思いを寄せる?友人。

キラちゃん…。

キラちゃん。

キラちゃん!


最近、歩風の家にキラちゃんという女の子が来た。

僕は、ひと目見たとき、これが出会い。

そう感じた。

そう思うくらい、魅力的な女の子だったのだ。


だから、歩風をわざと煽り、キラちゃんへの好意はないかを確かめたり、キラちゃんと一緒に出かけたりした。

僕のすべてを見せたくて、事務所に行って、ネットネームをさらしたり、秘密を見せたりした。


滑り出しはよかった。

良かったはずなんだ!

思わず頭をかきむしり、早歩きでカフェに向かう。

「何がいけなかったんだ…。」

小声でそう言う。

本当にわからない。恋愛なんて、経験したことがない。


告白なんて、されたことない。

告白なんて、したことない。

好きになんて、なったことない。


「はぁ…」

吐いた息が虚空へと落ちていく。

そのまま僕も、落ちていきたい。

おっと、もうカフェに着いていたみたいだ。

自動ドアをくぐり、そこまで人がいない店内へと入る。

早速注文。


「えーっと、持ち帰り朝食セットを2つ。あと、コーヒーを1つください。」

「わかりました〜。コーヒーはアイスですか〜?ホットですか〜?」

笑顔が素敵な、おっとりとした女性店員さんだ。

「アイスで。」

「わかりました〜。料金は1930円です〜」

「ReyReyで。」

「は〜い。では、ここにスマホをかざしてください〜。」

ピッと、軽快な音がなる。

「は〜い。それでは、商品ができあがるまで、少々お待ち下さい〜」

そう言い、僕に14と、書かれた紙を渡すと、待つ場所に行くよう、手で促す。


はぁ…1人で居ると、キラちゃんのことが頭の中に浮かぶ。

明日は、歩風の家に1日中居れる。

つまり!キラちゃんと一緒に居れるということだ。

「14番のお客様〜商品を受け取りに来てください〜」

14番…僕のことだな。

受け取り口に行き、朝食セットなどが入った紙袋を貰う。

「ありがとうございました〜」


あとは、歩風の家に帰るだけだ。

さっさと帰ろう。ご飯が冷めないうちに。

「うるふ兄〜!」

男の子の声が聞こえる。

この声は…

「…ん?あー。陰流だー。」

「やっぱりうるふ兄だー!!久しぶり!!!」


にっこにこの笑顔と、キラキラとした瞳を僕に向ける。

こいつの名前は裏流 陰流ウラル カゲル

色素の薄い茶色のふわふわマッシュ。

真っ黒な瞳、一重。

年齢は16歳。

超美形で、女の子と見間違えそうな見た目で、


俺の弟だ。


現在別居中で、陰流は結構遠く離れたところに住んでいるはずだ。

どうしてここに居るのだろう?

できれば出会いたくなかった。


「陰流、どうしてここにいるの?」

「実はねー、今日、休日じゃん?お母さんからうるふのところに行ってらっしゃいな〜って言われて、お言葉に甘えてこっちに来たってわけ!」

相変わらず他人任せな母親だ。

「ふーん。どこのくらい居るつもりで?」

「3日はいようかなーって。」

…それは都合が悪いなぁ。

なにしろ明日は歩風の家でキラちゃんといちゃいちゃするつもりだったからな!

「…それは…ちょっと難しいな…。」

「ありゃー…仕事?」

「ま、まぁ。そんな感じ。」

「ふーん。」

「ひとまず歩風のとこに行くか。」

そう言った瞬間、パァッと、笑顔が咲いた。

「歩風くんのとこに行くの!?行きたい行きたい行きたーい!!」

「はいはい。んじゃ、歩風の家にしゅっぱーつ!」

「おー!」


ーーーー


「はっくしゅん…」

ゲームをしていたら、急に寒気が襲ってきた。

すぐさまキラが反応する。

「ん?どうしたの?風邪?」

「いやぁ…そんなことはないはず…。」

「お大事にねー」


なんか…変な感じがするけど、大丈夫だよな。

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引きこもりとちょっとえっちぃギャルが織り成す、同居ラブコメ的何か。 美澪久瑠 @mireikuru

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