第6話 空き教室で二人
教室を脱出した二人は、
「ごめん。勝手に、その……
何しろ
「あっ……ううん、いいの。むしろありがとう。
そして、その
「嬉しかったよ。クリトが、助けてくれて。それに――」
栗人の手を、両手で包み込んで、
「
と、真っ赤な顔で見つめながら言うのだ。
半年以上付き合ってきて
気付いた時には、きつく
「レナより、
「……そういうわけじゃ、ないんだけど。なんか、本気、っていうか」
「『俺の玲奈だ』って言われてる感じがして、キュンと来ちゃった」
半年以上付き合って漸くキス出来た、ばかりの大好きな子に、こんな態度を取られて(以下略)。
触れたところからじんわりと、顔から耳、それに心臓へかけて広がる、熱くてむず
「二回目、だね、えへへ」
「そう、だな」
――玲奈はこんなに
――フラグ管理で
――そもそも最初の時に平気なフリをした意味はあったのか?
栗人は三回目を欲して、視線を絡めた玲奈もそれに応えようと――
キーンコーンカーンコーン
だが、二人は止まらなかった。
「予鈴、だもんな」
「予鈴、だからね」
三回が四回、五回が六回、七回が八回、九回が十回。
短いキスを、
全身に広がる
「えっと、これ以上は、マズイ、かも」
「あ、ああ、そうだ、な」
予鈴後の、
「この流れで遅刻したら何て言われるかなぁ」
玲奈が抱きつきながら言えば、
「考えたくは、ないな」
栗人は、玲奈の
「じゃ、行こっか」
と数分ぶりに身体を離し、名残惜しそうな顔をする玲奈に、栗人は改まって、手を差し伸べた。
「では、お送り致しますよ、お姫様」
「うむ、苦しゅうない」
玲奈がそのお誘いにしっかり乗りつつ、
――まだちょっと顔は熱いけど、
「でも、これでも
――声の調子だけはいつも通りに。
と思ったのも
「今度は、最初から
「んもーっ、ソレが無ければあんなことには……」
「え?」
「なんでもない!」
先に立って歩き始めた姫の耳を見ると、なんでもないとは
「好きだよ、玲奈」
「――っっっ!!!!」
代償として姫からの照れ隠しと愛情のこもった物理的反撃は受けたが、
――これはこれで。
……などと思っているのだから、救いようがない、幸せな二人だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます