第6話
そして打ち合わせから1週間後、コラボ動画撮影と生配信の日を迎えた。
TATARI SQUADの4人は2台の車に分乗して移動中らしい。
ハチゴロウはバイクで向かっているとの事だ。
俺はもう1台の車の中で待機している。
既に手斧と謎留は到着済みで、準備を始めたようだ。
先程Abareと共に地権者を殺害して山林に埋めたらしい……それにしても、地権者がこの廃墟に住んでるのは結構珍しいパターンだな。
俺とAbareは裏門の前に横付けした車の中で待機していた。
車2台が同時に停められるスペースが無いためだ。
窓から様子を伺うと、既に動画の撮影が始まっているようだ。
ハチゴロウ達はあの廃屋の正門前で撮影をしている様だ。
TATARI SQUADの4人が動画を撮ってる間、俺たちは彼らから預かった衛星通信機材と発電機をセットし生配信の準備を整えた。
平行してテントを建て必要な機材をそこに集める。
ちょっとした拠点の完成だ。
これでスケジュール通り夜にコラボ生配信が出来る。放送予定は23時からだ。
俺は3、4時間程待機することにした。
程なくしてハチゴロウが一通り撮影を終え、こちらに戻ってきた。
「いやー、撮影中に傷だらけの御老体の地縛霊に鬼の様な形相で飛び掛かられたのは驚きました。まあ、私の手で成仏させてあげられ撮れ高バッチリだったので良かったのですが…たまにあるのですよ、こういう事は。ガッハッハ」
どうやら、Abareに殺されて埋められた筈の地権者がハチゴロウに襲い掛かり、返り討ちにあって絶命したようだった。
Abareはそれを聞き小声で「確実に仕留めたと思ってたのにコラボ相手に迷惑をかける結果になってしまった…クソっ」と落ち込んでいた。
そんなAbareを俺は慰めた。
その間、手斧は少し離れた場所でタバコを吸いながら考え事をしていたようだ。
ひと段落したところで撮影組に無線で連絡した。俺もマイクをつけていたので彼らと会話が出来るのだ……TATARI SQUADとの生配信の段取りを簡単に説明する
「じゃあ、一度裏口から入って中の様子を確認してみて下さい」と手斧が指示する。
TATARI SQUADの4人は裏門の側に移動してこちらに向かう事にしたようだ。
俺はマイクを切って一息ついた……後は夕方17時15分から始まる筈のコラボの準備をするのみだ。Abareも何とか落ち着いた。
4人が廃屋内に入ってから1時間が経過した。
その間、地権者の親族らしき中年の男女がこちらにやって来たが、撮影や配信に障るのを理由に丁重にお断りした。
手斧が許可を取っている旨を彼らに説明している。
…まだ不審には思われていないようだ。
まあいい、いざとなったら親族も殺して埋めれば済む。
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