魔道具は歌う~パーティ追放の数年後、SSSランクになった俺を幼馴染は信じてくれなくて、振られた。SSSランクだと気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太

第1部 追放ざまぁ編

第1章 異世界転生

第1話 異世界転生

Side:シナグル

 突然だけど、貧しい村に、異世界転生した。

 名前はシナグルらしい。


 いや赤ん坊時代は大変だったよ。

 漏らすは手足は満足に動けないわ。

 発音は満足にできないわ。


 そんなこんなも2歳になれば解消する。

 まあお漏らし癖は仕方ない。


 我慢できないのだもの。

 そんなことは時間が解決してくれた。


 そして、6歳。

 ステータスの出し方を教わった。


「【ステータス】」


――――――――――――――――――――――――

名前:シナグル

レベル:1/65536

魔力:13/13

スキル:1/1

  傾聴

――――――――――――――――――――――――


 うん、レベル限界値がとてつもなく高い。

 これは勝ち組かなと思ったら、弱いモンスターを倒してもレベルは頭打ちになるらしい。

 重要なのはスキル。

 これのスキルスロットが多い人が大成する。


 俺のは1つ。

 しかも、持っているスキルは傾聴。

 少し、遠くの音が聞こえるスキルだ。

 俺以外には聞いたことがないそうだ。

 スキル大全にも載ってない。

 でも効果はすぐに分かった。

 音が良く聞こえたら、さすがに分かる。


 ちなみにスキルにもレベルがあって、これがあるのがレベルつき。

 『火球 25/99』みたいなのだ。

 当然、スキルレベルが上がれば威力が増す。


 無いのがレベルなし、いわゆる生活スキルだ。

 生活スキルはしょぼいのが多い。


 俺の傾聴は生活スキルだ。

 もう成長しない。


 うん、モンスターと戦うのにスキルの補助なしではつらい。

 レベル上げは無理かな。


 一番弱いと言われているスライムも、触れられたりすると皮膚が溶ける。

 ゴブリンは大人並みの力がある。

 そんなのが集団でくるのだ。


 ただ、救いはある。

 回復職でも、レベルが上がるように、戦闘になんらかの寄与をすると、モンスターにダメージを与えなくてもレベルは上がる。

 傾聴でできることと言ったら、索敵ぐらいだな。

 これを神様がどう取ってくれるかだ。

 たくさんレベルが上がると嬉しいけど。


 俺はスキル以外の長所を探した。

 読み書き計算だな。

 計算は前世の学校でやった。

 読み書きは何年かやればできるだろう。


 俺は村で残念な神童と呼ばれている。

 読み書き計算なんて、一生懸命やれば、成人である15歳のくらいになると俺と同じぐらいにはなる。

 なんせ必要とされるのが、引き算と足し算だけだから。

 村の生活なんてそんなもの。


 読み書きも同様だ。

 15歳ぐらいになれば読み書きはできるようになる。


 現在10歳。

 うちは小作農だ。

 そろそろ、身の振り方を考えないといけない。

 兄弟がたくさんいるから、畑仕事は無理だ。

 土地がない。


 かと言って、文官まがいの仕事もな。

 商人も無理だ。

 元手と伝手がない。


「シナグル、モンスター狩りに行きましょう」


 幼馴染のマニーマインが誘ってくれている。

 マニーマインは村一番の美少女で将来は玉の輿と目されている。

 ただ、寒村だと、村長一家に嫁ぐぐらいしかないけどね。


――――――――――――――――――――――――

名前:マニーマイン

レベル:9/237

魔力:80/80

スキル:1/5

  俊足 8/65

――――――――――――――――――――――――


 マニーマインのステータスだ。

 レベル付きスキルが少し羨ましい。

 それと5つもあるスキルスロットが。

 でも愚痴を言ってもしかたない。

 才能の違いをどうこう言っても始まらないからだ。


「よし、行こう」


 森は不気味に静まり返っている。

 モンスターがいる森はみんなこんな感じだ。

 動物にはモンスターの気配が分かるのだろう。

 モンスターと動物の違いは魔石を持っているかどうかだ。


「【傾聴】。あっちからスライムの音がする。そっちからはゴブリン4体の声が」

「じゃあスライムを狙いましょう」

「オッケー」


 スライムは何かの肉片を消化している最中だった。

 ジュワジュワいう音が近づくと聞こえる。

 傾聴スキルは遠くからこの音を捉えることができる。


「【俊足】。とりゃ」


 マニーマインがスキルを使いヒットアンドアウェイをする。

 スライムは棒に叩かれ、体液を飛び散らせた。

 これを繰り返し、スライムの脳みそ器官であるスライムコアを壊した。

 体液に触れないように魔石を採る。

 持ってきた水筒の水で洗えば、討伐完了。


 現在、成人の15歳。


――――――――――――――――――――――――

名前:シナグル

レベル:5/65536

魔力:68/68

スキル:1/1

  傾聴

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

名前:マニーマイン

レベル:15/237

魔力:134/134

スキル:2/5

  俊足 12/65

  斬撃 7/58

――――――――――――――――――――――――


 これが俺達のステータス。


 レベルは5に上がった。

 ゴブリンを倒すのを頑張ったけど、これが限界かな。


「私、冒険者になる。一緒に行こう」


 マニーマインがそう宣言した。

 俺はマニーマインが好きだった。

 前世の年齢もいれれば犯罪だが。

 肉体年齢に引きずられているのかとにかく好きになってしまったのだ。


「冒険者は怖いけど、索敵を頑張るよ」

「じゃあ、私が守ってあげる。そこで相談なんだけど、装備が欲しいの。お願い」

「うん、俺は装備は要らないよ。攻撃しないからね」

「でしょ。必ず守るから」


 マニーマインの装備代を出すことになった。

 今までコツコツとアルバイトして貯めた金はほとんどない。

 でも良いんだ。

 これが正しい。

 そんな気がした。

 一抹の不安を抱えながら。

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