第7話
結局スカイセントの説明はあれっきり終了してしまった。というのもウスター公爵の家族が連行されてきたからだ。
ほとんどが太っていて醜かったが1部まともなーと言ったら失礼だが2人がいた。
ステータスを見てみると驚いた。そのうちの1人はウスター公爵とは無関係の人だったのだ。
「国王様、あちらのおふたりは?」
「あの太ってない2人か?ウスターの第3夫人とその子供だ」
「そうなんですね。1つお知らせしたいことがございまして…その第3夫人と少しお話させて貰えないでしょうか?国王様もご一緒してくれた方がなおいいですが」
国王は頷いて第3夫人とその子供に近づく。
2人は国王が近づいて来たことを知ると頭を垂れた。
「陛下…お願いがございます。どうか娘だけはお助け下さい。この子は私が輿入れする前に私と恋仲だった人との間にできた子なのです」
「国王様、僕からもお願いします。失礼ですが鑑定を使わせていただきその子はウスターの血をひいてないことは確認済みです。それに嘘をついてないことも確認できました。信用出来ないというのなら僕が引き取りましょう」
「ん…、分かった。ちょうどここに貴族たちも来ておる。儀式と処刑の前に叙爵式を行おう。レン殿たち3人には命を助けられた」
そう言って国王は宰相に耳打ちをしそこから貴族たちにも伝わり式の準備は整っていった。
「俺も藤堂君も佐藤さんも貴族か…」
「面倒くさそうだな!!」
「私は興味はない…」
ちなみにまだ配信はされている。スカイセントがコメントを非表示にしたので見れていないが沢山コメントが送られていることを願いたい。
俺たちは宰相に儀式のやり方を一応教わっておいた。
式が開始される。
「これより叙爵式を行う!!今回、新たに貴族となるのはレン・サイトウ、マコト・トウドウ、ユミ・サトウの3名である。3名は国王陛下の御膳へ」
宰相の言葉に従い俺たちは国王が座る玉座の前まで行き片膝をつく。
スカイセントはというと今は刀姿だ。なぜなのかは疑問にも思ったが本人がそれを望んだと言うので考えはしない。
「此度、国王陛下及び王太子殿下、そして私、宰相が国境の視察から帰還する途中サイクロプスの群れに襲われた。護衛騎士達は大半が戦闘不能になり殺されそうになったところを3名が助太刀に入り救助してくれた。そして知っているとは思うが、今回のウスター公爵反乱でも策を考え、それを見事成功させ1人の犠牲者も出さなかった。よって3名に貴族位を叙爵するものとする。初めにレン・サイトウ殿」
名前を呼ばれたので今の位置より少し前に出て頭を下げる。
チラッとクラウディア王女が目に入った。顔を赤くしているが何故だろう。
「レン・サイトウ殿、此度の助太刀誠に感謝する。この者に公爵位を与える。そして褒美に伝承で語られてきた神刀、スカイセントを授け、白金貨100枚を授ける。そして我が娘、クラウディアをこの者との婚約を発表する」
「つ、謹んでお受けいたします。王国の為誠心誠意働くと誓います」
んー?クラウディア王女が俺と婚約?聞いてないぞ。
内心は戸惑いながらも後で詰めよればいいやと思い顔を引き攣らせながら答える。
「続いてマコト・トウドウ殿」
「マコト・トウドウ殿、此度の助太刀感謝する。この者に侯爵位を授ける。そして褒美に白金貨50枚を授ける」
「ありがたき幸せ。この身尽き果てるまでお仕えさせていただきます」
なんか武士っぽい返事をする藤堂君を内心笑いながら見る。いつもイケイケな言動が多いからこんな姿を見るのは何気に新鮮だ。
「最後にユミ・サトウ殿」
「ユミ・サトウ殿、此度の助太刀感謝する。この者に侯爵位を授ける。そして褒美として白金貨50枚を授ける」
「ありがたく頂戴いたします」
「なお、屋敷については3名が同郷の為同じ屋敷とする。屋敷の場所については…スカイセント様が御希望なされる場所…貴族街と一般街の境とする」
国王がそう口にした時誰かが手を挙げた。どうやら質問があるらしい。俺はチラッと人物を見ると茶髪のむさいおっさんだった。
「陛下…質問よろしいですか?」
「なんの質問かな。ルソン伯爵」
「は、叙爵の理由は納得いたしましたが…何故その…スカイセントなる刀に屋敷の場所を決めさせたり3人が同じ屋敷にすまうことになるのですか?」
「その事か…今から説明しようと思っておったところだ。時に…グルヴァロス王国が勇者なるものを召喚したのは知っておるか?」
その言葉にここにいる全員が頷く。ただ顔を見れば苦虫を噛み潰したような顔だ。
「単に言えばこの3名はグルヴァロス王国で召喚された勇者だったのだ。グルヴァロス王は大陸を征服する駒として勇者を召喚…だが勇者本人達には邪神討伐の旨を伝えた。が、そこの3名だけは王の野心を見抜いた。しかしそれがあだとなり理不尽にも追い出されてきたのだ。現に3名の称号には悲惨な称号がある」
「無実の罪で処刑されかけた物、グルヴァロス王国指名手配犯、指名手配の内容は国家反逆罪…となっています」
国王が俺に目を向けたので俺は正直に答えた。それを聞いた貴族たちが呆れ返っている。国家反逆罪で死刑が待っているウスターでさえ唖然としているようだ。
「そして神刀、であらせられるスカイセント様だが…人のお姿に変われるのだ」
「ルソンと言ったか?其方…私の昔の友人の雰囲気に似て…いやその友人の血を僅かだがひいておるのか。なに…そこの3人は故郷ではしがない奴隷に近い身分でな」
スカイセントがいきなり人化して口を開く。どうやら彼女曰く友人の子孫らしい。
って俺たちが奴隷に近い身分だったってなんだ。否定はせんが。
その説明でルソン伯爵は引き下がった。
「納得したようだな…これにて叙爵式を終了する。さて、儀式を執り行おうか。スカイセント様、頼みます」
「儀式ならとっくに終わっておるぞ。特別なことはしとらん。ウスターの血だけを抜き取って国王の血を少し流しただけよ。安心せい成功した」
「……あのースカイセントさん?それを特別なことと言うんじゃ」
衝撃の事実に沈黙する会場を藤堂君が破った。
「そうでしたか。よし、近衛兵!!その赤子とサイトウ公爵のそばにいる女子以外を王都中央広場へ連れてゆけ!!さて皆も移動せよ。なぁに護衛なら優秀な者が3人おる」
国王様、そのニヤついた顔やめて欲しいです。
さあ、次は断罪の時間だ。
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