第8話
「…まさか、本当に『召喚の儀』を成功させるなんてね」
撮影をひとまず中断しテントに俺達、TATARI SQUADの4人、ハチゴロウが集まった所でねくろが言った。
「いやー、これも愛の為せるわざ」
腕を組みニヤニヤしながら言うハチゴロウの腹にねくろが拳を叩き込んだ。
「ウグっ!」
情けない声を上げて倒れるハチゴロウ。
「ハチゴロウ相変わらずきっしょ…まあ、ともあれあんた達と会いたかった所だしテレポートさせて貰ったのはありがたいわ」
ねくろは頰を擦りながら言った。
ねくろの話によれば、彼女の儀式的な殺人と死体遺棄容疑は、かねてより彼女と対立していた妖術系YouTuber『
帰宅後近所のコンビニに出かけようと着替え、玄関で靴まで履いた所で光に包まれ気がついたら…との事だった。
「大体、わたしが生きてる人間をわざわざ殺してネクロマンシーするわけ無いじゃない。失礼よね」
流石に冷え込んできたので、ねくろはマツロからTATARI SQUADのジップアップパーカーを貰って着込んだ。
「と、なると今後が厄介だな…」手斧が言う。
「ニュース見てみろ」手斧の声に各々スマホでニュースサイトを見た。
そこには『儀式殺人、並びに死体損壊容疑で逮捕した自称・動画配信者、“変幻示斎”こと田沢
「〇〇県■■市って…今、うちらがいる場所じゃん…」TATARI SQUADのオガミが言った。
俺たちは顔を見合わせた……そして、今後の対策を練りながら、ねくろが礼にと近隣のコンビニで買ってきた酒やエナジードリンクや弁当で一服する事にした。
「変幻の奴、とうとうやりやがったのか」
ハチゴロウはカップ酒を煽り、怒りに震えながら言った。
ハチゴロウはかねてから『変幻の妖術は邪法だ』と動画で批判してきたのでその主張には納得が行く。
まあ、俺達も地権者や地元の不良どもを撮影の度に亡き者にしてるからあまり大きな事は言えないけどネ。
ねくろはタバコを咥えてライターで火を点けた。その仕草はとても色っぽい……手斧も同意見の様だ。
その時、俺のスマホが震えた。
通話相手は密かに市街に先行させていた謎留だ……どうやら予想通りの事態になっているようだ。
謎留からの報告では、 変幻がパトカーで市内の広場に通行人を引き飛ばしながら現れ、ねくろへの呪詛や卑語を喚き散らしながら何らかの儀式の準備をしており、逮捕しようと近付いた警官達を妖術で殺害している…との事だった。
「うわ、きっしょ…」
ねくろはそう呟きながら早々と吸い切った1本目のタバコのフィルターを捨てると2本目に火を点け、煙を吸い込むのだった。
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