第3話 「身体が……持たないッ!」
「みんな〜こんばんは~!」
コメント:こんばんは~
コメント:こんー
コメント:今日も元気だね
「今日はいつものabcx配信と違ってある事をしてもらいます!」
コメント:ある事?
コメント:なんだろう
コメント:コーチングとか?
「そう!今コメント欄に合ってた人いるよ!」
コメント:コーチングあってんのマジか
コメント:誰にしてもらうんだろう
コメント:昨日の上手い人?
コメント:そんなすぐにしてくれるかな?
コメント:イツキのことだし無茶いったんじゃね
「今日はなんと!コーチングしてもらいます!それじゃあ来てください!」
「え、えっと、今日水無瀬さんのコーチングをします き、如月カイといいます。よ、よろしくお願いします」
コメント:噛み噛みで草
コメント:緊張しまくりで草
コメント:大丈夫?めちゃめちゃ緊張してそうだけど
コメント欄の反応的に多分大丈夫だろう。でも、緊張しまくりなのはしょうがないじゃん!クソザコ底辺配信者が急に人気vtuberとやるってよっぽどだよ!しかも俺にとっては初コラボだし!
「よろしくね!カイさん!」
「は、ハイ。よ、よろしくお願いします」
「緊張しないでくださいよ〜」
「いや、ちょっと無理っす」
コメント:草
コメント:そりゃ緊張するわ
コメント:イツキはあんまり有名じゃない人ともコラボするし……
「じゃあ早速やってくよー!」
「わ、分かりました」
「ビシビシコーチングしてくださいね!」 「で、できるかわかんないっすけど頑張ります」
話している間にマッチングが完了する。水無瀬さんが選んだキャラは前に会った時と同じくレイサーだった。
レイサーはスキルでスモークを使い別のスキルで瞬時に敵に近づける攻撃的なキャラだ。アルティメットは1人に爆弾をつけることができ、当てることができれば確実に戦闘の状況を変える事ができる。だが、アルティメットが貯まるのが遅いのと、体力が他のキャラよりも低いので、射線管理をしっかりしなければアーマーを着ていてもすぐにやられてしまうので、結構上級者向けのキャラでもある。
他のメンバーのキャラは、2人目がハンブラー、3人目はライフダイバーというサポート系のキャラを選んだ。
………ライフダイバーを使う人は珍しい。このキャラは運営から見捨てられたキャラの1人と言われている。まあ、見捨てられたキャラなんてこいつと、もう1人ぐらいしかいないが。ライフダイバーの何が酷いってスキルの回復量が少なすぎる事だ。アルティメットの回復量は高いのになぁ、アルティメット溜まるの遅いけど。
「ここに降ります!」
水無瀬さんが降りたのは物資もそこそこ良い4番目ぐらいに人気がある場所である。もちろん人気があれば敵も来るから、初動のファイトは避けられない。初動は最終盤以上に運が絡んでくる。武器やアーマーを拾えるかが最初のファイトの勝敗を分けるのだ。
「敵は1部隊だけだねー」
予想通り敵はいる。ここからは運勝負だ。
「武器とアーマーあった!」
ショットガンと1番弱いアーマーが落ちており、最低限は確保することができた。今回は運が良い。アーマーだけが落ちてて、武器がないなんてこともあるからなおさらそう思うのだろう。
「1人来てる……!」
1人がこっちに向かってきている。武器を抱えていないから、武器を見つけられなかったのだろう。
「倒した!」
武器がないから相手は殴りかかってきたが、水無瀬さんは武器を持っているのですぐに倒すことに成功する。
……たまに格闘技のプロかってぐらい殴り合いが強い奴が居るので拳だからと、油断してはいけない。流石にエリートまでいってる水無瀬さんなら大丈夫だと思うけどね。
「また来た…!」
足音は今さっきと違い2つある。おそらく今倒した奴の仲間だろう。後々邪魔になる可能性もあるし、まだ序盤で武器もアーマーも揃っていない間に倒した方が楽になる。だが、2対1だ。水無瀬さんの実力を疑う訳ではないが、一気に複数人と戦うというのは難しい。さぁ、どれぐらいいけるか……
「こっちは……倒せる!」
素早い動きで1人を倒し、すぐさまスモークを使い隠れる。すぐに相手を確定キルしなかったのはいい動きだ。 まだダウンしているから残っている1人は助けるか、助けないかの判断を迫られる。助けにきたらスキルを使って倒すことができるし、助けにこなかったらこなかったで 1人になるので他の部隊にいずれ倒されるだろう。
……相手の判断は−−−こっちに向かってくるだった。
「よし!倒した!」
コメント:強い!
コメント:上手い!
コメント:やっぱvtuberの中では強いな
仲間想いの敵だったらしい。仇をとってやる!みたいな気迫でこっちに向かって来た。まぁ普通に倒してたが。これでキルポイントも手に入れる事ができたので、後は生き残る事ができるかだ。今の所はミスのようなミスはない。序盤だからまだまだ分からないが。
−−−−−−その後は味方の協力もあり、2部隊を倒す事に成功し順調に終盤まで生き残る事ができた。後残っている部隊は5部隊。
「中々動けないな……」
『コッチへ向かおう!』
2つの部隊に挟まれていたが、ハンブラーの人がスキルを使い誰もいない場所を探してくれたのでそこへ向かう。
「ハンブラーさん助かる!」
誰も倒されずに移動ができた。すぐに判断できている所をみると、このハンブラーを使っている人は上手い。
−−−安全地帯が狭まり、隠れられる場所が少なくなってきた。安全地帯内の家の中にいる部隊をどう倒すかで、この試合に勝てるかどうかが決まる。どう動くか考えている間に近くの倉庫で銃声がした。戦いに行かない方が良いが、水無瀬さんは行ってしまった。
「こっちを先に倒そう!」
『コッチに行くよ!』
『了解』
『分かりました。そちらへ行きましょう』
全員が倉庫の方へ向かうが、おそらく偶然行く所が被った部隊が近くにいた。先に気づいた相手部隊が撃ってくる。
「嘘!敵ここにいたの!?」
大ダメージを受けるが、スモークとライフダイバーのアルティメットで生存することができた。
『敵を探知する』
今さっきスキルを撃ったからまだ溜まってなかったハンブラーがスキルを使う。場所的にすぐに詰められる可能性がある。水無瀬さんがスキルの確認ができてなかったのはミスだな。
「あっぶない!今の!」
死んででもおかしくないぐらいの体力の削られ方だったが、ライフダイバーがアルティメットをすぐに使ってくれたおかげで生き残るとは……ライフダイバーに感謝する時がくるとは思ってなかった。
「どうしよっかな……」
体勢を建て直す必要があるが、時間がない。多分すぐに詰めてくる。返せたら、1位は無理でも2位ぐらいはいけかもしれない。
『コッチに向かう!』
『そこに敵だ!』
水無瀬さんがピンを指した瞬間ライフダイバーが落とされる。移動スキルがないので移動が遅れたらしい。3対2の状況だ。逃げる場所はもうない。できるのはアルティメットを使う事による打開だけ。
『アルティメットを使う!』
ハンブラーも俺と同じ事を考えたらしい。アルティメットを使い、近くに来ていた敵のスキルを封じる。誰かにレイサーのアルティメットを当てることができれば逆転勝ちできるかもしれない。
「アルティメットつかうね!」
相手のジャンキラーに近づきアルティメットを使うが、 爆弾を外してしまった。
「嘘でしょ!」
そのまま無防備な所を撃たれダウンしてしまった。その後は1人になったハンブラーが隙をついて攻撃するものの、数の暴力で負けてしまった。部隊全滅。ゲームオーバーである。
「負けたぁ〜〜」
コメント:ないファイ!
コメント:ないトラ!
コメント:惜しい〜
「カイさん!カイさん!何が悪かったですか?」
ヨシ!頑張れ俺!喋るんだ!
「えーっと……」
「試合始まる前に言いましたけどビシビシお願いしますね!」
「じ、じゃあ言いますね」
「はい!」
「ま、まず最初にスキルの確認ですね。敵を倒しに行く時は確認してください。初動はそんなに気にしなくてもいいです」
「はい!分かりました!」
喋れてる!俺、喋れてるよ!頑張ってる!
「えっと、つ、次に結構感覚で動いてると思ったんですけど、どうですか?」
「確かに感覚で次にどこ行くとか決めてるかも……」
「そ、そこは直していきましょう」
「オッケーです!」
「え、エイムは良いと思うので、た、立ち回りを良くできるように頑張っていきましょう」
「了解です!」
コメント:この人そんなに上手いの?
コメント:ちょっと噛み過ぎじゃねwww
コメント:調べたら前シーズンエンペラーらしいぞ
コメント:マジ?
コメント:ちゃんと強い人なのか
ちょっと俺がコミュ障なのバレてきてない?
「みんな〜聞いた!?エイム良いって!」
コメント:エイム強いもんね!
コメント:努力したかいがあったね
コメント:イツキはいつの間にか俺のランクを越えてたよ
「カイさん他に有りますか!?」
「ま、まだ全部分からないので後何戦かやりましょう」
「分かりました!頑張ります!コーチ!」
「ちょ、コーチはなんか……」
「なんか?」
「変な感じする」
「そう?いいと思うけどな〜」
コメント:なんか仲良さそう?
コメント:イツキは誰とでも仲良くなる定期
コメント:通常イツキだな
後何試合かしたら終わらそう。意外にも喋れているが俺の精神が頑張ってくれている間に終わらせなければ。
「じゃあもう1戦いきまーす!」
「が、頑張ってください」
コメント: 頑張れ〜
コメント:今度こそ1位取ろう!
コメント:ガンバー
この後3戦程し、一戦が終わるごとに悪かった所と、良かった所を教えた。一戦目に教えた所はちゃんと改善してくれていたので、このまま続けていけば水無瀬さんは必ずマスターまではいけるだろう。まぁ、まずはエリートまでいかなくてはならないけどね。
「疲れた〜!」
「お、お疲れさまです」
「しっかり考えてやることなかったから……」 「そ、そうですか……」
「…ん?ちょっとチャットきてるから見るね」 「は、はい」
チャットがきたのか。まあ、俺には関係ないが。
「えっと、カイさん」
「な、何でしょう?」
「体力残ってますか?」
「えっと、どういうことでしょう?」
「一緒にやりたい人がいます!」
「そ、それは俺とやりたい人ですか?」
「はい!」
なんで?なんで!?!?マジで?!!
「や、やれる気しないっす」
「とりあえずサーバー作ったからきてみてよ!」
「まぁ、いくだけなら…」
いや、身体持つ?無理だな?なんで行ってみるなんて言ってんの?バカなの?絶対喋れないって!そう思いながらも結局、送られてきたサーバーに入る。
「来てくれたんだ!」
「ま、まぁ」
「やりたいって言ってくれた人はこの人でーす!」
ポロンと特徴的なデェスコに入る音がした。 「あおいちゃんでーす!」
「初めまして。如月さん」
水無瀬さんよりは声が低いが今さっき『あおいちゃん』と呼ばれていたから女の子か?
「は、初めまして」
身体、持ってくれないわ、これ。絶対に身体が……持たないッ!
次回、abcxカジュアルフルパ。
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