第28話 『煌めきの狩猟団』
「おめえじゃねえんだよ!」
2足歩行の魔物がアンデッド以外思いつかなくて、スケルトンとかのアンデッドを探しに来たハクトです。
そこで見つけた魔物がオレの思惑と違っていたので思わず叫んでしまいました。
だって、そこに居たのは狼さんのゾンビだったんだもの。
オレが求めているのはゾンビじゃないんだ。
2足歩行の要素の方なんだ。
だからウルフゾンビ(角)、お前はダメだ。
だって、4足歩行なんだもん。
それに、お前は腐肉の塊じゃないか。
お前を倒そうとすると、腐肉が口に入るんだよ!
だからお前は倒さない。
だから追ってくるんじゃない。
絶対こいつ、視覚とかじゃなくて体温とか、生者の気配とかで索敵しているよな?
だから、逃げの一手です。脱兎。
◇ ◇ ◇ ◇
――そのころ、『ケイテラレントの街』の冒険者ギルドでは。
「なあなあ、あの噂聞いたか?」
「ああ、あの知性を持つ魔物が出たってやつか?」
「そうそう、なんでもそれがとんでもなく強えホーンラビットだって話だろ? たしかあの森にはウサギはいなかったはずだがな?」
「そうなんだよ! だから余計に
前回、ドトフトの森に凶悪な魔物が発生した可能性があるとのことで調査依頼を受けたBランクパーティー、『煌めきの狩猟団』が持ち帰った情報によると。
その個体は『ホーンラビット』の亜種。
通常、ホーンラビットはFランクパーティー推奨の弱い魔物であるが、その個体はその枠に収まらず、当初の推定では『脅威度C+』であったのだが追加の調査の結果『脅威度B』にまで上位修正されている。
ただし、『煌めきの狩猟団』が邂逅した結果、こちらから攻撃を加えても避けるだけで反撃はしてこず、しかも立ち去り際に前足を挙げて挨拶していったというのだ。
なので、確定ではないながらも、魔物の強さを図る『脅威度』は高いながら、危険性を示す『警戒度』は2段階低く『D(仮)』と評価されているのだ。
「ねえねえっ! あのウサギさん! 話題になってるねっ!」
そう話すのは、ハクトを調査しに来た『煌めきの狩猟団』でヒーラーを務める人間族の女性、シャリエ。
このパーティーは、本来領都であるエーリアドの街を本拠地にしているのであるが、前回の『知性ある魔物』、ハクトとの出会いの後にどうにも気になってまだこのケイテラレントの街に滞在を続けていた。
「そうだにゃ。もう一度会いに行ってみるかにゃ? もしかしたら、なついてくれるかもしれないにゃ?」
そして、前衛で武闘家、猫獣人の女性のマルティ。
「うん、今にして思えばあの時もう少し落ち着いて接していれば、また違った結果になったかもしれん」
冷静に回想するのは、人間族戦士の男性、このパーティーのリーダーであるガルヌである。
「まあ、こういうのは何ですけれど、ロバルツが攻撃しなければまた違う結果になったのでしょうけれど」
「だから! 悪かったって何回も言ってんだろうが!」
とげのある言い方をするのはハーフエルフの魔法使い、パーリフォーシュで女性であり、詰め寄られたのはドワーフの斧使いのロバルツである。
「むーん、そういえばさあ、ジョセフィーヌがそろそろこっち来るんだよね? そしたら一緒に向かえばいいんじゃね?」
そして最後の一人、ホビット族の男性で斥候兼盗賊のカートである。
ちなみに、カートが話しているジョセフィーヌとは彼らのパーティーの一員ではないのだが、以前に数回一緒に依頼をこなしたことのあるソロ冒険者の事である。
ジョセフィーヌの職種は『従魔士』であり、大きな虎の魔物の従魔を連れており、『知性のある魔物』の噂を聞いてこちらに向かっているという情報が入っていたのだ。
「そうだな。僕たちだけ向かったところで、仮にホーンラビットに本当に知性があったとしても、仲間に出来るかは限らないからな」
「でもっ、でもっ! そしたらさぁ? そのウサギちゃんはジョセフィーヌにとられちゃうんだよねぇ? そんなのいやだーっ! あのウサギちゃんはボクがかわいがるんだいっ!」
「なあ、ワシはいかないほうがいいかのう? 向こうも攻撃を加えたワシがいると警戒するじゃろうし‥‥‥」
「だいじょうぶじゃにゃい? ウサギちゃん涼しい顔して避けてたからにゃ。攻撃されたと思ってにゃいんじゃにゃいかにゃ?」
「くっ! それはそれで屈辱だのう!」
「まあまあ。ジョセフィーヌがいなくてもチャンスはあるかもしれなくてよ? チャレンジだけならしてもいいんじゃなくて?」
「だよねっ! だよねっ! よーし決定っ! 明日さっそくウサギちゃんツアーにけってーい!」
こうして、ハクトの知らないところでハクトがあきらめたはずのテイムに向けた動きが思いがけず動いているのであった。
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この度は、『うさぎ転生~角ウサギに転生した元日本人は、日本食食べたさに兎獣人への進化を目指す~』を呼んでいただき誠にありがとうございます!
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