第21話 待望の

 ほりほり。


 オレはひたすら土を掘る。


 ほりほり。


 とある魔物を探して土を掘る。


 ほりほり。


 本能的なものなのか、とってもほりほりが楽しいのだが、楽しさにかまけて目的を見失わない様に気を付けよう。



 オレが探している魔物。


 それは、前世の知識で仮死状態になることが出来るという唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ系統の魔物です。


 いや、そんな都合のいい魔物がこの森に居るのかって?


 そんなの探してみなけりゃわからないじゃないですか!



 それにここはファンタジーな異世界だ。


 『熱感知』を持っていたスネークさんがこの森にいたのだ。


 ならば、その対抗手段もこの森で手に入る可能性が高いと思うの。 



 オレも『熱探知』を使い、地面の下に反応する熱源をめがけて穴を掘る。


 そこには、何かしらのネズミやモグラ系の魔物か動物がいるはずなのですから。


 ほら、何かいましたよ?





「あ、逃げた」


 土の中にいた魔物? 動物? はオレの接近を察したのか、全力で穴を掘って地中を逃げ始めた。


 その魔物が逃げる先に足音を消して先回りし、地中から近づいてきたタイミングで一気に穴を掘り仕留める!

 

 んー、この魔物は―― ネズミではなくモグラさんですね‥‥‥。




 

 残念ながら、地中で見つけた魔物は狙っていたネズミさんではなくモグラさんであった。


 でも、もしかしたら次はネズミさんが見つかるかもしれない。


 そんな希望を持ちながら、穴ほりほりアタックを繰り返していく。










◇ ◇ ◇ ◇



 ギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!!


 出た! 出た! 出やがったーーーーーー!



 地面をほりほりしようとして、じゃまな落ち葉を寄せてみたら!


 何で異世界にお前がいるんだよ!


 しかもとんでもなくでっかくなってるし!


 


 突然オレの目の前に現れた、招かれざる客。


 それは、


 Lサイズのピザくらいに大きくなっただった!




 脱兎にげる


 本能的な恐怖を感じてその場から逃げる!


 いや、多分その大きなカメムシは弱いと思うよ?


 でも、もし臭いを発せられたりしたら!


 オレは嗅覚の爆上りしたウサギさんですよ?!


 悪臭だけで死ねる未来が幻視できるぅぅぅぅ!

 

 突然目の前に現れるのは勘弁してくれー!




 ‥‥‥ん?


 突然?


 そういえば、オレは地中のモグラさんを探すために『熱感知』をオンにしていたはずだ。


 それにもかかわらず、カメムシ野郎はオレの目の前に突然現れた。


 という事は?


 もしかしてこいつ、『熱感知』を能力を持っているのか?




◇ ◇ ◇ ◇



 うーむ、どうしようか。


 オレの探し求めている能力、『熱感知を無効にする能力』を、大きいカメムシ野郎が持っている可能性が高い。

 

 そして、その能力を手に入れるためにはカメムシ野郎を100体倒さなければならないのだ。


 倒そうと思えば倒せるだろう。


 だが、オレにはいまだ直接攻撃しか攻撃手段がない。


 倒すたびにあの悪臭を放たれてしまえば、嗅覚強化なウサギのオレは死んでしまうかもしれない。


 牙で倒すなんてもう想像もしたくないっす。

 

 しかも、相手はサイズがとても大きくなっている。


 魔物であることを踏まえても、日本のそれよりも悪臭の殺傷能力が強くなっている可能性が高い。


 よしんばオレが臭いで死なないとしても、その悪臭は確実にオレの身体に染みついてしまう。


 オレはカメムシ臭のするウサギにはなりたくはない!




 どうしてこう、うまくいかないかな!


 解決策があればあったでとんでもないハードルが新たに現れる毎日。


 オレのLUK幸運値よ、頼むから仕事をしてくれ!






◇ ◇ ◇ ◇


 ほりほり。


 八方ふさがりです。


 ほりほり。


 打開策がみつからないとです。


 ほりほり。


 だから、一縷の望みにかけてネズミさん探しを続けてます。



 ギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!!


 たまにカメムシ野郎を発見してしまいます。脱兎。



 ほりほり。


 カメムシからはすぐに逃げ出し、場所を変えてまた穴を掘ります。


 ほりほり。


 いまだネズミさんは見つかっておりません。



  グサッ


 見つけたモグラさんはしっかり狩っておきます。





【土モグラを100体討伐しました。同一種族の100体討伐ボーナスとして、討伐種の特性の一部が付与されます。『土魔法』を手に入れました。】



 そうか、モグラさんの正式名称は『土モグラ』というのか。


 いや、そこじゃない。


 あまりにも突然だったので反応が送れた。





  キターーーーーーーーーーーーー!!!!!



 魔法来たーー!


 とうとう手に入れましたよ奥さん!


 しかも土魔法ですってよ!


 これで、遠距離攻撃の手段が手に入りましたー!





名前:ハクト(ネームド)

種族:アサシンヴォーパルバニー(転生者)


レベル:10→12

HP:43/43→50/50

MP:37/37→42/42


STR:24→30

ATK:50→55

SPD:63→74

VIT:32→37

DEF:30→37

INT:55→69

RES:24→29

DEX:35→48

AGI:70→83

LUK:178

魔法:new!【土魔法】

スキル:

・new!遠吠え(威嚇小)~コボルドを100匹倒して得た能力。威嚇効果がある。


・new!2足歩行適応(極小)~コボルドを100匹倒して得た能力。2足歩行に必要な体幹、後ろ足の筋力が適応化され、前足の器用度が上がる。

 

※既出のスキルは割愛しています。 







ーーーーーーーー


 この度は、『うさぎ転生~角ウサギに転生した元日本人は、日本食食べたさに兎獣人への進化を目指す~』を呼んでいただき誠にありがとうございます!


 もし、少しでも『面白い』『続きが呼んでみたい』等々の感想を抱いていただいたのであれば、作者のモチベーションに繋がりますので、★や♡での応援や、フォローやコメントをいただければ幸いです!






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