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 少しきつい感じの伊達眼鏡に、きちんとまとめて一つに縛った髪。私、もう25なのにいまだに新卒と間違われるくらいに童顔なのだ。それがコンプレックスで、会社ではなるべく大人っぽくするように服装や態度に気をつかっている。


「見た目なんか気にしなくても、華は人間が優秀だからいいのに。いや、それはともかく、あんたさあ、よくあんなに冷静に相手できるわね」

「あんなの?」

「高塚さんよ。あれ、どうにかした方がいいんじゃない?」

「ああ、高塚さんかあ。私が言ってもだめなのよね。申し訳ないけど、今度課長に相談してみようかなあ」


 高塚さんは以前からあんな感じなので、他の社員からも不満の声が多く出ていた。一応、私の部下にあたるので、勤務態度のことで少し話をしたことがある。

 そうしたら大げさに落ち込みまくってしまい、主任や他の男性社員から『彼女が若いからねたんでるんでしょ』『これだからお局様は』『女は怖いな』と散々嫌味を言われた。だからできるだけ彼女には関わりたくないんだけど、このまま放っておくわけにもいかないかなあ。


「部長の縁故だか何だか知らないけど、私なら、とっくに総務から追い出してるわ」

 ぷう、と頬を膨らませて言う留美がかわいい。

「まあまあ。あ、会計課行ったら、ついでに白紙の伝票もらってきておいて。そろそろうちにある分、なくなりそうだから」

「あ、そうだったね。了解」

 元気に返事して、留美は廊下を曲がっていった。


 気にしてもしょうがないもんね。私は自分の仕事、仕事。


  ☆


 資料室は、独特の埃の匂いがした。窓がない部屋なので、換気が良くないのだろう。

「あったあった」

 目当ての資料はすぐ見つかった。2冊取り出して戻ろうとすると、突然女性の声が奥から聞こえてきた。


「……それ、本当?!」

「し、声が大きい」

「だって、五十嵐課長が」

 その言葉に、私の動きも止まる。


(五十嵐課長?)

 あれはたしか人事部と情シスの人だ。仲良しらしく、よく一緒にいるのを見る。

 いやそれはともかく、五十嵐課長? 何の話だろう。

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