第3話 Midnight City
冷たい空気が頬に当たって首をすくめた彼女の肩に、青いマフラーを巻いて
「寒いね。大丈夫?」と聞いた。
「ん。ありがと。ジンはいいの?寒くないの?」
「大丈夫だよ。」
今日は久しぶりの彼女とのデート。
ゆう子も俺も仕事が忙しくなかなか会う事が出来ない。
久しぶりに2人とも仕事が早く終わり,仕事終わりに待ち合わせて映画を見て食事をして、少し酔いを覚ますために、街をぶらぶらする事にした。
ゆう子との付き合いももう3年。
このまま、きっと2人でこの先も穏やかな時間が流れていくのかなと最近思う事がある。
「結婚」二人共その二文字を意識し始める、そんな時期に来ていた。
今日はとても冷える。つないだゆう子の手もとても冷たい。
俺はこの時期がとても好きだ。空気がシンと冷えるこの時期の街は空気も澄んで、街のイルミネーションが煌めいてまるで宝石をちりばめたようだ。
「今度の旅行楽しみだね。久しぶりじゃないかな。ジンと二人で旅行行くの。」
ゆう子が俺の顔を見上げて嬉しそうに言う。俺はその顔を見てあぁこの人が好きなんだと今更ながらに思う。
「そうだね。ここんところ忙しくてゆっくりすることができなかったから、今度の旅行は2人でのんびり温泉につかって美味しいものを食べよう。」
「そうね。何着て行こうかなぁ。」
幸せそうな顔を見ていると、俺まで嬉しくなるのはきっとゆう子がそばにいるからなんだろうな。
今度の旅行で俺はサプライズを考えている。そう、プロポーズをする予定なんだ。これからの将来、ゆう子と二人で歩んでいきたい。
そんな思いをゆう子は気づいているのだろうか。
どうやら駅の前まで歩いていたらしい。ゆう子が時計を見た。
「そろそろ、終電の時間だわ。明日も朝が早いの。ジンもじゃない?」
「うん、明日は6時起きだ。」
そういいながら、少し人気がなくなったタイミングでゆう子を後ろからハグした。
「ジン?人に見られちゃうよ。」
「いいよ。もう少し離れたくないんだ。近くにいたい。」
「ジン。…私もよ。」
そういってゆう子は俺に軽いキスをした。
「でも、終電行っちゃうからもう帰るね。今日はありがと。」
俺の腕をすり抜けてゆう子は改札を抜けて行った。
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