閑話【過去配信アーカイブ】2021年12月14日及び12月19日

「今日は【バトルシークエンス】やるよー」


バトルシークエンスはバトルロイヤルゲームに新たな風を巻き起こしたゲームである。画期的なシステムとして『建築』の要素が挙げられる。この『建築』システムは壁や階段などを建てることができ、高台を取ったり遮蔽を作ることができる。


コメント:こんにちは


配信を始めて数分後、一人の視聴者がコメントをしてくれる。


「来てくれてありがとね」


配信活動を始めて既に8ヶ月程経っているが視聴人数は一桁後半にいけば良い方で、大抵は0〜2人ぐらいが見てくれている。ありがたい事である。こんな俺の配信を見てくれているなんてきっといい人なのだろう。


「うぉ…!強いなこの人!」


思ったよりよりも相手が強く負けてしまった。 コメント:ナイストライ


「観戦しよ…って、この人SKさんじゃん!」


コメント:マジ?やば


SKさんはバトルシークエンスのプロゲーマーで、このゲームがリリースされた時からプレイしていて、この界隈をずっと盛り上げてくれている。


「そういやもう少ししたら世界大会だったな」


去年は感染症の流行で開催が中止になったから色々大変な事も多かったらしい。例えば、チームメンバーの脱退やゲーム内の大幅な環境変化などがあった。


「頑張ってほしいな」


このゲームを始めたきっかけはこの人のプレイを見たからだ。それからfpsゲームが好きになっていき、様々なゲームに触れるようになった。


「ははっ…!やべぇ…!」


俺のような一般プレイヤーは全く足元にも及ばないような圧倒的なプレイング。どんな練習をしたらこんな動きができるのだろう。


「17キルしてるし…やば」


なんでもないように1位をもぎ取っていく。本当に強すぎる。


「いつか、話してみたいな」


絶対に出来ないけれど。コミュ障だし。でも、憧れてしまう。


「次の戦い行くわ」


なんか普通に観戦してた。ついつい見惚れてしまっていたな。SKさんが1位になったのを見届けて新たな試合に突入する。


「なんか『abcx』ってゲームリリースされたらしいね」


コメント:新しいバトロワだっけ?


「ぽいね。話題になってるからやってみようかな」


コメント:いいんじゃない?


「じゃあ今度やるわ」


コメント:わーい


最近話題になっているabcxは新作のバトルロイヤルゲームで、話題となっている理由はキャラクターのスキルの多様性だ。バトルシークエンスの『建築』とはまた違う 部分が評価されているらしい。


「スキルとか覚えるのムズいかもなぁ」


コメント:今はそんなキャラいないし簡単だよ


「そう?なら良かった」


やっぱりコメントとなら話せるな。学校でもこんぐらい話せたら友達が1人ぐらいはできたんだろうな。


「おっ、勝てた」


話してる内に敵を倒しきり、1位を取る事ができた。プロゲーマーレベルの方々か何人もいないなら勝てるらしい。


「8キルか〜思ったよりもできなかったな」


10キルぐらいできてたら良かったが話しながらだったのでキルが少ないのもしょうがない。


「よーしどんどんやってくぞ!」


コメント:ファイト!


──数時間後


「結構やったから今日は終わるわ〜」


コメント:お疲れ様〜


「あ、今度の世界大会見るかもだから一緒に見よ〜」


コメント:了解です


「じゃ、また明日」


−−−この配信は終了しました。


──バトルシークエンスの世界大会は熾烈を極め、どこのチームが優勝するか分からない状況となった。視聴者からすればめちゃくちゃ面白いが戦っている側としては気が気じゃないだろう。


「頑張って…!SKさん……!」


戦いは終盤、極限状態でゲームは進んでいく。



「あぁ…!やられた…」


チームメンバーも倒され、SKさんしか残っていなかった。そしてギリギリで戦っていたのだが、やられてしまった。最後まで彼は足掻き続けていた。やられた瞬間、世界一の夢は潰えた。


──2021年12月31日 SKはプロゲーマー引退。今後は配信者(ストリーマー)や解説者として生きていく事を決意した。

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