第8話 インターフェースは食べられるのか?

「貴方の名は? メドギドの部下?」

「あんな唐変木と一緒にすんなよ。俺様はギリアードだ。あの連中……赤系とは敵対してるんだぜ」

「敵対?」

「ああそうだ。レーザ星系を構成している星は幾つもある。俺たちは青系と呼ばれている種族だ。赤ら顔のメドギドよりもハンサムだろ?」

「トカゲにしか見えないわ」

「まあいい。俺たちは文化的なんだよ。他の種族、特に赤系は平気で生肉を食うが、俺たちはグリルした肉を食うんだ。ちゃんと味付けしてな」

「味付けね。あの子たちも後で食べちゃうんでしょ?」

「ああ? ネズミは食い物だろうが」

「やっぱりね」

「まあ、知恵のある奴は生かしておくが、役立たずは肉だ。当り前だろうが」


 最上の腕を掴んだギリアードは彼女の手の甲をベロリと舐めた。


「旨そうだな」

「私はインターフェースだから食べられないわよ」

「喰う前にたっぷりと犯してやる。ふひゃははは!」

「下品ね。ところで、ここへはどうやってきたの?」

「ああ、この家は小型艇を四次元化して設置した内部に作ったものだ。表の家とそっくりにな。そこに、俺も四次元化した小型艇でドッキングしたって訳さ」

「ところでギリアードさん。貴方の母船は大丈夫なのかしら。そろそろ防衛軍の艦艇が補足してるはずなんだけど」

「何だって?」

「だって、私、巡洋艦最上がここにいるんですよ。そこへのこのこと小型艇でやって来た。その航跡はしっかりとトレースしてます」


 最上の手を放してギリアードは玄関へと向かった。その向こう側からはアラーム音が響いていた。


「覚えてろ。この借りは必ず返してやる」

「返却不要です。この家も放棄しなさいな」

「うるさい」


 ギリアードはドアの外へ出ていった。その後、ゴオオオンと鐘を鳴らしたような金属音が響き、同時に家がガタガタと揺れた。三人のネズミ獣人は互いに抱き合ってガタガタと震えていた。


「もう大丈夫よ。飴ちゃん、食べる?」


 最上はポケットから飴玉を三つ取り出したのだが、三人はその飴ちゃんには目もくれず最上に抱き付いた。


「えーん。えーん」

「お姉ちゃん。怖かったよ」

「お姉ちゃん。お姉ちゃん」

「もう安心。あの怖いトカゲは出て行ったから」


 最上の言葉に頷きつつも、泣き止む気配がない三人だった。最上は彼等の背を優しく撫で抱いていた。


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