第7話 †架空の友達†
どうしても毎日顔を合わせないとならないやつがいて、おいらは憂鬱でした。
なぜなら、そいつは、毎日毎日、おいらの知らない「そいつのたくさんの友達」の話を延々と聞かせてくるのです。
誰々がこうだった
誰々の友達がこうだった
誰々の恋人がどうだった
おいらは、そいつらを全く知らないから、そうなんだ。しか言うことがない。
おまけに、おいらはぼっち族でトモダチがいなかったので、同じように「たくさんの友達の話」を返すこともできない。
おいらは、ただただ毎日、そいつの、「友達自慢話」をきかされ続けた。
毎日
毎日毎日
毎日毎日毎日
毎日毎日毎日毎日
ある日、ストレスが限界になったおいらは、いい考えを思いついた。
おいらは、嘘をつくのが下手くそなので、作り話をしてもすぐバレてしまう。
そこで、架空のメールを作ることにした。
"存在しない友達に送る、架空のメール"を作ったのだ。
そして、おいらに毎日毎日友達自慢をしてくるそいつに、「誤送信をしたふり」をしてそのメールを送りつけた。
そしてそのあとすぐに
「あ、今のメール、送る相手間違えた!消しておいて!!」
と、送った。
相手からは
「わかった、消しとく」とだけ連絡がきた。
中身を見たか見てないかは知らない。
ただ、おいらだってメールを送るトモダチくらいいるんだ!と思わせたかっただけだった。
だが、送ったあと、激しく後悔した。
なんてバカな真似をしているんだ、と自分が惨めになった。
架空の友人への、やけに芝居がかった日常報告メールは、軽く1000文字以上は書いたはずだ。
クラスの誰々がどうとか、部活の誰々がどうとか、いつも自分が聞かされているような内容をただただ書き連ねたそのどうでもよいインチキメールの内容は、今思い出しただけでも、死ぬほど恥ずかしい。
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