第9話 「配信者カップ1週間前 後編」
「こっちも敵いるっす」
「倒しちゃえ〜!」
「おっけす」
初動でアーマーや武器が無い状態とはいえ普通に敵をなぎ倒すサトウさんはやはりヤバい。
「こっちも倒せたよ〜!」
「ナイスです」
既に2部隊を壊滅させている。要するに2人合わせて6キル。激戦区に降りたからでこんな早い段階でキルを増やすというのは滅多に無い。このままいくとこの試合が終わる頃には屍の山が積まれている事だろう。
「まだまだ敵はいますよー。全員倒していきましょう」
「オッケー!」
「分かりました」
数分後−−−
「やっといなくなりましたねー」
「結構いたね〜」
部隊数は11まで減り、今までに壊滅した9の部隊の内、4部隊は彼らが倒した。 サトウさんが6キル。綾川さんが4キル。あおいさんは2キルという状況。
「移動していきましょうか」
「了解です」
「どっち行くの〜?」
「とりあえず安地の真ん中の方かな、と思ってたんすけど敵がいたらそっちの方に行く感じで」 「戦闘狂だね〜」
「ランクならしないっすよ」
「まぁそうだよね~」
ランクでキルムーブをするのはあまり良くない。このゲームは他のバトルロワイヤルゲームより漁夫があまりにも多い。戦闘が続けば続くほど不利になっていく。カジュアルならまだいいが、ランクはポイントが賭けられている。まぁ、全員倒せる程強ければ問題無いが、サトウさんみたいなバケモンみたいに強い人でも流石に無理だろう。
「そっちに敵いますよ」
「検知するっすね。……ちゃんと3人いるっす」 「倒しに行こ~」
「こっち倒したよ〜」
「ナイスっす!」
「こっちも倒せました!」
「ボクがいなくても勝てるんじゃないっすか?」
「そんな事言ってないで助けて〜!!」
「はいはいやりましたよ〜」
「最初から一緒に戦ってくださいよ」
「ボクがキルしすぎるの良くない気がしたもんで……」
思ったよりも相手が強く苦戦を強いられた。苦戦の理由はサトウさんが戦わなかったからだろう。このカジュアルの目的は綾川さんとあおいさんのフィジカル強化。確かにサトウさんがキルしまくっても意味がない。既に7キルしてるけどね。
「後、10部隊っす。全部やっちゃいましょう」 「全部倒せんの〜?」
「君達ならできるよ!YOU CAN DO IT!!」
「サトウさんも頑張ってくださいよ……」
「サポートはするんで」
「それは心強いですね?」
「なんで疑問形なんすか!?」
「なんでかはご自分でお考えください」
結局、最終収縮が終わる前1位を取り試合は終わった。戦績はサトウさんが10キル。綾川さんが8キル、あおいさんは6キルという感じだった。合計で24キル。カジュアルマッチだからできるキル数だと思う。大会ではこんな動きはできない。他の人に瞬殺されるだろう。まぁ、まだ1週間の猶予がある。この1週間でどこまでフィジカル強化ができるだろうか。立ち回りをどのようにするかも決めなくてはいけない。俺はこの大会には出ないが考える事が多いような気がしてきた。
「結構倒せたね〜!」
「じゃ、もう1戦行くっすよ〜」
「了解です」
「この調子でバンバンやってきましょ〜」 「やってこ〜!」
2時間程度経ち、配信終わりの時間が近づいてきた。
「これがラスト1戦っすねー」
「もう2時間も経ってるよ〜」
「楽しいと時間が経つのは早いですね」
「そうだよね~」
「ラスト1戦行くっすよー」
「は〜い」
顔合わせ配信のラスト1戦が始まる。
「敵いたら報告してもろて。ボコボコにしましょう」
「オッケー!」
激戦区に今回も降りたが珍しく敵がおらず、少し漁ってから移動しつつ敵を倒す方向になった。
「そこいるっすねー。やりましょう」
「やっちゃうよ〜!」
バラララッという音を立てながら綾川さんがサブマシンガンを撃つ。この2時間キルムーブをしまくっていたおかげでエイムは相当あたたまっているらしく、1瞬で標的を倒す。
「1人やった−−−え?」
「綾川さん?!」
「こっちもヤバいです!」
1人倒した瞬間、綾川さんも相手のプレイヤーにダウンを取られる。そしてあおいさんも体力ギリギリまで削られた。
「キツいっすね」
「どうしましょう…」
「アルティメットもまだ溜まってないですよね」 「後20パーぐらいっすね」
まだ序盤のため打開ができるアルティメットも溜まってない。唯一勝てるとしたらサトウさんが頑張って相手を 倒すぐらいしかない。
「こっち綾川さん蘇生できますか?」
「あっちの圧がキツいっすね。多分無理っす。でも2対2なんで勝てるかもしれないっす」
「倒しに行きますか?」
「いきましょう!」
「2人とも頑張って〜!!」
綾川さんが倒した相手と、綾川さん自身が時間切れでデスボックスになった。これで正真正銘2対2となる。
「グレ投げて!」
「分かりました!」
サトウさんの指示によりあおいさんがグレネードを投げる。
「右いるっす!」
「無理です!」
「くっ…!」
サトウさんはなんとか遮蔽に隠れられたが、相手のレイサーの動きが速く、あおいさんがダウンしてしまう。
「後ろから来てます!」
「おけっす!」
相手のコングフィストにほぼ全弾当て、引かせることに成功するがまだレイサーが残ってる。
「レイサー来てます!」
相手のレイサーは相当上手く、スモークを駆使しながら近づいて来る。スモークのせいで位置が分からない。足音を参考にして撃つしかない。
「まじか〜」
「ナイストライ〜!」
相手のレイサーは武器にデジタルスコープを装備していたらしく、サトウさんが視えないスモークの中で一方的に撃てるアドバンテージがあった。
「ん?この人aliaさんじゃないっすか?」
「え?今戦った人!?」
「本当ですね。aliaさんです」
元プロゲーマーalia。元々あるFPSゲームのプロをしていたが1年前に引退し、最近はストリーマとして活躍している。abex配信もやっており、プロの経験を生かして1位を連続して19回取るという離れ技をやってのけた。
「うわ〜勝ちたかったっす」
「aliaさんも配信者カップ出るんですからそこでリベンジしましょう」
「……そうっすね。必ずリベンジしましょう」 「目標できたね〜!優勝とaliaさんを倒しちゃう事!」
「やったりましょう!」
「やりましょう!」
サトウさんは1度コラボしたことがあるらしく、aliaさんを倒せなかったことを悔しがっていた。 「じゃあ今日は終わりましょうか」
「は〜い!みんな見てくれてありがとう〜!」 「見てくれてありがとうございました!」
コメント:最高〜!!
コメント:大会頑張れ〜!
コメント:このチームが優勝してほしい!
コメント:頑張れ〜!
「明日も多分やるんで、見てくれたら嬉しいっす!」
「みんなじゃあね〜!明日も見てね〜!」
コメント:絶対見るよー!
コメント:明日も頑張れー!
コメント:最高ー!!
コメント:あいか〜!愛してるぞ〜!!
−−−この配信は終了しました。
「みんなお疲れ〜!」
「お疲れさまです」
「いや〜疲れましたね〜」
「み、皆さんお疲れ様です」
「如月さんお疲れ様です」
「ごめんね〜配信喋れなかったし暇だったかもだよね」
「い、いえいえキルムーブ面白かったですよ」 「そう〜?それなら良かったよ〜」
自分自身はキルムーブはしないので新鮮に感じた。たまにはキルムーブをしてプレイするのも良いかもしれない。
「あっ、彼女との約束あるんで落ちるっすね」 「オッケー!また明日ね〜!」
「お疲れ様でした」
「はーい。お疲れ様でしたー」
サトウさんは彼女さんとの約束があるらしく先に落ちた。……サトウさん彼女いたんだ。知らなかった。勝手にいないもんだと思ってた。配信頻度高いし。
「彼女さんも大変ですよね」
「そうだよね~。配信者と付き合うの難しいだろうしね〜」
「サトウさんは約束してるの好感持てますね」 「ちゃんと約束してるの偉いよね〜」
……なんか女子トーク始まってない?彼女いない歴=年齢のため分からない話ではある。
「そろそろ時間だ〜あいかも落ちるね〜」
「分かりました。お疲れ様です」
「おつかれ〜!明日もよろしくね〜!」
さて、あおいさんと2人きりになったがどうしようか。今日は特にする事はない。
「如月さん」
「は、はい!なんですか?」
「私の動きが悪かった所を言ってください」 「めちゃくちゃ悪い動きはしてませんでした」 「…そうですか?」
「ですけど、あおいさんの得意な行動に移せてませんでした」
「……というと?」
「あおいさんは投げ物が得意です。けれどキルムーブの影響でグレネードを使う機会が多くなかったのもあります」
「確かに、あまり投げなかったですね」
自分の得意なことを活かせないのはもったいない。
「次回からはもっとグレネードを投げるのを意識した方が良いかもしれません」
「アドバイスありがとうございます」
「自分の得意なことを活かした方が強いんですよ」
「……そうですよね。精進します」
「あと1週間しかないけれど頑張りましょう」 「えぇ、頑張ります」
配信者カップまであと1週間。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます