第10話 「配信者カップ 概要とFirst Round」
まもなく始まります。そんな画面が切り替わり会場の様子が映し出される。
「会場に来てくださった皆さん!こんにちは!!」
そこそこ大きな会場のため多くの人が集まっている。
「今回!実況を努めさせていただく、望月荒野です!」
わぁぁと歓声が聞こえる。……何人集まってんだ?
「そして!解説はFPSバトルロワイヤルの金字塔【バトルシークエンス】の元プロゲーマー!SKさんです!」
「どうも、SKこと坂本です」
「今回はお越しいただきありがとうございます!」
「いえいえ、こちらも楽しみにしていましたよ」
「早速ですが、注目チームはありますか?」 「そうですね……1番はaliaチームですかね」 「やはりそうですか!理由をお聞きしても?」 「リーダーのaliaのオーダーが1番の強さですね。指示が的確で隙が無い。そしてメンバーの2人もしっかりと彼に着いていけている。優勝候補でしょう」
やはりaliaさんのチームが優勝候補か。彼らを倒すのが俺たちのチームの目標だ。この1週間で対策もしてきた。
「他に注目選手はいますか?」
「Raisingの
「なるほど……!注目理由は…?」
「2人とも強いんですよ。特にエイムが。エイムだけならaliaを超えます。しかし……」
「しかし…?」
「彼ら芸人魂強すぎなんですよ」
「あぁ、なるほどそういうことですか」
「芸人魂を抑えられたらまーじで強いんですけどね」
「配信者としては正解だと思いますけどね」 「確かにそうですね」
Raisingは日本のプロゲーミングチームだ。競技部門とストリーマー部門に分かれており、今回の大会ではストリーマー部門から4名がリーダー枠で参加している。
「さて、そろそろ大会ルールを説明していきましょう」
「はい、分かりました」
「それでは、映せますか?」
そう望月さんが言うと会場の大画面にルールが映る。
「はい。これが大会ルールです!」
配信者カップでは他の大会ルールとは異なり、全てのチームが最初に100ポイントを持ち、6試合の間にポイントを増減するものとなっている。ちなみに3試合目はソロマッチになっている。 そして各試合、順位ポイントとキルポイントを付与し、6試合の総合ポイントで総合順位を決定する。
順位ポイントは20位はマイナス20ポイント。19〜16位はマイナス15ポイント。15〜11位はマイナス10ポイント。10〜4位はプラス10ポイント。3位、2位はプラス15ポイント。1位を取ればプラス20ポイントを獲得。 キルポイントは1人倒せば1ポイントで、キルポイントは上限がある。
1〜2試合目は6ポイント。3試合目8ポイント。5試合目は10ポイント。6試合目は上限なし。
また、4試合目のソロマッチではキルポイントの上限は無しに設定されている。
「重要なのは順位ポイントですね〜」
「そうですね。いくら前の試合でキルポイントを手に入れても次の試合が20位だったら意味がなくなってしまいます」
「かなりレベルの高い戦いになりそうですね」 「えぇ、とても楽しみです」
「さて、みんな緊張してるっすか?」
「あいかは全然大丈夫〜」
「私も問題ないです」
なんでみんな全く緊張してないんですかね?試合にも出ない俺が1番緊張してるんだけど。
「な、な、なんでみんなそんなに緊張してないんですか……?」
「ボクは色んな大会出てるし…」
「あいかは3Dライブとかしてるし…」
「あいかさんに同じく」
「な、なるほど…?」
そんなもんだろうか。言われてみれば確かにみんな慣れてそうだけど。
「あれ?配信ついてない」
「大丈夫ですか?」
「みんな〜ごめん!つけたと思ってたよ!」 「そろそろ始まるっすよ〜」
「おーし。頑張るよ〜!」
「頑張りましょう!」
1試合目−−−First Roundが始まる。
「ピックミスしないように気をつけてくださいね」
「当たり前っすよ〜」
「間違えるわけないじゃんw」
キャラピックはサトウさんがハンブラー。綾川さんがレイサー。あおいさんがジャンキラー。全体的に火力が高い構成になっている。
「始まりました!First Round!」
「1戦目、とても重要ですね。ここで調子が良ければ2試合目以降も良い順位を取れるでしょう」
「降りるっすよ〜」
「はーい」
「了解です」
配信者カップでは降りる場所がチームによって決まっている。その場所は大会当日まで分からない。これは降りた場所での初動ファイトを避けるためである。
「すぐに移動するんでパッと漁ってください」 「オッケー!」
「分かりました」
彼らが降りた場所は良くもなく悪くもないあまりにも普通の場所だった。ある程度の物資は揃ったが最終盤に弾切れが起こるかもしれない。アーマーに関してはダメージ与えればなんとかなるだろう。
「右いるっすね〜」
「倒しに行きます?」
「今は止めときましょう」
サトウさんがハンブラーのスキルを放つと敵が検知された。移動中だから戦いには行かないようだ。
「うわっ!撃ってきてるって!」
「……うざいっすね。倒しに行くっすか?」 「行くの?」
「1番最初に敵を倒すのってかっこいいじゃないっすか」
「行きますよ!あいかさん!」
「突撃っす!」
「この人たちもしかしてヤバい…?」
前言撤回。倒しに行くらしい。急に方向転換したせいで綾川さんちょっと引いちゃたじゃん。
「こちらワンキル!」
「早っ!」
「右います!」
「そっちはお願いします!こっちやります!」 「お、オッケー……」
「やれました!」
「こっちもやれたっす!」
「ほんとにやれるんだ……」
配信者カップ初戦闘は勝利。初戦闘はサトウさんが2キル。あおいさんが1キルという結果に終わった。キルポイントはこれで3ポイント。上限は6なのであと1部隊壊滅させれば上限だ。1部隊ぐらいは最終盤になれば倒せるだろう。ここからは順位を意識していくべきだ。
「さて、移動しましょうか」
「めちゃくちゃ寄り道したよね!」
「倒せて良かったですね」
「他人事みたいに言ってるけどあおちゃんも倒してるからね!?」
移動はしっかりでき、安地内に入る事に成功した。カジュアルマッチやランクマッチなら既に5部隊は減っている場面だが、まだ俺たちのチームが倒した部隊しか減っていない。
「全然部隊数減らないね〜」
「ここからは順位意識で。キルポイントは既に3あるんで無理しないでいきましょう」
「今さっきのは無理したって思ってんの!?」 「まぁ、はい」
「もう……」
俺はあの場面で行くとは思ってませんでした。行った瞬間、大丈夫か?って思いました。大丈夫でしたねありがとうございます。
「そこの家はどうですか?」
「…悪くないっすね。いきましょう」
「ここに次の安地決まるまでいる?」
「そうっすね」
数分後−−−第3収縮。残り16部隊。
「安地ズレたっすね。移動しましょう」
「まだ16部隊もいるんだけど」
「このままだと安地内ギッチギチですね」
「ここまで残るのは予想外っすね。まぁ、とにかく移動しましょう」
「はーい!」
第3収縮終了。部隊数−−−14部隊。
「次の収縮のとき、入れる所が少ないっすね」 「どうします?」
「今はこの場所キープで。次は考えときます」
小さな家をなんとか見つけ、入ることに成功した。第4収縮では安地内だが、第5収縮になるとおそらくズレるだろう。
「ッ…!グレ!」
「うわっ!危な!」
「建造物に入れなかったチームがここを狙いにきてるっすね」
「お返しに投げときますね」
「どうぞ〜」
「あ、1人倒しました」
「え?」
「倒しに行きますよ!」
あおいさんが2つグレを投げると1人に2つ直撃し、ダウンを奪う事に成功。人数有利のためファイトする事を選ぶ。
「こっちやれた!」
「いてぇ〜!そいつアーマー割れてるっす!」
あいかさんが1キル。これであと1人だがサトウさんがアーマーを割られ、体力も削られたので一旦サトウさんは回復のために下がる。
「倒したよ〜!」
「ナイスっす!」
サトウさんもアーマー割られたとはいえ、ちゃんと相手のアーマーを割り、最低限の仕事はした。これで、サトウさん2キル。あおいさん2キル。綾川さん2キル。合計で6キル。1試合目のキルポイント上限になった。あとは順位がどうなるか。いくら最初にキルできてても15〜11位なら順位ポイントはマイナスだ。
第4収縮終了。部隊数−−−8部隊。
「一気に減ったね」
「やっぱ安地ズレたっすね。ここからは大分キツいっすよ」
「弾切れとかは大丈夫そうですね」
「今さっき倒せて良かったっす。弾も回復アイテムも増えて、アーマーも強化できたんで」
部隊数は一気に減り、残り8部隊。これでキルポイント6に今、倒されても順位ポイントでプラス10は確定。
「移動はゆっくりいきましょう」
「そこの岩裏どう?」
「後ろにいますね…あそこは無理っす」
「どうしますか?そこが無理なら難しいですよ」
「あそこの家下がギリギリ安地内です。そこに−−−」
ドカンという音が聞こえた。それと同時に綾川さんがダウンした。
「ッ…!抜かれた!」
「狙撃…どこから?!」
普通なら狙撃されても大丈夫な場所。すぐに蘇生ができる。だが、第5収縮が始まり蘇生している暇はなくなった。
「あいかは見捨てて!行って!」
「しゃーないっすね。あおいさん!狙撃気をつけて!」
「はい!」
第5収縮終了。部隊数−−−5部隊。
「狙撃してきたの
「なるほど、あの人狙撃上手いっすからね」
なんとか家下に潜りこめた。だが顔は出せない。このまま順位が上がるのを待つしかない。
「ここで順位上がるの待ちましょう」
「そうですね」
残り部隊数−−−4部隊。
「なんとか3位まで……」
「なんか飛んできてます!」
「ロケラン…?」
家下にいる彼らは避けれる事なく、直撃。
「マジっすか……ここにウルト撃ってくるか」 「どうします−−−」
そのまま2発目のロケランの弾が飛んでくる。2度目の直撃を喰らった2人の身体は消失し、デスボックスとなった。
「みんなごめん!抜かれちゃた……」
「しゃーないっす。あれ抜ける
「1位は
「ちゃんと強いなぁ〜」
First Roundの順位は4位。悪くない結果だ。順位・キルポイント合計で16ポイント。総合点は116点。
「First Round終了!1位は
「いや〜あの狙撃は見事でしたね」
「頭が出た一瞬を見逃さない!素晴らしい狙撃でチームの勝利に貢献しました!」
「現在の順位はどんな感じですか?」
「ただいま集計…あっ、終わったみたいで
す!」
「出せますか?」
「はい!現在の順位を発表します!」
1位 laughチーム 合計 126ポイント
2位 aliaチーム 合計 120ポイント
3位 −−−チーム 合計 119ポイント
4位 綾川チーム 合計 116ポイント
「4位だ!」
「中々いいっすね」
「次も頑張りましょう!」
4位には入れた。しかし、まだ1試合目。このあと何が起きるかは誰にも分からない。
「2試合目も頑張るぞ!」
数分後、2試合目−−−Second Roundが始まった。
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