第24話 お口スッキリ

 オレは今まで真面目過ぎた。


 よく考えたら、ゴブ集落にカチコミかけるのに正面から行く必要はありませんね。


 それに、ご丁寧に見張りや門番から順番に倒していく必要もなかったですね。


 まあ、良く言えば真面目。


 悪く言えば馬鹿ですね。


 なので、集落の裏の方から忍び込みます。




 『仮死状態』になると動けないことが判明したので、体毛を黒くして闇に溶け込み、足音を消して移動します。


 それにしても、この集落のゴブども増え過ぎじゃね?


 間引いた分を差っ引いて、単純計算で2倍以上になってるぞ?


 いくらゴブが繁殖力が強いからって、こんなポコポコ生まれるもんですかね。


 もしかして、他の集落と合併でもしたのかな?


 なんとなく、そう考えたほうが辻褄が合いそうだな。



◇ ◇ ◇ ◇



 集落の中の、一番大きな屋根のある小屋に侵入する。


 この集落にはほかにもう一つ、すこし豪華っぽい中くらいの建物があるので、でかいゴブとか魔法ゴブとかはたぶんそっちに居るのだろう。


 あいつら上位個体っぽいから、いいところに住んで偉そうにしているんじゃないかという推測だ。


 案の定、オレが侵入した小屋の中には兵隊と思われる雑魚ゴブが雑魚寝している。


 よし、ジェノサイドを始めよう。



  シュパッ


  シュパッ


  ピイーーーー


  シュパッ



 雑魚ゴブたちの首を、暗殺用牙で刈り取っていく。


 牙で攻撃すると、口の中に血とか肉とかが入ることがあるため本当は嫌なのだが、角で心臓を突くと断末魔を上げられて他のゴブどもが起きてしまうため仕方がない。


 なるべく無音で狩っていきたいところであるが、時折肺の空気が喉の声帯を刺激して笛のような音が鳴ってしまう。


 でもまあ、変なイビキだと思ってくれるだろう。


 オレはアサシンウサギの面目躍如で、およそ40匹ほどの雑魚ゴブをかたずけた。



【ゴブリンを100体討伐しました。この種族には特異固体や上位個体が存在するため、100体討伐毎にこれまでに倒した個体の持つ特性の中から選択して付与されます。以下の候補から一つ選択してください。『2足歩行成分アップ(極小)』、『精力アップ(小)』、『生活魔法』】


 

 おっと、なんか新しいの来ましたね。


 ふむふむ、なるほど。


 ゴブみたいな同一種族でもその中に別個の属性持ち個体がいる場合にはこういう事になるんだね。


 しかも、今後100匹討伐ごとにまた能力を得られるというのだから、ゴブ様様だな。


 では、まずは何を選ぶかという話になりますな。



 まずは『精力アップ(小)』、お前はいらねえ。


 ウサギの状態でそんなものがアップされても非常に困る。


 というか、これまで疑問に思わなかったのだが、オレってオスでいいんだよな?


 ウサギに転生したほかに性別まで変わってたりしたら属性多すぎだ。


 でも、どうやって確認すればいいのだろう?


 たしか、ウサギって生後3ヶ月くらいは性別判定が困難だって聞いたことがある。


 いまのところ、自分の身体に雄々しいバズーカ砲も豊満な双丘も確認できていない。


 ウサギに転生してから1ヵ月は経過しているんだが、オレって生後1か月という認識でいいのかな?


 ダメだ。考えてもわからん。



 まずは目の前の選択肢からの取捨選択に集中しよう。


 となると、『2足歩行成分アップ(極小)』と『生活魔法』の2択になる。


 

 ウサミミもふもふ獣人を目指すオレとしては『2足歩行成分アップ』が捨てがたいのだが、これはゴブ以外からでも手に入る。


 今回選択しなかった項目が次回も選択可能である保証はないため、取り逃がしたら痛い方を選択するべきだな。


 となると、やはり『生活魔法』になるだろう。



 ここで迷って時間をかけているわけにはいかないので、さっさと心の中で『生活魔法』を選択する。



・new!生活魔法~ゴブリンを100匹倒した中にゴブリンハウスキーパーが含まれていたことにより選択可能となって得た能力。日常生活全般に役立つ魔法を行使できる。その内容、効果は使用者のイメージによって変化する。



 よっしゃ! 使えそうな能力来ましたよ!



 オレは早速とばかりに『生活魔法』で『口内洗浄』と『歯磨き』を行使する。


 だって、口の中ゴブの血とかで気持ち悪いんだもん。


 イメージは、前世で使ったマウスウォッシュと固めの歯ブラシ。さらに、歯間ブラシも追加でイメージ。


 おお、歯がピカピカ吐く息スッキリ! 


 これで口臭を気にすることなく若い女性とも気兼ねなく会話ができるな。まあ、オレはまだ人語を話せないのだが。


 ん? となれば、今後人語を話せる魔物を倒していけば、オレは人語を発することが出来るようになるのかもしれないな。


 うん、これは獣人に進化するための重要な要素ファクターのような気がしてきたぞ。


 オレの頭の海馬の奥にしっかりと記憶しておこう。

 






ーーーーーーーー


 この度は、『うさぎ転生~角ウサギに転生した元日本人は、日本食食べたさに兎獣人への進化を目指す~』を呼んでいただき誠にありがとうございます!


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