第3話

3ヶ月後、Abareが「この前物置に閉じ込めた奴らがどうなってるか、撮ってみないか?」とZoom会議で持ちかけてきた。

俺以外の3人は即賛成。

俺も特に断る理由もないので承諾した。


というわけで、俺達5人は前回の廃墟に再び来ている。


Abareが扉の溶接部分にバールを数か所差し込み物置を開けると……異臭を放ち、半ば液状化し腐った不良達の死体が転がっていた。

正雄が以前用意したビニールシートはグチャグチャに汚れていて、そこには不良達から漏れ出た体液や汚物が水溜りを作っている。


……実にエグい。


床の血糊もしっかり残っているし、死臭は隠しようもないな……。


そんなことを思っていた矢先だった。


Abareと謎留が車の荷台から色々持ち出し「今から証拠隠滅するぞ」と言った。


俺達は化学防護服に身を包み、不良達の腐りかけた死体を死体袋に詰め、物置に付着した特殊な薬剤で体液や血液などを残らず洗い流した…。

カメラを向ける暇もないほど、大変骨が折れる作業だった。


使用済みの化学防護服と死体袋は、Abareと謎留が知っている『業者』に引き渡し処理して貰うらしい。


それなりに費用はかかるが『デミゴッド』の動画収益の1/9程度なので格安だ。

金払いの良い俺達がよほど気に入ったのだろう。毎回快く引き受けてくれる。


結局俺達は、今回も含めこれで8件の死体処理という名の『心霊現象』を解決したことになる。


なかなか順調だ。

今回もそうだったが、やはり怪奇現象や幽霊は地場のヤンキー、地権者を捕まえて積極的に錬成する必要があるのだ。

少なくとも現代社会においては…。


こう言ってしまっては『オカルト系YouTuber』としてはお終いなのだが心霊写真が銀板写真からデジイチの普及に伴い無くなった様に、そもそも死んだ人間が霊となることなどある筈がない。

自然現象として説明出来るものには論理的に説明がつくのだ……と思う。



その後、例の廃墟でヤンキーの幽霊の目撃報告がSNSで頻発したが、俺達の活動とは無関係だろう。

俺達は撮影の邪魔になる奴らを懲らしめて、3ヶ月物置に閉じ込め放置しただけなのだから…。

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