裏の顔友人。

「俺の職場。」


この言葉を聞いたとき、めちゃくちゃ驚いた。

うるふくんがどこの事務所に所属しているのか、いまいちわからないけど、スパチャで10万円を稼げる人だ。大物事務所に違いない!!

と、いうことで、車に乗り、出発!


「僕の職場…Happy Smileって言う事務所何だけど、知ってる?」


Happy Smile通称はぴすま…もちろん聞いたことがある。

配信活動をしている人が多く集まり、実写系、ゲーム実況系、グループ活動系、V系。

幅広いジャンルに手を広げている、超大物事務所だ。


「もちろん知ってるよー!最近知ってちょこちょこ見てるよ!」

「お、マジで?本当は、あんまり部外者の子を連れてきちゃダメなんだけど、今回は特別にOK出してもらえたんだよねー!」

「OKって…いつ出してもらえたの?なんで?」

「帆風くんとの会話が終わったときにOKもらった!コネにコネまくって…ね。」

「なるほどね。」


うーん…意外とうるふくんって怖い人だな。


「あ、キラちゃんって動画見てる?」

「もちろん!暇なときはずーっと動画見てるよ!」

「推しは?」

「Happy Smileの『夢咲 抜刀ゆめさきはとう』ちゃん!」


夢咲抜刀。愛称は「はとちゃん」チャンネル登録者数は20万人。

はぴすま5期生中4期生と、最近入ってきたが、V界ではまぁまぁの知名度を誇り、高いトークスキルで重い幼少期をおもしろおかしく話すことで有名な人だ。

ゲームスキルは高くないが、ゲームコラボでどんどん上手くなっている…気がする。


かー。僕も何回…。いや、何十回もコラボしたなー。」


高頻度でコラボしてる…?しかも、「はとちゃん」呼び。かなり仲がいいのだろう。


さっきからヒントは出してくれている。このヒントを逃さないようにしないと…!

ってなんだ…この謎解きは…。


けど…率直に聞くと面白くない女として見れるかもなー。もうちょっとこの茶番に付き合うか。

そう思い、はぴすまのライバー一覧を見てみる。


「うーん…ん?」

「どうしたの?」

「いや…まさかだけどさ…」


本当にこの人がうるふくんだったらだいぶ危なっかしいことをしている。

だって…名前出してるんだもん…。


「この…『裏有うらあうるふ』って人?」

「…事務所に行ったら絶対わかるよ。答え合わせはそこでやろう。」


あー…なるほどね。

確定演出キタコレ!じゃないか…?


車に乗ってから早20分。


「よし。着いた。」

「おぉ…?」


うーん…ただのビル…だよね。

当たり前だけど。


「…ただのビルだなーって思ったでしょ?」

「まぁ…普通のビルでしょ?」

「うん。」


なんだこの会話。

さっきからうるふくんの様子が少しおかしい。

…緊張している?


ーーーー


心配だ。

キーボードを打つ手を止めて、キラの今の状況を考える。

うるふと一緒なら大丈夫だろう。

ただ…。


心の安全


これは守られそうになさそうだ…。

今更だ。

本当に今更だ…。もういいや。

小説書こう。


ーーーー


特に大きな事件もなく、ある人の楽屋の前に来た。

扉の前には「裏有 うるふ 様」と書かれた紙が貼ってある。まさか…。


「はいっもう気づいていると思うけど、裏有 うるふ!これが僕のネットネーム!」

「薄々気づいてたよ!?うん!?」

「じゃあ、特別!僕のお気に入りだから、もう一つの姿を見せてあげる!」


急に雲行きが怪しくなってきた。


「!?」


うるふくんが目を開けた。

会ったときから糸目だったから、インパクトが強い。


「どー?びっくりしたー?」


今までの声より、少し低い。。

口調こそいつも通りだが、それが逆に圧となっている。

怖い

真っ先に思ったのはそれだ。


「え…っと…は?」


言葉じゃない言葉が出てくる。意味がわからなくて何を聞けばいいかわからなくなる。


「そうなるよねー。歩風も最初そんな感じの反応だったなー。懐かしい。」


椅子に座りながら懐かしむような素振りを見せ、


「嘘だけどね。」

「…」

「どー?僕のジョーク面白かったでしょー?」


ズズズと、炭酸飲料を飲みながら、にゃははと笑う。

オレは今、どんな顔をしているのだろう。

仲間を見つけて笑顔なのか、感情がぐちゃぐちゃになって無表情になっているのか…なんにもわかんない。


その後、元に戻った?うるふくんと一緒に、事務所内を紹介してもらったが、なんにも頭に入ってこなかった。

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