第17話「狂撃」
故に。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」
仕組みに気付いた以上、残りの胆力を全て、この戦争を終わらせるために使う。
一直線に、取締役の存在する特設ブースへと突撃する。
誰もその突進を止めることはできない。
内定候補者は――戦考官及び企業関係者への攻撃、その意思を表示するだけでも内定を辞退した扱いとなる。
ただし彼は。
柴発生は既に死亡扱いであり、その資格を失っている。
つまり――その制約に縛られる必要は、微塵もない。
発狂し、全速駆動となった柴は――関係者が設営したブースへと突撃する。
強化された
ただ突撃し――そして破壊する。
恐らく別の場所で映像を見ているであろう何者か――経営者陣に対しては打撃を与えることはできないけれど、せめて戦考監視役を潰すことは――可能!
この就活戦争を、強制中断させる!
と。
たっぷりと油の乗った直線的攻撃が。
「残念です、非常に残念です。柴発生さん」
発狂状態でも、その声はなぜか良く聞こえてきた。
女の声であった。
見ると、ビルの陰――パーカーを着用した一人の女が居た。
「アナタがソレに気付かなければ、内定候補はアナタでした。全てを殺した上で、自分も死ぬこともできる――ソレを叶えられるアナタこそが、核心でした」
既に駆動は完了している、空気を切り裂き、ブースへの突撃は決定事項である。ただ、その女の声が、妙に耳に残った。
「でも、アナタは気付いてしまった。狂ってだけいれば良かったのに。ああ、残念です」
サヨウナラ。
次の瞬間。
否。
次などという
胸の下あたりに一瞬の違和が残った後。
柴の腹部が、ばあんと爆ぜた。
「■■■■ッ――がああぁぁぁあっ!」
――何が、起きた。
――あの女の能力か?
――内部からの爆発? 否、そんなものではない。
――身体の中が掻き混ぜられたような、感覚。
意識が一瞬だけ戻り――それでも発狂するために集中した。
――ここで、こんな所でで死んでたまるか。
流石に上半身と下半身が別々になってしまえば威力は落ちる。
残った生存力の全てを――上半身に集約し、そのまま突撃を。
「しつここいよ」
七回。
勢いに乗った威力を封じるために、青年が柴の上半身を切断した回数だった。
「ッ――」
散り散りになった意識が、空気と一体になって分からなくなった。
「全くく」
と、青年が悪態を吐いた。
「ぼぼくに手間を焼かせないででよ。二重谷ささん。ぼぼくの刀の切れ味が落ちてしまうじゃないか」
「人を数度切った程度で
「捨てててしまえ、か。人の魂の武器に対しして、良く言うよね。そうやって自分の子どもも捨てたたのかな」
「黙りなさい」
「それで、君はどどうする?」
「取り敢えず同盟を組みますね。位置情報は大体把握していますし、細井サンか高城サンあたりを洗脳――否、懐柔できればと思います」
「洗脳って」
「言っているでしょう。ワタシは弱者の味方です。恐らく細井サンも柴サンと同じく捨て身でしょうし、自滅の可能性が高いです故」
「そそうかー。ぼぼくは、刮岡・核田ペアの戦争を観覧しようかな。そろそろ決着もつくくだろうし」
そんな風な軽薄なやり取りをしながら、パーカー女と日本刀男は、柴発生だった肉塊を当然のように踏みつけた。
そしてその後、思い出したように、遺体に合掌をして。
その場から離れた。
最終戦考者に――下記の2名が、事実上の参戦となった。
戦考番号12番、道欠失彦。
戦考番号13番、二重谷捩香。
*
戦考番号八番/
狂気の男性。正気と狂気との境界を飛び越える能力『
(
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