第4話 東宮の長として
それから六年間、私は局郎を全力で務めた。
私は皇太子の
私は朱祁鎮の求めるところが手に取るように分かる。そんな時の彼は、子犬がぱたぱた尻尾を振るが如く……いや、例えが卑しすぎる、小龍の瑞々しい両眼が輝く如くにと、申すべきである。
彼の信頼と期待に満ちた顔を向けられるとたまらない。子供を持てない身になった私は手塩にかけて育てあげると天に誓った。
祁鎮さま。この王振は徹頭徹尾あなたさまの
二十代前半の私は忍耐強く、次期皇帝の教育に心血を注いだ。一方、宦官の情報網構築には念を入れた。
広大な紫禁城は外廷と内廷に分かれる。
外廷は皇帝と高官たちの政治の場、そして
王伴伴の地位は伊達でない。東宮の権威にすり寄る宦官はいくらでもいた。さらに抜け目のない女官や宮女もいる。皆、利するところに集まるのだ。やがて私の情報網は外廷に赴く宦官へ広がった。
朱祁鎮の父である宣徳帝・
金英は十三歳で南京の宮廷に入った。忠誠心と勤勉さを持って仕え、彼は恩賞に良い土地と大勢の奴婢を与えられたばかりか、
興安は道徳心に満ち、義に篤い。彼は金英ほど高位でなかったが、宣徳帝の信頼は篤い。朱祁鎮の父は彼らのように教養と忠誠を兼ね備え、容貌いやしからぬ宦官を好んだ。数々の書画を残した文化人にして、遊び人の気がある宣徳帝らしい。
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