幕間 エイリー
ポセアニアは四方を海に囲まれた国。
だから基本的に船で移動する事が多い訳なんだけど、この船旅っていうのはとっても気持ちいいだよね。
だから私は船旅が好き。
私的な時間は城に居るより、船に乗っていた時間が多いぐらい。
「だからあんまり自分を女の子って思った事ないんだよね」
魔力で動くと言っても船ってどこか男所帯な所があるから、手伝っている内にあんまり女の子ぽくはならなかったんだよね~。
それに家族の中で女の子って一人だけだし、女の子らしさってよく分からないし。
「え? 許嫁?」
だから初めにその話を聞いた時には戸惑いの方が大きかったんだよね。
あれだけ好き放題させてもらっていたのに、いきなり婿だなんてさ。
自分で言うのもなんだけど、いくら女の子が一人だけだからって向いてないにもほどがあると思うし。
「うん、いいよ」
それでも引き受けたのは単純に、向こうの世界が楽しそうだったから。
それに約束事って言うのは守らないと。
写真? っていうのを見た限りだと聖くんも優しそうな感じだったし、あんまり不満は無かったかな。
故郷を離れるのは寂しいけれど、一生の別れじゃないしね。
「来たのはやっぱり正解だったね」
こっちには見た事もない色んなものが一杯で、私の想像よりもっと楽しい所だった。
それに他の王女たちも個性豊かで話してて楽しいから、まったく飽きないし。
聖くんも見た目どおり優しい感じだし、来て良かったて思えるよ。
「落ち着いたらみんなで一緒に外を探索したいな」
そんな願望を抱えつつ、時々来る王族としてのお仕事をこなしながら過ごす日々。
この時点では、まだ聖くんは気のいい友人って感じだったんだけど。
……少し考えが変わったのは、あの夜からかな。
「いやいや。俺から見たら十二分に女の子ですって」
思ってもみなかったこの一言に、思わず動揺しちゃった。
今まで王女扱いしてくれる人は居たけれど、女の子扱いしてくれる人なんて家族ぐらいしかなかったから。
その後で部屋に戻って変じゃなかったかなって不安になったけれど、次の日普通に挨拶してくれてちょっと安心した。
「……お嫁さん、か」
今まで何となくで誤魔化してきたけれど、私も聖くんにとって対象の一人なのだと改めて実感しちゃた。
「悪くはないんだけどなぁ~」
別に聖くんを悪く思っている訳じゃ無いし、むしろイイと思う。
王女の側面から見ても、ドンドン距離を詰めるべきだと思う。
けれどこのままお互いを知らないまま結婚っていうのは、何か嫌な感じがする。
「……うん、決めた」
これから聖くんにはもっと私を知ってもらおう!
聖くんはこの話に消極的ぽいけど、仲良くする分には構わないよね?
「うん! これからも楽しみ!」
エイリー・ティッチの毎日は楽しさで溢れている。
あとがき
今回はここまでとなります。
想定以上に短くなってしまいました。
何気にエイリーが一番書くのが難しい。
ともかく次回でもう一回幕間をして本編に移りたいと思っています。
では皆さん、次回もお楽しみに!
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