黒歴史集

第2話 †タバコに憧れて†

学年のリーダー格のやつは、タバコを吸っていた。スポーツもできて、モテるやつだったが、喘息持ちで、小学生の頃からよく体調を崩して学校を休んだりしていた。

タバコなんか吸って身体大丈夫なんだろうか。

そんなことを思いながらも、オイラは密かにタバコが醸し出す「イケてる感じ」に憧れていた。


当時はまだ自販機で誰でもタバコが買える時代だったので、オイラは、親がスーパーに買い物に行く時間を見計らい、おそるおそる近所の自販機でタバコを、コンビニでライターを購入した。


しかし、超絶ビビリのオイラには、ライターの火をつける作業が思った以上に大変だった。

よりにもよって、「カチッ」じゃなくて「シュッ」って火をつける方のライターを買ってしまったもんだから、まぁ〜、つかないつかない。一瞬でも火がつきそうになると、手に燃え移ったらどうしようと怖くなる。そんな恐怖と、いつ親が帰宅するかわからないスリルで、オイラは汗だくになっていた。


しばらく悪戦苦闘した結果、ようやく火をつけることに成功した。

正しい吸い方なんてもんはわからないから、思い切り煙を吸い込んだ。



‥苦っ!!!!!


ゲホゲホとしばらくむせた。



こんな不味いものを、どうしてみんな好んで吸っているんだろう。

それが最初の印象だった。


煙と匂いが残らないよう、オイラは真冬の寒い日に、ベランダを全開にして、寒さでかじかむ手にタバコを持ち、何度もむせながらなんとか1本のタバコを吸い切った。

なんでこんなバカな事をやっているのか、虚しくならないわけでもなかったが、変な高揚感があった。


箱の中のタバコの残りの本数を見て、せっかく買ったんだしこの箱は吸い切らないとな、と、少し憂鬱になりながらも、ちょっと悪いことをしているという優越感に浸った中2の寒い寒い冬。



次の日、当然、オイラは風邪をひいて、熱が出た。





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