お好みの部屋ご用意致します。

サクラ堂本舗いまい あり 猫部(ΦωΦ)

成功の秘訣って…?

 不動産の仕事を始めて半年になる。僕は理想の物件探しの手助けして、快適な生活を送って貰いたいと思っている。営業職は厳しいと思ったが僕のアドバイスで快適な理想の暮らしの手助けをしたいのだ。


研修がてら僕は、社内成績トップの桐子先輩のアシスタントをすることになった。桐子先輩は成約だけでなく解約もなく長く住む人が多いと評判なのだ。先輩は


「お客様のニーズを理解して本当に求めている物件を紹介してるだけだよ。」と笑う。


先輩は成約した後のフォローも欠かさない。入居されている方を訪問してその後の住み心地を聞きに行ってるらしい。その成果が解約したり住み替えが少ない理由らしい。


先輩にアフターフォローの方法も知りたいと言ったら

「また今度ね。」と軽くあしらわれた。

僕のこのアフターフォローにも何か秘訣があるのかもしれないと感じた。


ある日、桐子先輩がアフターフォローに行くと知って後をつけた。

合鍵を持っている様で難なくオートロックのマンションに入って行く。

こっそり後を追う。


【丸山】と名前の表札が出ている部屋の前で先輩の足が止まった。呼び鈴を鳴らさず入って行く。


部屋の中では丸山氏は椅子に座り背を向けている。

「丸山さんの理想の生活よね。一日中ずっと音楽と一緒。

誰にも邪魔されないって素敵ですね。本当に気に入って頂けて嬉しいです。

ふふふっ…」


先輩の最後の笑い声が不気味に聞こえた。


その時だった

「藤崎くん来てるんでしょ?」

そう言って丸山さんの椅子をこちらに向けた。


まるで人形の様に血の気がない…?

「丸山さんはここで未来永劫ずっと理想の生活を満喫できるの。

騒音トラブルで神経をすり減らすこともなく理想の生活を続けられるのよ、

素敵でしょ?」

丸山さんやアフターフォローしてる人全員が空の上で幸せを満喫しているの。

ね、私って親切だと思わない?」


先輩は新しい物件を紹介しては殺人を犯してたってことか?

僕は怖くなって走って建物の外に出た。

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