第22話 タケノコ土魔法
さて、さっそく検証してみましょう。
この『土魔法』、Lvとか、初級とかそんなのがついていないから、どれくらいの威力なのかさっぱり見当がつかないんですよ。
ズガン
うん、大体この距離が限界かな。
オレのいる位置から5mほど離れたところに、地面から生えた土の槍が一本生えている。
生成した土の槍に近づいて触ってみる。
むー、やわっこい。
そしてちっちゃい。
それにそれほど尖ってない。
タケノコの新芽かな?
これでは殺傷能力はほとんどないな。
でも、オレは慌てない。
なぜならば、魔法とかこういったものは、使えば使うほど『熟練度』なるモノが上昇していくというテンプレを信じているからだ。
使用したMPは‥‥‥2
今の最大MPが42Pだから、21回練習できますね。
ズガンズガンズガン
10発ほど練習してみた。
土の槍を確認してみると、最初の時よりは硬く鋭く大きくなってきている。いい感じだ。
よし次だ。
土魔法と言えば、土の槍と共に有名なのが
ぜいたくを言えば、
では、空中に土の槍を形成し‥‥‥できねえな。
だったら、妥協して石のつぶてを生成‥‥‥出てこねえ。
なら、さっき作った地面から生やした
いかに魔法はイメージが大切とはいえ、やっぱり熟練度をそれなりに上げないと思い通りにとはいかないか。
残りのMPを
それから5日間、MPを使い切るまで土魔法を使っては休むことを繰り返した結果、【土魔法Lv1】と、なんと魔法の欄にレベルの表記が追加された。
使うごとに土の槍が固く鋭く大きくなってきたので、やはりこの世界の魔法には熟練度システムが適用されているのだろう。
MPを使い切っても体がけだるくなるなどの現象は発生しなかったので、MPがなくなってからはMP回復の薬草がないか森の中を探し回り、とっても甘露な美味い草(魔力草)を見つけることが出来た。
でも、この魔力草、草原の中にポツンと一本だけ生えていてとっても稀少だったんですよね。安定供給には程遠い。
これからも暇を見て探し回るとしましょう。
◇ ◇ ◇ ◇
「見つけたぜ! カメムシ野郎!」
土魔法にある程度のめどが立ってきたので、いよいよカメムシ退治に乗り出すことにした。
こいつら、落ち葉の下とかに隠れているから見つけるのも一苦労なんですよ。
『熱感知』に引っ掛かんないから、片っ端から落ち葉をひっくり返して歩いていました。
そしてとうとう見つけたカメムシ野郎。
オレはそばにある木の枝に上り、『最後っ屁』をくらわない様に距離をとる。
「『
土魔法を発動させ、カメムシ野郎の腹の下に鋭い土槍を作り出す!
コロン
あれ?
土の槍が刺さりません。
どうやら、カメムシは虫だけに体重がとても軽いようで、槍で突きあげても刺さらずにその場でひっくり返ってしまいました。
そして、攻撃を受けたカメムシ野郎は、防御のための手段を取る!
「逃げろーーーーーーーー!!!!」
脱兎を発動し、殺人臭汁から遠ざかる!
息を止めろ!
少しでも速く!
少しでも遠くへ!
オレは無酸素運動で
くんかくんか。
なんか身体が臭っている気がするが、心理的なものだと信じたい。
◇ ◇ ◇ ◇
さて、困ったぞ。
なんかオレって困ってばっかだな!?
物事が最初からうまくいった試しがねえよ。
せっかく覚えた土魔法も、カメムシを倒すには至らなかった。
もし倒したとしても、その都度殺人臭汁から脱兎しなくてはならない。
とてもじゃないが、それを100回繰り返すとか気力が萎えてしまう。
何かうまい方法を考えなくては。
◇ ◇ ◇ ◇
「『落とし穴』!」
地面の土を除けて穴を掘る。
「『圧縮』!」
除けた土をその穴にかぶせ、ぎゅーーっと圧縮する。
三日三晩考えました。
前世ではどうやってカメムシ退治していたっけ? と。
たしか、一番有効だったのはガムテープに張り付けて、そのまま折りたたんで粘着面で挟み込んでしまうやり方だった。
こうすればヤツが臭い汁を出してもその臭いは空気中には飛び散らず、飛んで逃げられることもなく退治できていた。
で、異世界にガムテープなんてものがあるはずがないので、なんとかして同じような効果をもたらすこと出来ないかを考えたわけですよ。
そして、思いついたのが『閉じ込めて、圧殺する』という手段です。
これならば、カメムシの体重が軽くとも対応出来るし逃げられることもないし、臭汁も閉じ込められる。
課題は、臭い成分が空気中ににじみ出ない様にいかに土を圧縮できるかにかかっている。
ということで、土魔法練習の日々がまた1週間続くのであった。
ーーーーーーーー
この度は、『うさぎ転生~角ウサギに転生した元日本人は、日本食食べたさに兎獣人への進化を目指す~』を呼んでいただき誠にありがとうございます!
もし、少しでも『面白い』『続きが呼んでみたい』等々の感想を抱いていただいたのであれば、作者のモチベーションに繋がりますので、★や♡での応援や、フォローやコメントをいただければ幸いです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます