第104話 暗黒魔力

Side:シナグル・シングルキー

 地図の核石を作る歌を大学に送ろうと思う。

 地図の魔道具は普通に便利だ。

 ただ泥棒に入られる危険がある。

 送る前に対策も考えないと。

 『Maps that cannot be used by criminals』で、歌は『ラーラー♪ララー♪ララーラーラ♪ラララ♪、ラー♪ララララ♪ララー♪ラー♪、ラーララーラ♪ララー♪ラーラ♪ラーラ♪ラーラーラー♪ラー♪、ラーラララ♪ラ♪、ラララー♪ラララ♪ラ♪ラーララ♪、ラーラララ♪ラーララーラー♪、ラーララーラ♪ララーラ♪ララ♪ラーラー♪ララ♪ラーラ♪ララー♪ララーララ♪ラララ♪』、犯罪者に使えない地図だ。


 これで良いだろう。

 犯罪者に使えなければ被害はぐっと少なくなる。

 この歌で作った魔道具を使えないと言って文句を言ってきたら犯罪が疑われる。

 そういうふうに通達しておけば問題ない。


 犯罪者の炙り出しも行えて一石二鳥だ。

 緊急の強制依頼だ。

 この街の一角が暗闇に覆われた。

 地図の魔道具がさっそく役に立った。

 暗闇でのナビをしてくれるからだ。

 俺はこの暗闇の原因を突き止めないと。


 ギルドの冒険者によって一般人は全て避難済みだ。

 さて、地図の魔道具を起動する。

 人間がまだいる。

 この人間は立てこもっているらしい。

 ギルドの冒険者が呼び掛けても反応がなかったと聞いた。


 まず、暗闇の原因だ。

 分析の魔道具を使う。

 暗黒魔力と出た。

 魔力から出来ている黒い霧なのだな。

 扇いでも揺らがない。

 魔力だから当たり前か。


 魔力結晶を作る魔道具を使う。

 ぽとりと何かが落ちた。

 何度か繰り返すと霧は晴れ、黒い結晶が落ちているのに気づいた。

 魔力結晶にすれば良いみたいだ。


 魔力結晶を作る魔道具を量産だな。

 帰ってそれを作ってギルドに納入した。

 霧は晴れた。


 立てこもっていた人間の所に行く。

 行く途中殺し屋に何度も狙われたが、善人にしてやった。

 明らかに俺を狙っていたな。

 あの暗闇の中でも見えるゴーグルみたいなのを着けていた。


 何で霧が晴れた今、それが分かったかと言えば、黒い魔力結晶をそのゴーグルで見たら、透明に見えたからだ。


 問題の建物のドアを壊して突入。

 間違っていたら謝るだけだ。

 中にはやせ細った人間が鎖につながれていた。


「助けに来たぞ」

「あいつが戻ってくる前に助けてくれ」

「あいつって誰だ」

「邪神教団の暗闇のダークだ」


 また、邪神教団かよ。

 剣で鎖を切る。

 暗黒のダークとやらは姿を現さなかった。


 繋がれていた人たちは溜石代わりにされたと言っていた。

 なるほどね。

 霧を作り出すのに相当な魔力が必要だったらしい。

 ありがちだな。


 ダークとやらが現れていたら因果応報魔道具を使ったのに。

 惜しいことだ。


 教団の信者に改宗の魔道具を持たせたが、まだ全員が改宗したわけじゃないのだな。

 黒い魔力結晶は光を吸収する。

 薄く延ばして、遮光カーテンを作った。

 ソルに持って行くためだ。


「悪いね。こんないいもの貰って」

「気にするな。敵の落とし物だよ。鹵獲品と言った方が良いかな」

「あの、暗闇の空間はあたいも入ったが、あれは厄介だね。攻撃が見えないのは恐ろしい」

「まあ、そうだが」


 療養所に行くと、療養所は厚いカーテンが使われていた。

 ソルに訊いた通りだ。


「この部屋の人達は、光が目に突き刺さると言っています」

「なるほど。サングラスを作ったら良いな」


 ソルにあげた遮光カーテンも作るが、俺は黒い魔力結晶でサングラスを作った。

 サングラスは横から光が入らないようにゴーグルタイプにしたが、この辺は改善の余地があるかもな。


「うわ、お外の光が目に痛くない」

「良かったわね」

「お外で遊べるの?」

「そうですよ。この眼鏡を着ければね」

「やった」


 目が光に弱い人もいるのだ。


「他に要望は?」

「あの遮光カーテンの布を下さい。衣服をつくりたいのです。」

「ああ、陽に当たると火ぶくれができるんだな」

「はい」

「あの布は軽いし、通気性抜群だぞ」

「それはいいですね」


 もっと暗黒魔力が欲しい。

 魔道具で再現するか。


 ええと『dark magic power』で良いか。

 いや直に結晶にしよう。

 『dark magic crystal』これで良いな。


 『ラーララ♪ララー♪ララーラ♪ラーララー♪、ラーラー♪ララー♪ラーラーラ♪ララ♪ラーララーラ♪、ラーララーラ♪ララーラ♪ラーララーラー♪ラララ♪ラー♪ララー♪ララーララ♪』この歌も大学に送った。

 この結晶で色々と有益な物が作られるに違いない。


 目が光に弱い人達がサングラスを手に散歩に出かけていく。

 それを見送った。


 あの暗闇のダークもサングラスでも開発して、人のためになったら良かったのに。

 何で邪神教団の連中は捻くれているんだ。

 こうなったら腹を括るか。

 神から天罰を落とされる覚悟で邪神について聞く。

 質疑応答魔道具を作った。


「邪神の役割を教えてくれ」


 邪神は邪気を集めて浄化する神らしい。

 良い神様じゃないか。

 邪気を司っている。

 それも良い方向に。


 魔力というのは精神に反応する。

 負の感情を強く持つと邪気が生まれるようだ。

 じゃあ邪神教団の連中は邪神の足を引っ張っているんじゃないか。


 質疑応答の魔道具が壊れた。

 恐れていた天罰はないようだ。

 だがこの魔道具は安易に使うまい。

 禁忌に触れそうだからな。

 何が禁忌かと聞いたらそれも禁忌だと言われそうだ。

 うっかり質問できないな。

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