学生トーク「住宅の内見編」

山田 武

学生トーク「住宅の内見編」



「──住宅の内見、についてどう思う?」


「…………あっ、それいつものか?」


「そう、いつもの」


 突如として振られるお題に対して、返答を求められている。

 だが今回の内容については、前とのギャップもあり一瞬気づくことができなかった。


「内見って……ドラマとかアニメとか、創作物だとそういうシーンあるよな」


「けど学生が直に関わるかって言うと、あんまり無いだろう」


「俺もお前も普通に実家暮らしだし、不動産屋にお世話になってないしな」


 内見とは不動産関係の下見、みたいな感じである。

 実際に家を見て、事前情報との差異が無いかを五感で感じるためのものだ。


 ……まあ、あくまでテレビなんかで見た聞きかじりでしかないんだけど。

 一人暮らしとか、そういうことになれば嫌でもすることになるのかもしれないけど。


「というか、内見をする……っていうかそれが必要にならないヤツっているのか?」


「まあ、居るんじゃないか? たとえば、家族と住んでた家をそのまま引き継ぐヤツ。持ち家……マイホームだけじゃなくて、借家でも。それなら内見は要らないだろう」


「そうなのか? いやまあ知らんが」


「俺も実際のところはさっぱりだけど、後他にもパターンがあるとすれば……」


「……あるとすれば?」


「──金持ちの衝動買い」


 絶対に内見をしなければならない、と法律で決まっているわけでもないのだろう。

 何となくのイメージでしかないが、ある程度の写真の情報で満足しそうな気がする。


「……お、おう」


「あと、普通に急な出張で住む場所を確保せざるを得ない人とかか? まあ、出張の期間にもよるけど最低限住めればいい、とか考える人もいるかもな」


「ちなみに、お前って今後独り暮らしとか内見の予定とかは?」


「──無いぞ」


「そ、即答……」


「自立を促すにはいいって言うけど、それしなきゃダメか? 生きてりゃそういうことは自然とあるだろうし……というか、寿命的に考えて強制的に独り暮らしにはなるだろ」


「けっこn……」


「…………」


「「…………」」


 俺は独り暮らしのメリットより、家族と過ごす時間に大切さを感じている。

 ……決して、親のすねをかじるのが最高とか考えてない…………考えてないからな!


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