第5話 †眉毛の二の舞†

高校のとき。

髪を切りに行くのが面倒だったので、目にかかっている前髪を自分で切る事にした。

子どもの頃に、「親が我が子の髪を切るときのセット」のようなものはあいにく見当たらなかったので、鏡を見ながら部屋にあったハサミで切った。



‥少し切りすぎた。

いや、かなり切りすぎた。



前髪だけなら自分でなんとかできると思ったが、世の中そんなに甘くないようだ。



前髪が短くなりすぎて、サイドの髪とのバランスがあまりにも悪くなったので、サイドの髪もおいらは少しずつ切り始めた。

右を切ると、左が合わない。

左を切ると、右も気になる。


最終的に、おいらの髪は、襟足だけを残したとんでもなく段差の激しい、不揃いなウルフヘアーになった。



え、でも意外とこれ、いけてる?


次の日、強烈な段差を活かしてワックスで髪をかためて普通に部活へ行った。

「タカナシ!なんだその変な髪!!」

「後ろ側、メチャクチャだぞ。」

みんなが笑いながら、口々においらの髪型につっこむ。

「え、髪切りに行くのめんどくさいから、自分で切りました。」



小学生か、おまえは。



ただ、これをきっかけに、普段、クールでとっつきにくかった先輩が、おいらの変な髪型で大爆笑してくれて、一気に距離が縮まったのは思いがけない収穫だった。



ちなみに、この失敗を活かさず、大学のときもまた同じ過ちを繰り返して変なヘアスタイルになったおいらでした。





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