ぬだけの者が聞いても無駄でしょうが、どうすれば領地をしっかりと運営できたのでしょうか」


「民の声に耳を傾け民が暮らしやすいようにすればよいのだ」


 その言葉を聞いたウスターは涙を流したが国王の言葉は答えになってないと思う。

 しかし不思議なことにウスターの体は少し輝くとスレンダーな体型になっていた。

 あの太っていた時とは比べようのないほどのイケメンぶりに少し嫉妬するが。この現象を起こした犯人はおそらくスカイセントしかいないだろう。


「私からの冥土の土産だ。死ぬ時はかつての姿がよかろう」


「ありがとうございます。では、歌わせていただきます」


 そう言って涙を拭き空を見上げる。

 だがそれも僅かなことで見物人に目を合わせゆっくり口を開く。


「神童と 言われた我の ありし日は 今は影なき 大罪人」


 教科書とかで色々な短歌を見てきた俺にとっては、訳が分からない短歌だが、まあ何となく言いたいことはわかる。

 俺はちょっと心の中で微かに笑いながら言う。


「ウスター、もし来世があるとするならばしっかりとした人生を送ってくれ…御免!!」


 スカイセントを振り下ろしウスターの首を切断する。

 国王はウスターが死んだことを確認すると宣言した。


「ウスター一族の首はこれより2週間この場に晒し首に致す。なおこの場にウスターの最期の短歌を刻んだ石碑を設置する。これにて大罪人ウスターの公開処刑を終了とする」


 国王の宣言により、公開処刑は幕を閉じた。

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