第8話 ウサギの進路

 あらいらっしゃい。


 スイートマイホームへようこそ。


 オレがこの木のうろハウスのあるじ、ハクトです。



 この新居を見つけて、洞の中に入っていたゴミやら土やら雨水やらを掻きだして、どうにか住めるようになりました!


 お陰様で今日のはぐっすり眠れました!   




 あ、でも途中でお客さんが来たんだよね。



 この洞は外側からなかなか視認は出来ないんだけど、それでも『熱』で感知されたのかヘビさんが木登りしてきちゃったんだ。


 でも、魔物じゃないヘビさんだったから、つので一突きしておいた。


 死骸を真下の枝に巻き付けておいたから、あともうヘビさんは来なくなると思う。


 さすがに同胞の死体があるところに近寄る奴はいないと思うんだ。


 まあ、アナコンダさんみたいなおおきなヘビの魔物さんとかなら遊びに来ちゃうかもしれないけれど、この洞の出入り口はそれなりに狭いし、中も入り口付近は直線で奥が深くなっているのでつのアタックで撃退できると思うんだ。

 あ、でももし毒蛇さんに咬まれたらアウトだな。

 こんどは毒消し草を探したいところだ。


 でも、どの草が毒消し草なのかわからないので、その情報をどうやって得るかが問題なんですね。


 前の時みたいに人間が採取している所で聞き耳を立てるしか方法がない。


 しかも、人間はほぼ日中にしか活動しないから、夜行性のオレとは活動時間があわないんだよな。

 

 そんな中で都合よく毒消し草を採取する集団や個人に出会うとなるとさらに確率は低くなる。


 有用な情報を得る為には、かなりの時間を必要とすることになるだろう。


 まあ、このことは昼型人間ウサギになったら考えることにしよう。





◇ ◇ ◇ ◇



 で、落ち着いた寝床を確保できたことで、昨はゆっくり横になりながら考え事をすることが出来た。


 何を考えたのかって?


 それは、『いかにしてこの異世界で美味い食事にありつくか』ということですよ奥さん!



 で、結論の一つとして導かれた答えはですね、やっぱりこのままじゃダメなんですよ。


 いかに薬草が美味いからと言って、それだけじゃ満足できないんです。


 元日本人のオレからすれば、焼肉とかハンバーガーとかカレーとか天ぷらとかを食いたいわけですよ。もちろんラーメンとかチャーハンも。寿司や刺身もウェルカムです。


 でも、この異世界ってそんな食文化あるの? って疑問が出てくるわけですが、それは確かめてみなければわからないことであって。


 で、どうやってそれを確かめるかといったら、やはり森の中で生活していちゃ無理なんですよね。


 と、なれば、どうすればいいのかってなりますよね。


 やっぱり、こういった食事というのは人間たちの文化であって、そういったところに行かなくてはならないと思うのです。


 となれば、人間たちの住む街なり村なりに潜入しなければならないという事になりますが、残念ながら今のオレはウサギであって、かつ魔物でもあるわけで、どうあがいても害獣か人に仇なす存在ですから、討伐されてしまう可能性が高いんですよね。




 ということで、『どうすれば討伐されることなく人里に紛れ込むことが出来るのか!』というテーマで考えてみました。はい。


 そして見事、論理的で帰納的で整合性のある答えを見つけ出すことが出来たのです!


 それは!


 ダカダカダカダカダカダカダカダカ(ドラムロールの音)


    バーン!



 その答えは、『人間にテイムされる』ことでーっすぅ!



 

 もう、完璧っしょ?


 だって、テイムですよ奥さん。

 

 そうなれば、オレって可愛いペットでもあり、戦いでも役に立ついやつであり『仲間』ですよ?


 そりゃあもう、オレの飼い主? テイマー? はめっさ可愛いオレに美味しいものをたらふく食わせてやりたいと思うわけですよ!


 ああ、イッツアビューティフォーデイ!




 ということで、『どうすればテイムしてもらいやすくなるのか』という事も考えてみました! 


 まずは、『テイムしたくなる魔物』っていったいどんな魔物? ってとこから考えるとですねぇ?


 ①かわいい、またはカッコいい。

 ②強い、または回復が出来る


 はい、この二つが重要な要素だと思われるわけですよ。



 まず、①の可愛さについてはとっくにクリアしているわけですね。


 オレが人間の前に行って、小首をかしげながら「キュ? キュキュ?ぼくわるいウサギじゃないよ?」なんてやっちゃえばもう完璧よ?


 でも、それだとペット扱いにしかなれなくて、魔物であるオレにはちょっと違う扱いになりそうなんですよね。


 ということで②の条件。


 『強くなる』ことを目指してこれからの日々を生きていこうと思うのです。はい。



 強くなるためにはどうすればいいのか?


 はい。これから魔物を狩って狩って狩りつくしたいと思います。





「って、やってることは昨日とおんなじじゃねえかよ!」


 スライムの核を砕きながら、そのことに気付くオレでした。 





ーーーーーーーー


 この度は、『うさぎ転生~角ウサギに転生した元日本人は、日本食食べたさに兎獣人への進化を目指す~』を呼んでいただき誠にありがとうございます!


 もし、少しでも『面白い』『続きが呼んでみたい』等々の感想を抱いていただいたのであれば、作者のモチベーションに繋がりますので、★や♡での応援や、フォローやコメントをいただければ幸いです!



 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る