第27話

「世界樹を生やすなんて、そんなの不可能だ」

「不可能か。いい言葉だ。つまり、それができたら、俺たちを認めてくれるということでいいか?」

「ああ。もちろん」


にやにやと、意地悪い顔で私たちを見る彼らの顔には、「世界樹を生やすなんて、絶対に無理!出来なかったら、何してもらおうかな」という言葉が、でかでかと書いてある。


「でしたら、まずは、ここのギルド長に会わせてください」

「あ?お前らみたいな、怪しい奴に会わせるわけねーだろ」

「失礼ですが、あなた方だけでは、隠蔽される危険性がないわけではありません。旨いところだけ横取りされるかもしれませんし」

「なんだと?」

「せめて、証人をつけてほしいのです」

「(世界樹を生やせるということを下手に知られたら、変なことに利用されるかもしれないわよ?)」

「(そうなったら、逃げればいい。ここ以外に行くところがないわけじゃないんだし)

「(でも、)」

「(お前、最近ろくなもの食ってないだろ?一回、ここできちんとした食事と睡眠をとったほうがいい)」

「(それはそうだけど…)」

「なにをごちゃごちゃいってやがる!出来るのか?できないのか?」

「私たちは、ここで暮らしていきたいと思っているのです。だから、きちんと判断できる方が必要なんです」


私たちの押し問答が続く。

アスランが、面倒くさがって、「もう適当に生やそうぜ」とか言ってくる。やめてくれ。国同士の戦争の火種にもなる世界樹を適当に生やそうとしないでほしい。

こういうのって、場所とか、よく考えるものじゃないの?

ポン吉は、すでに我関せずといった様子で、私の足元で寝転がってるし。

あーあ。真っ白な毛が、土で汚れている。あとで洗わないといけないな…。


「本当は、お前らできないんだろ!?」

「だから、できても適当に生やせばいいって問題じゃ…」

「おい!ギルド長が、そいつら呼べって」

「え?」

「やっと話ができそうな奴に会えるのか」

「なんで、ボスが会うんだよ。こんな奴ら、俺たちだけで対処できるだろう?それに何かあったら…」

「ボスには、ボスの考えがあるんだろ…ほら。こっちだ」

「は、はい…」


やはり、森から出てきたわけだから、正規ルートではないらしい。

いわゆるあそこは、裏門と呼ばれるものだと聞いた。

確かに店が密集している地区に来るまで、武装した人たちがじろじろと私を見つめてきたのは、そういうことなんだろう。

あそこは、魔物が出ると決まっていて、それを退治するための場所なんだ。


男の人についていきながら、周りを見渡す。

大通りに出てきたのだが、その人の多さと行き交う声の大きさに驚く。

ポン吉とアスランも興味深そうに見ている。


ギルドが集まって、できた国だとは聞いていたけど、私の国と遜色ない。なんだったら、私の国よりよほど活気がある。

売られている商品も冒険者向けのものが多い。冒険者が、よくここに来ることは知っていたが、それにしてもすごい。さすがは、ギルドの国。店の数が、多すぎる。安いものから高額なものまで、剣一つでも種類が多すぎて、わけがわからない。

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